10年後に訪れる「タワマン大崩壊」…思い切って購入した会社員が後悔する、まさかの顛末

築30年を超えるマンションが加速度的に増えていく 社会

10年後に訪れる「タワマン大崩壊」…思い切って購入した会社員が後悔する、まさかの顛末(GGO編集部 2022.7.15)

国土交通省によると、日本人の1割はマンション住まい。そのなかでも、好立地で豪華な設備、高層階からの眺望などで人気なのが「タワマン」。周辺相場よりも高く「億ション」であることが多いので、メインの購入者は高所得者ですが、最近では「一生の一度の大きな買い物なんだから……」と購入に踏み切る、いわゆる普通の会社員も多いとか。しかしせっかくの想いが崩れ去ってしまうリスクがあるといいます。みていきましょう。

築30年を超えるマンションが加速度的に増えていく

国土交通省によると、マンションのストック総数は、2021年末時点で約685.9万戸。1世帯当たりの平均人数が2.21人(2020年国勢調査より)ということを考えると、約1,516万人、日本人の約1割がマンション住まい、と推計しています。新規供給数はリーマンショック時に大きく減少したものの、年間10万戸程度、一定の供給数を維持しています。

さらに築年数ごとの戸数をみていくと、1992年以前に建てられた築30年以上のマンションが133.5万戸、1982年以前に建てられた築40年以上のマンションが115万6,000戸、全体の17%程度になっています。それが10年後には2.2倍の249万1,000戸、20年後には3.7倍の425万4,000万戸にもなる見込みです。

【築後30~50年以上の分譲マンション戸数】
■2026年末
築30年以上:161.9万戸 築40年以上:109.3万戸 築50年以上:60.4万戸
■2031年末
築30年以上:176.3万戸 築40年以上:133.5万戸 築50年以上:115.6万戸
■2041年
築30年以上:163.0万戸 築40年以上:176.3万戸 築50年以上:249.1万戸
出所:国土交通省

新築マンションは増え続け、さらに築古マンションも加速度的に増えていきます。そのなかで懸念されているのが、マンションの修繕問題です。

マンションの修繕工事は、12年周期で行うのが目安です。理由のひとつが、国土交通省の『長期修繕計画作成ガイドライン』で「外壁塗装などの建物に関する工事は12年目を目安に行う」とされているからです。

立地や使用条件などにより建物の劣化度合いは異なるので、すべてのマンションで12年ごとに修繕が行われるわけではありませんが、いずれにせよ、10数年ごとに行われる大きな出費に備えて、マンション入居者は修繕積立金を毎月支払っています。その額はマンションの規模などにより変わってきますが、国土交通省『平成30年度マンション総合調査』によると、2018年の修繕積立金の平均月額は1万1,243円となっています。

実際の修繕はマンションの規模や内容にもよりますが、工事開始から完了まで数年かかることがあります。そのような場合、1年ごとに代わる理事会ではなく、修繕委員会を別に設立することも。そこで発注方式等を選定し、総会で承認を受け……と進めていきます。そこが大規模なマンションになればなるほど面倒になり、修繕の必要があるのに進まない、という事態に陥ることがあるのです。

同意が得られない、お金が足りない…修繕したくてもできない、タワマン入居者の苦悩

前出のような修繕にまつわるリスクが大きいとされているのが、高層マンション、いわゆるタワマンです。明確な定義はありませんが、高さ60メートル、階数にして20階以上のマンションのことを指すことが多く、2003年からリーマンショック前の2009年までの間、東京都心を中心に一気に増えました。この7年間で、棟数にして500棟、戸数にして12万戸を超えます。これらのタワーマンションは、2033年以降に続々と築30年を超える、築古マンションになるわけです。

タワーマンションは低層階の価格と高層階の価格が大きく違うことは誰もが知るところ。低層階は一般の会社員なども多く、一方「億ション」となることが多い高層階に住むのは、経営者などの富裕層。これほど属性の異なる人たちがひとつの建物のなかに暮らしているわけですから、利害を一致させるのは難しいことは想像するに容易いでしょう。

さらに修繕積立金そのものに問題がある場合も。国土交通省では、修繕積立金不足を発生させないよう、必要とされるだろう金額をあらかじめ均等に積み立てていくことを推奨しています。しかし販売戦略上、毎月の支払額を安く見せるために、当初の修繕積立金を抑えるケースは珍しいことではありません。このような場合でも、1回目の修繕では積立金でカバーすることは織り込まれていることがほとんど。しかし2回目、3回目の修繕については、当初の金額では賄いきれず、徐々に毎月の支払額が増えていく……という事態に。

毎月の修繕費を増やしていくことで対応できればまだましで、なかには、修繕計画を具体化させるタイミングで「修繕費が足りない!」ということが判明し、必要な修繕が行えないケースも頻発しているといいます。そのような事態に陥るリスクが、2003年から2009年に急増したタワマンのなかにも多いのではないかされています。

タワマンの魅力といえば、その資産価値。駅前の好立地、豪華な設備などにより、周辺の物件よりも高値で売買されることが多く、将来売却することも念頭に購入する人も多くいます。しかしひとたび修繕が不完全ともなれば、その資産価値の暴落は避けられません。タワマンの購入者のなかには「予算を超えるけど、一生に一度の買い物だから……」と、思いきって購入を決意した会社員も多いことでしょう。しかしタワマンが内包するリスクによって、その思いははかなく散ってしまう可能性があるのです。

さらにタワマンともなれば規模が大きいだけに、機能不全ともなれば、そのインパクトは周辺にも及びます。もはやタワマンの入居者だけの問題だけではないのです。

もちろん、このような可能性は、タワマンに限らず、どのようなマンションにもありうること。一般層にとってマンション購入は、人生において一番大きな買い物です。後悔のないよう、安すぎる修繕積立金には要注意。1回目に限らず、2回目、3回目……と長期的にどのような管理体制を想定しているのかも含めて、比較・検討する必要があるのです。

GGO編集部
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