安倍晋三元首相の「国葬」が行われる理由は? 費用はどうなる?

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<Q&A>安倍晋三元首相の「国葬」が行われる理由は?費用はどうなる?(東京新聞 2022年7月15日 20時53分)

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参院選の街頭演説中に銃撃を受けて死去した安倍晋三元首相の葬儀が今秋、「国葬」として行われることになりました。首相経験者が亡くなった場合、内閣と自民党の合同葬になるのが一般的でしたが、今回は異例の形式となります。

国葬とは何ですか。

A 政府が主催し、国費で行われる葬儀のことです。戦前は伊藤博文元首相らの国葬が行われましたが、戦後は1967年の吉田茂元首相の1例だけで、55年ぶりです。他に10人の首相経験者の葬儀に内閣は関わりましたが、いずれも自民党や衆院などとの合同葬で、憲法の政教分離規定を踏まえ、無宗教式で行われています。

なぜ、安倍氏は国葬になったのですか。

A 岸田文雄首相は14日の記者会見で、安倍氏の首相在任期間が憲政史上最長となることや、内政・外交の実績、国際社会からの評価などを理由に挙げました。ただ、明確な基準はなく、時の政権の裁量に委ねられているのが実情です。共産党などの一部野党からは国葬という形式に反対する声が上がっています。

政府が主催できる理由は何ですか。

A 戦前は1926年公布の国葬令に基づいて行われましたが、47年に失効し、その後は国葬に関する法律はありません。長い間、法的根拠はあいまいでした。今回は「国の儀式」を所掌する内閣府設置法と閣議決定を根拠に行います。国の儀式のため、首相も単に「国葬」とは言わず、「国葬儀」「いわゆる国葬」という表現を使いました。

名称は別にして、実態は変わらないのですか。

A かつての国葬令には「当日、国民喪に服する」と明記されていました。今回の国葬では「現行憲法下でそういうことは強制できない」(政府関係者)という違いはあります。

国費はどのぐらいかかりそうですか。

A 政府と自民党が折半した2020年の中曽根康弘元首相の合同葬は、総額が約1億9000万円でした。安倍氏の国葬には各国要人が参列する可能性もあり、費用が膨らむかもしれません。全額国費を投じることには賛否が割れています。政府には税金の使い道について、国民の理解を得る丁寧な説明が求められます。