壊滅的大敗となった中道改革連合。ベテラン議員や幹部が軒並み落選しました。野党第一党に何が起きていたのか、その背景を整理します。
中道“壊滅的大敗 172から49議席へ
中道改革連合に真冬の嵐のごとく吹き荒れた逆風。
中道改革連合 野田佳彦 共同代表
「これだけの大敗を喫した責任は、万死に値する大きな責任だと思っている」
公示前の172から49へ議席を大幅に減らし、厳しい結果となりました。
公明出身者を比例代表で優遇する戦術をとった結果、公明出身者28人全員が当選。
一方で、立憲民主党出身の幹部やベテランの落選が相次ぎました。
【落選】中道改革連合 玄葉光一郎 元外務大臣
「真冬の嵐のような厳しい選挙戦でしたが、ネット上で突風が吹いているというか、そんな感じ」
【落選】中道改革連合 枝野幸男 元官房長官
「どんな風が吹いても、しっかりと立てる足腰を、自分自身が持てていなかったこと、その不徳の致すところ」
【落選】中道改革連合 岡田克也 元外務大臣
「(敗因の)1つは高市旋風。自民党に引き寄せられてしまったと」
【落選】中道改革連合 安住淳 共同幹事長
中道結成の“仕掛け人”である安住共同幹事長は、宮城4区で自民党の森下千里氏に敗北。
「ネット配信なんかは、遅れをとってしまったのではないかなという反省がある」
このほか当選19回、「政界の壊し屋」の異名を持つ小沢一郎氏が落選。
【落選】中道改革連合 馬淵澄夫氏
2003年に高市総理を破って当選した馬淵澄夫氏は奈良1区で、自民党の小林茂樹氏にダブルスコアの大差をつけられました。
「高市総理が掲げた争点設定に、すべてそれで飲み込まれたという実感だった」
中道の議員たちを苦しめたのが吹き荒れた“高市旋風”です。
高市総理(京都・長岡京市 2月4日)
「日本列島を強く豊かに、高市早苗でございます」
2月4日、高市総理が演説を行った京都・長岡京市。高市総理を一目見ようと多くの人々が集まっていました。
小川彩佳キャスター
「高市総理の選挙演説が行われています。多くの有権者の皆さんは、鈴なりになってじっくり総理の言葉に耳を傾けています。人が多く詰めかけているので、人が通る隙間もないというような状況です」
高市総理の演説を聞いた人
「言葉に重みがあるっていうか。みんなそこを期待してこれだけの人が集まっていて、『この人の言うこと一回聞いてみたろか』って思ったんじゃないか」
東京で行った最後の演説の会場も人で溢れかえりました。
高市総理(東京・世田谷区 2月7日)
「これからも働いて働いて働いて…働き抜いてまいります。もう噛むようになってまいりました」
聴衆
「高市さーん。頑張れー」
高市総理の演説を聞いた人
「力強いので言葉に魂がこもっているなって」
「僕は『未来への投資』というところがすごく刺さった」
「若い世代のために『今』とか『未来』と言われると、やっぱり響くところがあって」
中道苦しめた“高市旋風”
海外メディアは、“若年層からの支持”が“高市旋風”の理由の一つと分析しています。
イギリス・ガーディアン
「若い有権者からの人気が、自民党の運命を大きく変えた」
アメリカ・CNN
「世界の首脳と会談する動画をインターネット上で拡散し、若い有権者の間で大きな支持を得ている」
中道改革連合 泉健太氏(京都・長岡京市 2月7日)
