聖火ランナー、相次ぐ「辞退」に波紋

聖火リレー 社会

2021年2月下旬になって、東京五輪の聖火リレー辞退が相次いでいる。森喜朗組織委前会長の辞任劇・島根県の県内聖火リレー中止検討に続いてのランナー辞退の動きは、先行きの不透明感を強めている。

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2月、芸能界で聖火ランナー辞退の口火を切ったのは、ロンドンブーツ1号2号の田村淳さん。森会長(当時)の「オリンピックはコロナがどんな形であっても開催する」という発言などを「理解不能」とコメントして、愛知県での聖火リレーについて3日に辞退を公表した。愛知県・犬山市を走行予定だった。

聖火リレー相次ぐ著名人の辞退

愛知県を走る予定だった将棋の藤井聡太二冠、スケジュールの問題を理由に2020年10月に辞退の申し入れを行っていたことが2021年2月11日に明らかになった。

石川県内を走る予定だった俳優の常盤貴子さんが辞退した。2月26日の石川県議会で谷本正憲知事が明らかにした。「スケジュールが合わなくなった」のが理由だという。代わりのランナーは、同じく俳優の若村麻由美さん。

俳優の斎藤工さんが東京五輪の聖火ランナーを辞退することが2月26日、分かった。スケジュールが流動的となり、調整がつかなくなったという。初日の3月26日に南相馬市を走る予定だった。

福井県は2月26日、開始まで1か月となった東京五輪の聖火リレーで、県PRランナーの1人だった歌手の五木ひろしさんがスケジュールの都合により参加を辞退したと発表した。代わりに、バレーボール元全日本男子代表の荻野正二氏が選ばれた。

沖縄県は2月26日、東京五輪の聖火リレーで県内を走る予定だった俳優の玉城ティナさんが、ランナーを辞退したことを明らかにした。所属事務所から県に対し、今月17日に「仕事の都合がつかなくなった」との連絡があったという。

【追記2021.3.3】茨城県は3月2日、東京五輪の聖火リレーで県内を走る予定だった俳優の渡辺徹さんがランナーを辞退したと発表した。所属事務所から県に対し、今年1月に「先に確定していた舞台スケジュールと調整がつかなくなった」との連絡があったという。古河市内を走る予定だった。

聖火ランナーに選出された芸能人、著名人、アスリートはたくさんいる。以下はその中の一部。

高木菜那・美帆姉妹(北海道)、のん(岩手県)、サンドウィッチマン(宮城県)、壇蜜(秋田県)、なでしこJAPAN(福島県)、香川照之(福島県)、田臥勇太(栃木県)、羽生善治(埼玉県)、増田明美(千葉県)、白鵬(東京都)、出川哲郎(神奈川県)、小平奈緒(長野県)、岩崎恭子(静岡県)、宇野昌磨(愛知県)、武豊(滋賀県)、片岡愛之助(大阪府)、笑福亭鶴瓶(兵庫県)、有森裕子(岡山県)、高橋大輔(岡山県)、為末大(広島県)、広末涼子(高知県)、石原さとみ(長崎県)、指原莉乃(大分県)、具志堅用高(沖縄県)……

森喜朗会長(当時)発言に異を唱えて辞退

福島県のランナーに決定していた福島県の会社社長坪倉新治さん。2月9日に森氏の発言を謝罪するメールが組織委から届き、返信する形で辞退を申し出た。「声を上げないと容認したことになる。ランナーの夢を引き換えにしても社会を変えたい」という趣旨の文章を返信に添えた。同県楢葉、広野両町のサッカー施設Jヴィレッジを出発する聖火リレーで走る予定だった。

長崎県は、東京オリンピックの聖火リレーで県内を走るランナー1人が、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森元会長の女性蔑視ととれる発言を受けて、参加を辞退したことを明らかにした。参加を辞退したのは、県内の大学院生、諸國麻椰さん

島根県知事が「聖火リレー中止」を表明

島根県の丸山達也知事は18日、政府や東京都の新型コロナウイルス対応を批判し、島根県内の聖火リレーの中止意向を表明した。

「首都圏における新型コロナウイルス感染症拡大が進んでおり、その対応が改善されない中では、夏の東京オリンピック・パラリンピックの開催には賛同しかねる。そしてその前段となるオリンピック聖火リレーの実施も中止を検討したい。心待ちにされていた聖火ランナーの皆さんを始め、ボランティアに応募いただいた方々、裏方として準備にあたってこられた市町村の皆さんの心情を思うと、誠に申し訳ない思いであるが、理解いただきたい。今後1か月程度様子をみて最終判断したい。」(令和3年2月17日 第6回実行委員会、丸山達也知事)

地元記者は、「県庁に寄せられた県民の声の7割が賛同。県庁の人は『補助金でもってる県なのに、国に盾突いていじめられるんじゃないか』と心配していたが」と明かす。知事の発言に、理解を示す聖火ランナー予定者も多いという。