野党、衆院議長セクハラ疑惑で攻勢 自民は補正への影響懸念(JIJI.COM 2022年05月22日08時37分)
国会会期末まで4週間を切る中、野党は自民党出身の細田博之衆院議長のセクハラ疑惑を週刊文春が報じたことを受けて、攻勢を強める構えだ。これまで岸田政権に目立ったスキャンダルはなかったが、25日から始まる2022年度補正予算案審議への影響を懸念する声が自民党内で上がっている。
「事実であれば不適切だ。自ら説明すべきだ」。立憲民主党の泉健太代表は20日の記者会見で、細田氏は衆院議院運営委員会理事会で自ら説明すべきだと要求。納得できる説明がなければ、議長不信任決議案の提出などに踏み込む可能性を示唆した。
19日発売の週刊文春は、細田氏が女性記者に私生活を尋ねたほか、深夜に「今から来ないか」と電話で誘ったなどと報じた。細田氏は「全く事実と違う。週刊誌には厳重に抗議したい」と否定。自民も議運委理事会への議長の文書による説明で火消しを図りたい考えだ。
細田氏は発言が物議を醸してきた。衆院小選挙区定数の「10増10減」の見直しに言及したところ、野党の反発を受けて陳謝した。立民幹部は「議長の資質に欠ける。不信任を出すべきだ」と主張する。
与党内も動揺している。スキャンダルに敏感な公明党の石井啓一幹事長は会見で「疑惑を持たれたからには本人がしっかり説明することが大切だ」と指摘。自民内からも「審議への影響はまだ分からない」(幹部)と不安の声が漏れる。
野党は補正予算案審議で、細田氏の疑惑に加え、岸田政権の経済政策などをただす考えだ。泉氏は会見で「立民は物価高と戦う。政府はできていない」と強調。衆院予算委では自ら質問に立ち、一般会計の歳出総額2兆7009億円では、ウクライナ危機を受けた物価高騰対策としては不十分などと追及する方針だ。
同党は北海道・知床半島沖の観光船事故についても、国土交通省の検査体制などに不備はなかったかどうか取り上げる。
6月15日の会期末までに、立民は、原油高騰などをテーマにした衆参両院予算委での集中審議を開くよう要求。岸田内閣不信任決議案の提出も視野に、参院選に向けて対決姿勢を鮮明にする方針だ。
そんな中で浮上した細田氏のセクハラ疑惑に、自民幹部は「議長の疑惑が長引けば参院選に響く。議長不信任決議案が出たら、与党を取り巻く状況は厳しくなる」と語った。