高市総理が京都で演説を行った数日後、同じ会場で最終日に演説した元・立憲民主党代表で中道改革連合の泉健太氏。
「高市ファンクラブのような国会議員なんていらないんですよ」
今回の選挙は、“相手候補ではなく高市総理と戦っているようだ“とこぼします。
中道改革連合 泉健太氏
「98%くらい高市総理と戦っている感じ。(自民党は)高市総理を全面的に出して戦うという戦略だったんだろうなと」
逆風を跳ね返し、何とか小選挙区で勝利しましたが、多くの仲間を失うことになりました。
中道改革連合 泉健太氏
「あまりに失ったものが大きいというのが率直な思い。党全体の立て直しに取り組みたい」
中道改革連合 泉健太氏
当選から一夜明け、執行部への不満を滲ませました。
「決められれば、多くの議員たちはその中で戦うしかない。だからこそ執行部の責任は重たくて。今回スタートダッシュはしたものの、勢いを持続させることができなかった。執行部としての力を発揮できなかったのではと、私の中では不満というか思いとしてある」
“高市旋風”を前に、“壊滅的大敗”を喫した野田共同代表は・・・
記者
「自身のリーダーとしての判断力、器について今どう考えているか?」
中道改革連合 野田佳彦 共同代表
「結果が出せないということは、やっぱり私の器は・・・器がだめだったとしか言いようがない」
午後行われた緊急の執行役員会で、野田共同代表と斉藤共同代表は、選挙結果の責任を取り、辞意を表明しました。
中道改革連合 野田佳彦 共同代表
「2人で覚悟を決めて『平和な国・豊かな国』を作っていこうという趣旨でスタートしたが、どうしても時代遅れ感が2人にはつきまとっていた」
中道“壊滅的大敗”で野党は?
小川彩佳キャスター:
米重さん、選挙前にも中道改革連合の厳しさは分析されていましたが、蓋を開けてみてここまでの結果というのは、率直にどうでしょうか?
JX通信社 米重克洋 代表取締役:
今回の高市・自民党勝利というのは、高市総理の人気だけでは説明できなくて、やはり中道改革連合が立憲支持層をまとめられなかったという根本的な問題が、裏表になってこの選挙情勢になったと思います。
JX通信社と選挙ドットコムが、選挙の入る前の1月半ばと、選挙期間終盤に差し掛かった2月2日から4日にそれぞれ行った電話調査で、「前回の参院選で投票した政党」と、「今回比例投票先でどこに入れたいか」という質問を組み合わせて確認をしました。

立憲投票層:62.2%(1月17~18日)→55.7%(2月2~4日)
公明投票層:69.0%(1月17~18日)→73.6%(2月2~4日)
立憲投票層は、1月半ばの時点では62.2%の人が中道に投票するとおっしゃっていましたが、2月の2〜4日の時点では55.7%と下がっています。本当は選挙期間で時間がたてばたつほど、増えなければならない数字です。
公明投票層に関しては、1月半ばで69.0%だったのが、2月2〜4日は73.6%まで増えているので、中道改革連合に投票する動きがおそらくありました。
しかし、肝心の土台となっている立憲投票層がまとまりませんでした。一部はチームみらいや、国民民主党、自民党などに流れているということです。
藤森祥平キャスター:
中道改革連合は、立憲民主党と公明党を合わせた党でしたが、1足す1は2どころか、大きく減らしてしまったのはなぜでしょうか?
