アフリカの「ホームタウン」に長井、木更津、三条、今治の4市 SNS騒動化に木更津市長名義で声明

21日、アフリカ諸国との「ホームタウン」に認定された国内4市の市長ら 国際

アフリカの「ホームタウン」に長井、木更津、三条、今治の4市 「移住先では」と懸念の声

国際協力機構(JICA)は国内4市をアフリカ諸国の「ホームタウン」に認定した。日本とアフリカを双方向に行き来する「人材環流」を見据え、交流を拡大するとしている。山形県長井市がタンザニア、千葉県木更津市がナイジェリア、新潟県三条市がガーナ、愛媛県今治市がモザンビークのホームタウンとなった。だが、相手国では移住先であるかのような報道も出ており、4市の住民などに懸念の声も上がっている。

現地は「日本が特別ビザ用意」

21日、横浜市で開かれた第9回アフリカ開発会議(TICAD)に合わせた会合で、4市の市長にJICAの宮崎桂副理事長が認定状を交付。今治市はプレスリリースで「人口減少と高齢化が進む地域課題の解決に向けて、若い労働人口の雇用確保といったモザンビークが抱える課題との相互解決を目指して、まずは『架け橋』となる人材の育成をテーマに取り組みを進めたいと考えています」と、将来的に人口減少対策につなげると説明している。

また、タンザニア紙「タンザニアタイムズ」は「日本は長井市をタンザニアにささげた」と報道。ナイジェリア紙「パンチ」や英BBC放送、英紙ガーディアンは、木更津で就労するための特別ビザを日本政府が用意するとのナイジェリア当局の声明を伝えて、木更津の風土を紹介するなど、相手国側に誤解を与えかねない状況となっている。

「移民受け入れではないか」

ナイジェリアはイスラム過激派ボコ・ハラムがテロを繰り返し、日本の外務省は一部地域に退避勧告を出している。タンザニアとモザンビークも一部地域に渡航中止勧告が出るなど政情は不安だ。SNS上では「移民の受け入れではないか」「市民だが、聞いていない」などと懸念が広がっている。

千葉県の熊谷俊人知事はX(旧ツイッター)で「少なくともこの取組によって木更津市や千葉県が危険になる、犯罪が増えることはありませんのでご安心ください。SNS上でデマばかりつぶやくインプレッション稼ぎのアカウントの話には気を付けてくださいね」と否定した。

「ナイジェリアからの移民受け入れ」千葉・木更津市が完全否定 SNS騒動化に市長名義で声明

「ナイジェリアからの移民受け入れ」千葉・木更津市が完全否定 SNS騒動化に市長名義で声明(日刊スポーツ 2025年8月25日11時57分)

独立行政法人の国際協力機構(JICA)が発表した国内4つの地方自治体を「JICAアフリカ・ホームタウン」とする事業をめぐり、該当自治体の1つの千葉・木更津市は25日、公式サイトで、事業の狙いにについてあらためて説明する市長名義の声明を公開した。SNSの一部で情報が広がっていた、相手国ナイジェリアからの移住・移民受け入れは否定した。

同事業は、アフリカ開発会議(TICAD9)の一環として、21日に横浜で行われた会議で発表された。ホームタウンになった自治体と各国の関係性を強めることで、地域活性化や人材交流、とアフリカの発展につなげる狙いがあるとされ、愛媛県今治市はモザンビーク共和国、千葉県木更津市はナイジェリア連邦共和国、新潟県三条市はガーナ共和国、山形県長井市はタンザニア連合共和国のホームタウンに認定された。

一方で、相手国から来日する人に対し、特別就労ビザが発給されるなどとする情報がSNSで拡散。長井市をめぐっては、一部タンザニアメディアが「日本が山形・長井市をタンザニアに捧げた」との翻訳もできる英文の見出しで報じたことで、奈良市議選に当選を果たしたへずまりゅう氏や参政党で愛知・稲沢市の小柳彩子市議、漫画家の倉田真由美氏らが疑問を示す発信をするなど、騒動化していた。

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▽木更津市の声明全文

JICAアフリカ・ホームタウン認定の件につきまして、たくさんのご意見を頂戴し、誠にありがとうございます。

2025(令和7)年8月21日(木曜)に、「第9回アフリカ会議(TICAD9)」のテーマ別イベントとして開催された「JICAアフリカ・ホームタウン・サミット」において、本市がナイジェリア連邦共和国のホームタウンとして認定された件につきまして、一部のSNS等で報じられている移住・移民の受け入れやナイジェリア国における特別就労ビザ等の発給要件の緩和措置などの事実は、本市から何ら要請した事実はなく、また、一切承知しておらず、SNS等で報じられている事実もございません。

本市とナイジェリア連邦共和国との関係につきましては、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」のホストタウンを務め、そのつながりの中で、この度、独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」という。)からホームタウンの認定を受けたものです。

今後の取組につきましても、JICAの「2024年度草の根技術協力事業(地域活性型)」の採択を受け、ナイジェリアを舞台に野球・ソフトボールを通じて、「規律」を基礎とした若者の人材教育に協力するものであり、移住や移民の受け入れにつながるような取組ではありません。

なお、今回の事実関係につきましては、主催者であるJICAを通じて確認するとともに、JICA側から「アフリカ・ホームタウン」の趣旨を正確に説明頂くよう強く要請したところです。

グローバル化が進展する中、国を超えた交流機会の創出は大変重要な視点である一方、国際交流や多文化共生を推進する上で、今回のような事実とは異なることが報じられることがないよう、市民の皆さまをはじめ、丁寧な説明のもと、進めてまいりますので、ご安心頂ければと思います。

木更津市長 渡辺芳邦