愛子さま初公務、新年祝賀の儀 天皇陛下「国民の幸せと国の発展を祈ります」
天皇、皇后両陛下が、皇族や三権の長らから新年のお祝いを受ける「新年祝賀の儀」が1日、皇居・宮殿で開かれ、天皇陛下は「年頭に当たり、国民の幸せと国の発展を祈ります」と応じられた。
昨年12月に20歳となった両陛下の長女愛子さまは成年皇族の初公務として参列。正装の白いローブデコルテを着て、秋篠宮さまら皇族と共に宮殿「松の間」で両陛下にあいさつした。
両陛下はその後、皇族と宮殿の各部屋を回り、岸田文雄首相や閣僚、衆参両院議長、最高裁長官らから祝賀を受けた。
儀式は昨年同様、参列者数を絞るなど新型コロナウイルス対策を講じて実施した。国民が苦労している状況を考慮し、両陛下の意向で女性皇族はティアラの着用を控えた。秋篠宮妃紀子さまは、父親の川嶋辰彦さんが昨年11月に死去し、服喪中のため出席しなかった。
上皇ご夫妻は代替わり後、祝賀の儀に参列しておらず、皇室最高齢となる98歳の三笠宮妃百合子さまや秋篠宮家の長男悠仁さまら皇族が、ご夫妻の暮らす東京・高輪の仙洞仮御所を訪れ、新年のあいさつをした。
天皇陛下 新年のビデオメッセージ(全文)
新年に当たり、天皇陛下が皇后さまとともに、宮内庁を通じて公表されたビデオメッセージの全文は次のとおり。
天皇陛下
新年おめでとうございます。
皇后陛下
おめでとうございます。
天皇陛下
今年も,新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため,一般参賀で皆さんに直接お話をすることが残念ながらできません。そこで,昨年と同じようにビデオで御挨拶をしようと思います。
この1年も新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい,国の内外で多くの方が感染し,亡くなりました。亡くなられた方々に,深く哀悼の意を表しますとともに,大切な方を亡くされた多くの方々に,心からお見舞いを申し上げます。また,これまで,献身的に治療に当たってこられた医療従事者の皆さんの並々ならぬ御尽力に改めて敬意と感謝の意を表します。
我が国では,幸いにしてワクチン接種が行き渡ってきたことや,国民の皆さんのたゆみない努力などにより,新型コロナウイルスの感染者の数が一時に比べて大きく減少し,随分と落ち着きを見せています。また,新型コロナウイルス感染症により重症化する方や亡くなる方も確実に少なくなってきており,明るい兆しが見えてきたようにも思われます。同時に,今,私たちは,オミクロン株という,新たな変異ウイルスの脅威にも直面しています。
海外に目を向けると,感染者数が増加している国も多く,中には,ワクチンが手に入らなかったり,必要な治療が受けられない人々も大勢おり,このような状況が早く改善することを願っています。
国内にあっては,この新型コロナウイルス感染症の影響により,仕事を失ったり,苦しい生活状況に陥る方も多く,心が痛みます。助けを必要としている方々のところに,多くの温かい手が差し伸べられることを願ってやみません。
国民の皆さんのこれまでの御苦労もいかばかりかと思いますが,今一度,私たち皆が,これまでの経験に学び,感染症の対策のための努力を続けつつ,人と人とのつながりを一層大切にしながら,痛みを分かち合い,支え合って,この困難な状況を乗り越えていくことを心から願っています。
そして,新型コロナウイルス感染症の感染拡大が収まり,皆さんと再び直接お会いできる日が来ることを心待ちにしています。
昨年は,東日本大震災の発生から10年を迎えた年でした。人々のたゆみない努力により,一歩一歩復興が進んできていますが,その一方で,多くの方々が,困難な状況の中で今なお苦労を重ねておられることを案じています。また,昨年も台風や大雨により,多くの方が被害に遭われ,亡くなられたことに胸が痛みます。これからも被災地の方々に心を寄せていきたいと思います。
私たちの前には,まだ様々な困難が横たわっていますが,そのような中にあって,昨年夏に行われた東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は,選手や関係者の努力により,多くの人々に勇気と希望を与えるものとなったことと思います。
本年が,皆さんにとって,明るい希望と夢を持って歩みを進めていくことのできる良い年となることを,心から願っています。新年に当たり,我が国,そして世界の人々の幸せと平和を祈ります。
皇后陛下
昨年も,多くの方にとって御苦労の多い年だったのではないかと思います。また,年の暮れからの寒波で大変な思いをされている方も多いのではないでしょうか。どうぞ皆様くれぐれもお体を大切にお過ごしいただきますように。
今年が,皆様にとって少しでも穏やかで,実り豊かな年となりますよう,心からお祈りしております。