沖縄知事選、辺野古ノーを訴える玉城デニー氏再選
投票日 | 2022年9月11日 | 告示日:2022年8月25日 |
執行理由 | 任期満了 | |
有権者数 | 116万5610人 | 投票者数:67万5122人 |
投票率 | 57.92% | 前回投票率:63.24% |
11日に投開票された沖縄県知事選の投票率は57.92%で、前回4年前に比べて5.32ポイント低下した。初めて県内の統一地方選が重なり、4市町村長選と24市町村議選が一斉に投開票されたため、投票率の上昇も予想されたが、2002年の57.22%に次ぐ過去2番目の低さとなった。
得票数 | 氏名 | 年齢 | 性別 | 党派 | 推 薦 | 新旧 | ||
当 | 33万9767票 | 玉城 デニー | 62 | 男 | 無所属 | 立憲、共産、社民、 れいわ、沖縄社大、 にぬふぁぶし | 現 | 沖縄県知事 |
27万4844票 | 佐喜真 淳 | 58 | 男 | 無所属 | 自民、公明 | 新 | 元宜野湾市長 | |
5万3677票 | 下地 幹郎 | 61 | 男 | 無所属 | 新 | 元衆院議員 | ||
選挙の概要 玉城デニー氏、政権が推す候補を破る
玉城 デニー 候補
今年は沖縄の日本復帰から50年で、辺野古移設浮上から7回目の知事選。玉城氏は、移設ノーでまとまる政治勢力「オール沖縄」を誕生させた故・翁長雄志(たけし)氏の遺志を継いで4年前に初当選。軟弱地盤判明に伴う政府の設計変更申請を不承認とし、政府と対峙してきた。
玉城氏は今回もオール沖縄の支援を受け、移設阻止を掲げた。設計変更の不承認で大半の埋め立てが進められない状態となっていることを1期目の実績として強調。「あらゆる手立てをとり、平和で豊かな基地のない沖縄を実現する」と語り、移設に反対する根強い県民の思いに訴えた。
県民の経済への関心の高まりも意識し、経済や子どもの貧困対策を辺野古の問題と同列に位置づけ「誰ひとり取り残さない沖縄をつくる」と、子育て世代への浸透も図った。選挙戦最終日には、推薦を受けた5政党の全党首もそろって街頭に立ち、移設問題への強硬姿勢や「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」をめぐる問題に触れ、政権側を批判した。
佐喜真 淳 候補
前回に続く2度目の挑戦となった佐喜真氏は、4年前にあいまいにした辺野古移設への姿勢について「容認」と明言。軟弱地盤判明に伴う政府試算で工期のさらなる遅れが出ている移設計画について「工期短縮」「普天間の2030年までの返還」を掲げた。経済の低迷は現県政に原因があるとして「経済危機突破」をスローガンとし、減額が続く国の沖縄振興予算の3500億円確保や、コロナ禍で傷んだ観光業界を中心に1千億円規模の支援を公約した。
しかし、基地問題も経済振興も、実現のプロセスや財源の裏付けなど、具体的に説明することはなく説得力を欠いた。告示前には、旧統一教会の友好団体の会合にかつて参加していたことが判明。選挙戦初日に「今後は関係を一切絶つ」と宣言したが、公明支持層を含め、不信感を払拭できなかった。
下地 幹郎 候補
元郵政民営化担当相の下地幹郎氏は、辺野古問題を最大の争点と位置づけ、鹿児島・馬毛島に普天間の訓練を移転するなど独自の見直し案を主張したが、衆院議員時代に支援を受けてきた地場企業が離れるなどし、支持を広げられなかった。
選挙結果を受けての談話
玉城氏「県民の思いが1ミリもぶれていないという結果」
玉城氏は「本当に身に余る県民の皆様からの信頼と『これからも頼むぞ』という、その希望を託していただいたことに、改めて心から感謝を申し上げる。間違いなく今回は、辺野古の新基地建設は大きな争点だった。過去2回の知事選挙、県民投票の7割以上の反対の声、そして、今回の私の2期目の再選。県民の思いが1ミリもぶれていないという結果だと受け止めている」と述べました。
佐喜真氏「県民が判断したこと 真摯に受け止めたい」
