大阪のコロナ致死率は東京より高くヨーロッパ並み 政府の分析資料を入手(AERAdot. 2021/11/09 19:17)
新型コロナウイルスの世界の感染者は、米ジョンズ・ホプキンス大の集計で累計2億5千万人を超え、死者は累計505万人に達したことがわかった。ワクチン接種が進み日本の感染状況は落ち着きつつあるが、英国やドイツで感染者が急増するなど「ブレークスルー感染」が欧州で広がっている。
AERAdot.編集部は「世界主要都市のコロナ感染状況比較」という政府の分析資料を入手。資料によると、大阪は人口10万人あたりでのコロナ陽性者に占める死亡者の割合、いわゆる「致死率」がイギリスやベルリン並みの高さであることがわかった。それぞれの都市で条件が違うので単純比較は出来ないが、分析によると、致死率のトップはニューヨークの3.06%。ロンドンで1.71%、ベルリンは1.63%、マドリードは1.8%、モスクワは1.72%だったのに対し、大阪は1.51%。東京の0.83%より上回っていた。
コロナ治療にあたった大阪市内の医師はこの結果についてこう語る。
「東京のほうが、大阪より人口が2倍近くいて、陽性者も2倍弱と多い。それなのに致死率が高いのは、医療体制の違いですね。大阪では東京より入院できない人、治療を受けられない人の割合が多かった。救急隊員から連絡がきても、病床がなく、断わるばかりでした。大阪は第4波の時、準備不足のまま、感染爆発が起こり、入院できない自宅療養患者があふれてしまい対応しきれなくなった。その後も対応が遅くなるので、カクテル療法の期限が過ぎてしまい、重症化を招くという例を私もいくつか経験した。東京と大阪で死亡者数が100人しか差がない結果をみても、よくわかります。初期治療ができれば、多くの人が重症化しなかったと思うが、ベッドがなくて遅れてしまった。大阪府のコロナへの見通しが甘かったということでしょう」
小池都知事に一日100件の励ましの電話も
一方、1%を切る致死率だった東京は、最大のヤマであった第5波でも医療崩壊することなく踏みとどまったという。その要因は2つあると厚生労働省関係者が分析する。
「1つは当時、全国で初めて、療養施設に指定した都内のホテルで抗体カクテル療法導入に踏み切った小池都知事の判断があります。その後、都内180のホテル療養施設に拡大し、カクテル療法を行い、投与後14日の症状改善率95.2%まで上げました。2つ目は、大阪など多くの都市が野戦病院の新規建設に舵を切りましたが、開設が遅れて9月末と感染のピークからずれ込んでしまった。都は既存施設である味の素スタジアムなどを活用する形で、感染ピークである8月中に医療ステーションを開設できたことも大きい」
その小池百合子都知事は10月末に過労で入院。現在はリモート公務に復帰したばかりという。
「小池知事は10月27日に入院して、2日に退院したが、入院発表の翌日から一日100件程度の激励の電話が来ました。知事がずっと土日も休まずに、コロナ対策をし、東京五輪もあったので、励ましの電話をしてきてくれているようです。コロナ対策では軽症や無症状の方々を受け入れる宿泊療養施設を多くつくったり、中等症患者も治療できる酸素ステーションをを全国でもいち早くつくったりした。そうした面を評価してくれているのだと思う」(東京都政策企画局)
ブレークスルー感染や第6波にしっかりと備えてほしい。
(AERAdot.取材班)