赤羽国交相「視察という名の選挙活動」を立憲、共産党が追及 AERAdot.特報で国会論戦(上田耕司2021.6.4 11:48)より抜粋
参議院の国土交通委員会の質疑で6月3日、AERAdot.が特報した「公明党の顔・赤羽国交相に省内から批判 都議選控え、5大臣会合前に『視察という名の選挙活動』」(5月27日配信)という記事が相次いで取り上げられた。
公明党の顔・赤羽国交相に省内から批判 都議選控え、5大臣会合前に「視察という名の選挙活動」(上田耕司 2021.5.27 18:00)
質問者は立憲民主党の青木愛参院議員、日本共産党の武田良介参院議員。赤羽一嘉国交相の5月24日と26日の視察が「選挙活動だったのではないか」と追及する事態となった。
赤羽大臣の「視察という名の選挙活動」 4つの問題を青木愛参議院議員が指摘
この日午前、質問に立った委員会理事の青木議員は「AERAdot.の記事によりますと、(5月)24日には、職員や都議ら20人近くを引き連れて、隅田川と荒川沿いを相次いで視察したとあります」と口火を切った。
さらに赤羽国交相の視察には4つの問題があったのではないかと指摘した。
「まず1つは視察において、公明党の衆院議員また参議院議員、荒川区の都議会議員、北区の都議会議員はみなさん公明党の議員の方々であります。こうした方々を同行させたこと」
「2つには、東京都議選が6月25日告示、7月4日投票の間近に迫っており、都議選の候補者もこの視察団の一員に加わっているということ」
「3点目は都議選候補者が視察の様子や写真を公明新聞の記事やツイッター等で発信、拡散をしていること。同行した参議員のブログには『東京都議選大勝利へ』という表題で視察写真を掲載しております」
「4点目には緊急事態宣言下であり、コロナが心配される中、20人もの一行団、感染の心配はなかったか、この点を指摘させていただきます」
そして赤羽国交相にズバリこう直撃した。
「中でも1~3点目は、これは視察というよりは、やはり間近に迫った選挙対策として行ったものではないか、と疑問を抱かざるを得ません。AERAdot.の記事タイトル『視察という中の選挙活動』はまさにそういうことを指摘しております。そこで大臣におうかがいをします。今、指摘しました4点のことについて、大臣として問題認識がおありかどうか、あるいは今回の視察は全く問題がなかったと考えておられるのか。 赤羽大臣の認識をまず、お聞かせ願いたいと思います」
青木議員の質問に対し、席を立って答えた赤羽国交相は終始、両手を机についたままの姿勢だった。肝心の質問ははぐらかし続けた。
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青木議員は追及の手をゆるめない。
「今回は東京都議選、告示前とは言え、選挙活動が始まっている状況の中で、候補者を大臣視察を同行させたのか、たまたまそこにいらしてしまっていたのか、わかりませんけれども、そしてSNS等で拡散をしているということはやはりこれは選挙活動に大臣が使われたということは事実だと思います」
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要領を得ない赤羽国交相の答弁に対し、青木議員はこう指摘して締めくくった。
「まぁ、赤羽大臣としても今、公明党としては大切な東京都議選挙目前だという認識はあったのではないのかなというふうに推察をします。応援したいという気持ちもあったのではないか。大臣の選挙活動と、疑問が抱かれる視察をしてしまったということはやはり深く、反省をしていただいて、今後の視察については注意していただきたいということを強く指摘をしておきたいと思います」
赤羽大臣 この1年間で29回の視察、うち28回は公明党議員と公明新聞が同行
さらに同日午後の国土交通委員会では、日本共産党の武田良介参院議員もこの問題を取り上げた。
「公明党の都議は一緒に視察をしたわけではありますけれども、それは岡本(三成)衆院議員(公明党)の視察に同行したという説明がありました。もともと別個の視察を何故、同時に実施する必要があったのか。今はコロナの緊急事態宣言が発令されている中で、分散させるということはあったとしても、一緒にするということはありえないんじゃないか…。もともと別の視察を一緒にやったのか。この点に関して説明を求めたい」
赤羽国交相の視察と岡本衆院議員の視察を同日開催に一本化した理由を質問した。国交省大臣官房長の瓦林康人氏はこう説明した。
「衆院議員からの視察のご要請を受けまして、当該議員のご意向と地方自治体等受け入れ側のご意向を踏まえた上で同時に実施させていただくことにしました」
武田議員はさらに追及していく。
「都議選の間近という時期であります。大臣の出身政党であります、公明党の国会議員の方、あるいは都議会議員、予定候補の方、こういった方と一緒に視察をすれば大臣の視察が特定の政党の選挙活動に利用されているというような国民の疑念を抱かせることになってしまう。そういう認識を大臣はお持ちでいらっしゃったのでしょうか」
赤羽国交相はまたも、両手を机について答えた。
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武田議員は国交省から入手したという資料を委員に配布し、赤羽国交相の視察はこの1年間で29回あり、このうち公明党の国会議員が実に28回も同行していたことを明らかにした。
「公明党の議員の方は過去1年でありますけれども、29回あるうち、28回参加をされておられる。メディアの関係ということでは公明新聞のみということになっておりまして、特定の政党だけという状況があると言わざるを得ない」(武田議員)
瓦林大臣官房長は「この29回、いずれにつきましてもそのような経緯を辿って、同時に実施されたということであります」と答えた。
この回答を聞いた武田議員は思わず失笑し、こう語った。
「そういう偶然みたいなことがそんなに続くのかな、と。私も率直に疑問を持つところではあります」
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武田議員はこう締めくくった。
「いずれにしても、特定の政党の選挙活動に大臣の視察が活用されるようなことがあってはならないと思いますし、国交省も道筋をつけることがあってはならないと思いますので、このことを重ねて指摘をしておきたいと思います」