マルチ商法?逮捕の社長が理事長の法人、顧問に現・元閣僚の名

講演会で配布されたウィンメディックス社の資料。「一般社団法人日本ハラール認証・管理機構」を関連会社として紹介している 社会

マルチ商法?逮捕の社長が理事長の法人、顧問に現・元閣僚の名(毎日新聞 2023/4/22 07:30 最終更新 4/22 12:50)

がん患者らを相手に無登録で未公開株を販売したとして逮捕、起訴された「ウィンメディックス」(東京都千代田区)社長、白木茂被告(45)が理事長を務める一般社団法人が、現職の大臣を含む複数の有力政治家を役員として紹介していたことが判明した。毎日新聞が政治家に問い合わせたところ、法人は急きょホームページ上から削除した。ウィン社はこの法人を株主へのPRに利用していた。

株主勧誘に利用か 取材後に削除

白木被告は「がんの新薬を開発した。近く承認される」などとうたい、自社の未公開株を販売。株主になると、「がんに効く」という飲料水や関連商品が定価より安く購入できる仕組みで、がん患者ら約1万5000人から計約80億円を集めたとされる。

白木被告は「一般社団法人日本ハラール認証・管理機構」の理事長も務める。法人登記簿によると、16年3月設立。22年3月に白木被告が代表理事の一人に就任し、ウィン社と同じ住所に事務所を移転した。

公式ホームページでは、イスラム教徒が口にしても問題ない「ハラルフード」などの認証支援を主な事業に掲げ、「MWL(ムスリム世界連盟)より日本での正しいハラール認証を目的に18年3月に正式に管理を委託されました」と説明。役員欄に顧問として、林芳正外相▽田村憲久元厚生労働相▽河村建夫元官房長官=いずれも自民党=ら、元職を含む政治家6人の名前を掲載していた。

ウィン社はハラル認証を主要事業の一つに位置づけ、講演会の資料で団体を「関連会社」として紹介。22年の株主説明会で白木被告は「ハラル事業は年間100億ぐらいになると思う」と見通しを述べていた。

ムスリム世界連盟「一切関係ない」

しかし、毎日新聞がムスリム世界連盟日本支部に確認したところ、アナス・ムハンマド・メレー・アルアンサリ代表は「少なくとも私が就任した19年以降ハラル認証は一切していないし、サウジアラビアの本部でもハラル事業は行っていない」と話した。その後、ホームページで「(ウィン社に事務所を置く)法人とは一切関係ない。事実と異なる」と注意を呼びかけた。

顧問として紹介された林外相の事務所は「当該法人から顧問の依頼を受けたことはありませんし、就任したこともありません。なお、当該法人に対し、ホームページからの削除を依頼した」と書面で回答した。

また、河村元官房長官の秘書は取材に「記憶していない。ただ、日本サウジ友好議員連盟やベジタリアン/ヴィーガン関連制度推進のための議員連盟の会長をかつて務めており、どこかで声を掛けられたことはあるかもしれない」と答えた。

「今も顧問」

一方、田村元厚労相の秘書は、今も顧問であるとし、「東京五輪の前に、名前は言えないが、ある人から『来日するムスリムの人の食事をサポートしたい』と協力を依頼された」と説明。「私どもは、反社会的な活動をしていないし、やましいことはない。依頼された方の立場もありますので、これ以上話すことはありません」と述べた。

法人の窓口を務めるウィン社の社員は「(白木被告以外の)代表理事が高齢のため、ハラル認証は特に活発に活動しているわけではない。設立時に代表理事の1人が政治家の方と面識があったようだが、顧問就任の書類は交わしていない。秘書の方から早急に名前を削除してくださいと言われ、消させていただいた」と説明している。