オミクロン株による1日当たりの死者最多 高齢者の持病悪化で重篤化も
<新型コロナ>1日当たりの死者最多 圧倒的な感染力のオミクロン株 高齢者の持病悪化で重篤化も(東京新聞 2022年2月10日 18時22分)
国内で新型コロナウイルスによる1日当たりの死者数が、新変異株オミクロン株による第6波の中、過去最多を記録している。かつての変異株と比べ、オミクロン株は重症化率、致死率の低さが指摘されてきたが、感染力が圧倒的に高いために、多くの死者が出ている。重症化しやすい高齢者のワクチン3回目接種の遅れも響く。
厚生労働省によると、死者が最も多かったのは、昨年5月の第4波中の123人だったが、今月9日、150人を超えた。東京都によると、新型コロナは変異するたび、致死率が低下してきた。
しかし、感染力は上がっている。全国の1日の新規感染者数の最多は、第4波で7000人余りだったのに対し、最近は10万人前後。重症者、死者数のピークは感染の波より遅れて来るため、重症化率、致死率はさらに上がると予想される。
◆重症者、80歳以上の割合高く
今回、死者が多い理由はオミクロン株の感染力の高さだけではない。重症者に占める高齢者の割合の高さが問題という。9日、厚生労働省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」に示された大阪府の資料では、重症者に占める80歳以上の割合は、第5波は6.7%だったが、第6波では28.9%に急増した。
65歳以上のワクチン接種は昨年5月から加速し、7月末には8割が2回接種を完了。ワクチンで上昇した抗体価は時間の経過とともに減るため、オミクロン株を前に、高齢者の免疫低下が懸念されている。
もともと、オミクロン株のウイルスはのど付近でとどまり、デルタ株のようなウイルス性肺炎を起こしにくいとされるが、高齢者は腎臓や呼吸器などの持病の悪化のため重篤に至るケースもある。
専門家組織の座長、脇田隆字・国立感染症研究所長は「感染者が減少しても、高齢者の感染が続けば、重症、死亡者は増加する」とし、感染の中心となっている高齢者施設での3回目接種の促進や医療サポートの必要性を強調した。
風邪とあなどるのは危険 !! オミクロン株 どう向き合うべきか
“重症化しにくい?”オミクロン株 どう向き合う(NHK 特設サイト「新型コロナウイルス」 2022年1月28日)より抜粋
オミクロン株は、これまでにない感染スピードで瞬く間に広がった。ただ、重症化する人の割合はそれまで主流だったデルタ株に比べて低くなっているとされ、普通のかぜに近い症状の人が多いという報告もある。
そんな中で、「重症化しないならインフルエンザやかぜと同じでは?」「特別な対策は必要ないのでは?」という声も聞かれる。
オミクロン株に対して私たちはどう向き合えばいいのか?
大阪大学・忽那賢志教授
「風邪だから気にしなくてよいのではないかという意見についてだが、個人個人の重症化リスクが下がっていることは事実だ。そのような捉え方をする人がいることも理解できる。
しかし、高齢者や基礎疾患のある人、ワクチン未接種の人にとっては、まだまだ危険な感染症だ。感染が広がるほど、こうした重症化しやすい人たちにも広がってしまう。
感染症は、感染した人だけの問題ではなく周りに広げてしまう。自身が感染源にならないためにも、基本的な感染対策は続けていただきたい」
国際医療福祉大学・和田耕治教授(公衆衛生学、厚生労働省専門家会合メンバー)
「ワクチンを接種していると重症化を含めてかなり予防できている。ただ、高齢者や妊娠している人、ワクチンを接種していない人などでは、感染するとそれなりに重症化する人がいる。
沖縄県の80歳以上の感染者の状況を見ると3割は酸素投与が必要な状態だ。多くの人にとって重症化リスクは低くても、高齢者などに感染が広がると、重症者が増え、病床をひっ迫してしまうのは事実だ」
けいゆう病院・菅谷憲夫医師(小児の感染症に詳しい、神奈川県)
「これまでは子どもの症状は軽く、感染する頻度も少ないとされていたが、オミクロン株の流行で子どもがどんどん感染して、学級閉鎖が相次ぐ事態になっている。感染者が増えれば、一定の割合で子どもでも入院に至る患者が出てくると考えられる。
実際、アメリカでは多くの子どもが集中治療室で治療を受けているし、呼吸困難を起こしているケースもある。アメリカの小児科医の報告では、子どもについてはデルタ株よりも軽症だという証拠は今のところはないとしている。
デルタ株と比べて入院する割合が下がるというのはあくまで大人の話で、子どもに関しては、これまでこんなに患者が増えた経験が無くまだ分からない」
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