中身が雑すぎる…岸田政権「新経済政策の内部文書」を入手!

新しい資本主義実現本部事務局 政治・経済

中身が雑すぎる…岸田政権「新経済政策の内部文書」を入手!(FRIDAY 2021年12月26日)

「我々の先祖は、疫病を契機に経済を前向きに転換させた!」

「8世紀の天然痘の流行→『公地公民制』から『墾田永年私財法』の制定へ」

ときの為政者、聖武天皇の肖像画が入ったその資料には、ご丁寧にも「墾田永年私財法」の説明が添えられている。

FRIDAYデジタルは「『新しい資本主義』の実現に向けて」と題するA4・20ページの文書を入手した。これは、岸田文雄首相の掲げた「新しい資本主義」とはどういうものかを明文化した内部文書で、村井英樹首相補佐官が「認識を共有」する目的で12月に作成したという。

冒頭1ページ目には、10月8日の所信表明演説が、岸田首相の写真とともに紹介されている。

「新自由主義的な政策は富めるものと、富まざるものとの深刻な分断を生んだ~新しい資本主義経済を模索する動きが始まっています」

続けて「資本主義の歴史」をおさらいし、「新自由主義とは」の解説と続く。そして、岸田政権の「新しい資本主義」を8世紀の「墾田永年私財法」になぞらえている。

この資料を読んだ大手コンサルティングファームの経営コンサルタントはこう言う。

「結論ありきで雑に論点をまとめているため、洞察が浅く、論理に一貫性がないですね。経験の浅いコンサルタントが作ったような内容。一見うまくまとまっているようにみえるけれど、矛盾が多い」

さらにいえば、聖武天皇やサッチャー元英国首相の顔写真など画像をふんだんに入れた資料は、まるで「高校の参考書」のよう。そして岸田首相が一番重視する「分配」についても、この文書では「賃上げ」としかいっていないのだ。

本来、こういった矛盾だらけの「政策」に対し、それを指摘して議論するのは野党の大切な「仕事」なのだが…残念ながら野党にもそれは期待できないかもしれない。

「たとえば、立憲民主党の政調会長、小川淳也さんの『人口構成からみる経済政策の問題点』といった主張。これは、20年以上前にコンサル会社で、新人研修に使った資料とほとんど変わりません。この20年ほどの変化に対応できていない。

何十年も前から認識されている課題について、ドヤ顔で語られても今さら感が強いとしか言いようがありません。具体的な政策、つまり『解決策』や『行動計画』に落とし込まれていないので、評価のしようがない。

与野党ともに『構造改革』といいますが、具体的に『何の』構造を『どのように』変えたいのか、さっぱりわからない」(同前)

政治の劣化が叫ばれて久しい。かつて、政治家を支えていた日本の優秀な官僚たちは今、政権に対して萎縮し、ものが言えない。そんな現実から、優秀な人材を集めることもできなくなっている。この国の政治は、どんどん劣化している。

「この程度の『認識を共有』して、それをもとに経済政策を考えるとしたら、岸田政権には全く期待できない。将来の日本経済に禍根を残すことにならないか心配です」(同前)

西暦743年、8世紀の日本で墾田永年私財法で恩恵を受けたのは、貴族や寺院、地方豪族だった。富めるものが圧倒的に有利であったばかりでなく、土地を得ることができなかった庶民は重税に苦しみ、口分田を放棄して逃げ出す者も多かったのだ。逃げるに逃げられないまま苦しむ国民が安心して暮らすには、岸田首相が手厚く、そして細やかに手を差しのべる必要がある。

歴史に学び、ただ「聞く」だけでなく国民の現実をしっかりと見つめて、「明るい未来」を指し示してほしい。