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
前回立憲に投票した人のうち、どちらかというと緩い無党派層の人たちが、「高市さんが女性として頑張っているのではないか」と、高市さんにシフトしたということが今回あると思います。

【前回衆院選と同様の対決だった佐賀2区】
立憲→中道・大串博志:95,581(2024年)→85,185
自民・古川康:76,554(2024年)→106,320
佐賀2区の大串博志さんという立憲を中枢で担ってきた幹部候補の方ですが、2024年の選挙では、自民・古川康さんと戦って2万票近くの差をつけて勝ちました。
おそらくこのときは自公連立のため、自民・古川康さんには公明党の約2万票が入っているだろうと思います。公明党の比例票は22,456票でした。
ところが今回、公明・立憲が一緒になり、2万票余りは大串さんに入るはずで、大串さんからすると基礎票は9万票と2万票を合わせて、11万票ほど取ってしかるべきなのに、なんと8万5000票にしか届かず、票を減らしています。
一方自民・古川さんには、公明党が離れたにも関わらず3万票増えています。明らかに2024年の選挙で大串さんを支持していた立憲支持者の無党派層が、古川さんの方に寄っていったということなんです。
逆転現象が起きて、今回、自民・古川さんが当選したということで、おそらくこのような選挙区が全国で数十規模の単位であったということだと思います。
JX通信社 米重克洋 代表取締役:
無党派層がどこに投票したかというところに、今回非常に大きな動きがありました。

【無党派層の比例投票先】※出口調査より
・2025年参院選
1位 国民:15.05
2位 立憲:13.1%
3位 自民:12.0%
・今回の衆院選
1位 自民:21.8%
2位 みらい:17.5%
3位 国民:15.0%
4位 中道:14.3%
今回の無党派層の比例投票先で1位は、自民党で、2位は安野さんが率いるチームみらいが入っています。勢いが弱いとはいえ、野党第一党が少なくとも2位には入らないといけないはずです。
今回は、国民民主党にも負けているということなので、いかに中道が無党派層の支持を得られなかったかということが、選挙結果を象徴していると思います。
チームみらい 安野貴博 党首:
我々も街頭で、「今まで特に推している政党はない」という方が結構来ていただいていた印象はあったので、この数値自体は私の肌感ともすごく合うなと思います。
藤森祥平キャスター:
批判ばかりの野党というよりも、やはりチームみらいの価値観である「誰もおとしめない」や「分断を煽らない」という考え方が共感されたのではないでしょうか。
チームみらい 安野貴博 党首:
そういったポイントもあったと思います。「建設的に話し合いをしていくことが大事だ」ということを我々は訴えていて、そこは一定の評価をいただいたかなと思います。
巨大与党にどう対抗?問われる“数”ではない求心力
小川彩佳キャスター:
巨大な与党が誕生したわけで、そこに野党がどう食い込んでいくのかが試されるところだと思いますが、どう求心力をもたせるか?
チームみらい 安野貴博 党首:
ここまで与党が大きくなるのも、なかなか無い事態なので、我々も模索しながらだとは思いますが、いくつかやはりアプローチがあるのではないかと思います。
まず、我々は今まで政治の世界になかったようなもの、私はAIの専門知識も持っており、今後いろいろな社会の仕組みを考えていく上で重要になってくるので、そういった知識を生かしながら貢献していく道はあると思います。
我々は、与党も野党も同じように、いろいろな政党と連携しながら進めていくというところで、そういった形のうねりを小さい政党だけで作っていくことができるのではないかと思います。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
おそらく次の政治は、自民党が数の力で押し切っていく政治をするか、野党の中道が立て直してくるかどうかですが、安野さんからするとどちらの方に魅力を感じますか?
チームみらい 安野貴博 党首:
我々は政策によって、自民党に近いところもあれば、中道に近いところもあると思うので、是々非々でやっていきたいなと思います。ただ自民党も300人いらっしゃると、いろいろな考えの方がいらっしゃるので、その中でも話の合う方と進めていくことはできるかなと思います。
JX通信社 米重克洋 代表取締役:
社会保険料の軽減などはチームみらいとして掲げていると思いますが、社会保険料は結構制度が複雑で、手を入れるのに強い政治力が必要という難しいテーマをあえて選ばれているなと感じます。
支持層の方は当然、期待されていると思いますが、選挙や政治を見ている立場としては、小さい政党にとってはずいぶん荷が重いテーマなのかなと正直感じます。
例えば、他の野党と連携したりして政策を実現していこうとか、何かそういう絵姿をお持ちなのでしょうか?
チームみらい 安野貴博 党首:
1党だけだと大きなことを動かしにくい側面はありますが、国会のDX化は与野党6党で協議する場を作って一緒にやっていたりするので、与党とも野党ともしっかりと組みながら、考えが同じ人たちをまとめてうねりを作っていくことは、小さい政党でも、ある種、触媒のような形でできるのではないかと思います。
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<プロフィール>
安野貴博さん
チームみらい党首
参院議員 AIエンジニア
結党9か月 初の衆院選で11議席獲得
米重克洋さん
JX通信社代表取締役
世論調査や選挙分析などを手がける
星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
政治記者歴30年 福島県出身

