「防衛費“10兆円”」当初予算の倍増も“念頭”か 元防衛大臣語る懸念「非常に危うい」【報道特集】(TBS 2022年6月18日(土) 20:21)
ウクライナ情勢などを受け、岸田政権が進めようとする防衛力の強化。「防衛費を10兆円に倍増」という意見も出る一方、元防衛大臣などから懸念の声が上がっています。
日本の安全保障意識に変化・・・ 防衛費10兆円に倍増も“念頭”か
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、日本人の安全保障に対する意識が変わり始めている。JNNの世論調査(6月)では、防衛費の増額に賛成する人が半数以上(賛成55%、反対33%)にのぼった。
こうしたなか政府は6月、骨太の方針に「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」と明記。NATO加盟国がGDP比の2%以上の国防予算を確保しようとしている状況を紹介した。GDP比の2%とは、2022年度当初予算の防衛費のほぼ倍、10兆円余りだ。
自民党 高市早苗政調会長(6月16日)
「日本を虎視眈々と狙う国、地域の指導者たちの意思決定にストレートに響く言葉を使うことにいたしました。それゆえ2%以上も“念頭”でありまして」
防衛費について、立憲民主党は「総額ありきではなく、メリハリある予算を」などと主張。一方、日本維新の会が「GDP比の2%」を訴えるなど野党でも対応が分かれている。
自民党内からも異論 元防衛大臣「非常に危うい」
防衛費の増額をめぐる議論に、自民党内から異を唱える人物がいる。安倍政権下で防衛大臣を務めた岩屋毅議員だ。
金平キャスター
「防衛費の増額に対する理解は得られると思われますか?」
岩屋毅元防衛相
「何かこうミリタリーだけに、軍事だけに特化した議論を危機感にあおられてしていくというのは、僕は非常に危ういというふうに思っております。金額目標が先にあって、そこに向かってどんどんどんどん買い足していけということになると、そこは非常に乱暴な作業になりかねないというふうに思っている」
自民党は無人機や宇宙、サイバーなどの分野について防衛力を強化するとしている。財源について、自民党の高市政調会長は経済成長を前提にしながらも「最初は国債発行になる」などと説明するが…
岩屋元防衛相
「国債、いわゆる借金を持って防衛力を整備していくというのは、私は適切ではないと思います。防衛費が今5兆円ちょっとですが、文教費も5兆円ちょっとなんですね。公共事業費が6兆円ぐらいですかね。それに匹敵する規模の予算をひねり出すためには、やっぱりきちんとした根拠がなければいけないと思います」
岩屋議員も、安全保障環境の変化などから防衛力の強化は必要との立場だ。しかし…
岩屋元防衛相
「防衛力の整備についても、 実力の行使についても、努めて抑制的に日本は振舞う平和国家なんだと。この姿勢が崩れるというか、イメージが変わってしまうというようなことは望ましくない、あってはならないというふうに私は思います」
(「報道特集」2022年6月18日放送より)