佐喜真淳氏は「県民が判断したことなので真摯に受け止めたいと思う。私の力不足でこういう結果になったと思うので、そこは反省をし、支援していただいた方には、非常に苦しい、申し訳ないという気持ちでいっぱいだ。きょう結果が出たばかりなのでこれからのことはまだはっきりとは考えていない」と述べました。
下地氏「県民が選んだ人を批判することはない」
下地幹郎氏は「県民に選ばれたいと思って選挙に出ているので、県民が選んだ人を批判することはない。ただ自分は、政治家をやめるつもりは一切ない。保守や革新といった沖縄の枠を破ることができるのは私しかいないと思う」と述べました。
自民・森山選対委員長「さらに県民の理解を得られるよう努力」
自民党の森山選挙対策委員長は、記者団に対し「あと一歩及ばなかった。県民の気持ちが基地問題よりも経済対策にあることはよく理解していたが、沖縄県の発展に向けさらに政策に磨きをかけたい」と述べました。
そのうえで「地方自治体の首長選挙なので、国政に直接影響することはない。辺野古への移設は、国の方針として決めているのでさらに県民の理解を得られるよう努力することに尽きる」と述べました。
立民・大串選対委員長「基地問題への一貫した姿勢などが結果に」
立憲民主党の大串選挙対策委員長は談話を発表し「辺野古の新たな基地建設への反対など、玉城氏の基地問題への一貫した姿勢や、子育て・経済政策などが支持を得た結果と評価したい。この勝利は、玉城県政への信任と合わせ、野党勢力の主張にも多くの賛同を得られた結果であり、国会で論戦などを行う際は、岸田政権や与党が抱えるさまざまな問題点に正面から対じし、正々堂々とただしていく」としています。
維新・藤田幹事長「玉城氏の勝利 民意として尊重したい」
日本維新の会の藤田幹事長は談話を発表し「わが党は候補者の擁立・推薦を見送ったが、玉城氏の勝利を民意として尊重したい。玉城氏は、普天間基地の名護市辺野古への移設阻止を前面に掲げたが、直面する課題は基地問題にとどまらない。経済の振興、生活の向上、子育て支援の拡充など、真に沖縄の未来を切り開くための県政運営を望みたい」としています。
公明・高木選対委員長「なぜ敗北したのか よく分析」
公明党の高木選挙対策委員長は談話を発表し「党として推薦し、全力で応援した佐喜真候補が惜敗したのはまことに残念でならない。今回の結果を真摯に受け止め、なぜ敗北したのかよく分析していきたい。新たな県知事には、県政、国政と連携しながら、山積する沖縄県内の課題に全力を挙げて取り組んでもらいたいと思っている」としています。
共産・志位委員長「新たな基地の建設 断念すべき」
共産党の志位委員長は記者団に対し「大きな喜びをもって歓迎したい。『名護市辺野古に新基地はつくらせない』『普天間基地は即時閉鎖・撤去を』という沖縄県民の揺るがない意思を示したもので、歴史的勝利だ。岸田政権は、結果を重く受け止めて、新たな基地の建設はきっぱりと断念すべきだ。今回の結果は岸田政権に大きな痛打となった」と述べました。
国民・大塚代表代行「旧統一教会問題 投票行動に影響か」
国民民主党の大塚代表代行は記者団に対し「玉城氏は辺野古への移設反対の立場なので、円滑に移設が進むとは思えない状況になると予想しているが、地元の同意や軟弱地盤などの課題が解決されたうえで、県民の納得ずくで進めてもらいたい。今回は、旧統一教会の問題が投票行動にかなり影響していると思うので与党にはダメージだろう」と述べました。
れいわ・山本代表「自公は強権的手法など改める時だ」
れいわ新選組の山本代表は談話を発表し「玉城県政の4年間で進めてきた子どもの貧困の具体的な対策のほか、基地を減らし雇用の拡大につながる経済の活性化などが沖縄の将来に必要と確認された結果だ。不要な辺野古基地建設をゴリ押しし、沖縄振興予算と基地受け入れをリンクさせる強権的な手法などを自民・公明政権は改める時だ」としています。
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【参考記事】
沖縄知事選の投票率は57.92% 過去2番目の低さ 前回を5.32ポイント下回る 選管最終(琉球新報 2022年9月11日 23:03)