旧統一教会に東京地裁が解散命令、民法上の不法行為で初。元米下院議長ギングリッチ氏、旧統一教会の解散命令に反対。

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の日本本部 社会

旧統一教会に解散命令 民法上の不法行為で初―教団は即時抗告方針・東京地裁…時事通信

旧統一教会に解散命令 民法上の不法行為で初―教団は即時抗告方針・東京地裁

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る解散命令請求について、東京地裁(鈴木謙也裁判長)は25日、文部科学省の主張を認め、解散を命じる決定をした。幹部らが刑事責任を問われたオウム真理教などとは異なり、民法上の不法行為を根拠とした初のケースとなった。

旧統一教会は、決定を不服として東京高裁に即時抗告する方針。高裁で判断が維持されると命令の効力が発生し、教団は宗教法人格を失う。宗教活動を続けることは可能だが、礼拝施設などの財産を処分しなければならないほか、税制上の優遇措置を受けられなくなる。

宗教法人法は、法令に違反して著しく公共の福祉を害したり、宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたりした場合などには、裁判所が解散を命令できると定めている。

文科省は、教団信者が遅くとも1980年ごろから、素性を隠した勧誘で不安をあおって教団への高額献金を迫るなどの不法行為を繰り返しており、解散理由に該当すると主張。被害の規模は示談なども含めると約1550人、総額約204億円に上るとされる。

これに対して教団側は、献金の受領は宗教活動の一環で、不法行為による財産獲得の受け皿ではないなどと反論していた。

教団を巡っては、2022年7月の安倍晋三元首相銃撃事件で、母親が信者だった山上徹也被告(44)=殺人罪などで起訴=が教団への恨みが動機だと供述。高額献金などが改めて社会問題化し、自民党を中心とした政治家との関係も明るみに出た。

文科省は同年11月以降、教団に対して報告徴収・質問権を7回行使して証拠を収集。23年10月に解散命令を請求した。

地裁は非公開の審問を4回開き、現役信者や元信者を証人尋問するなどして審理を進めていた。

旧統一教会に解散命令 東京地裁 高額献金などの問題で国が請求…NHK

旧統一教会に解散命令 東京地裁 高額献金などの問題で国が請求

旧統一教会の高額献金や霊感商法の問題をめぐり、東京地方裁判所は、国の請求を認めて教団に解散を命じました。法令違反を根拠にした宗教法人への解散命令はオウム真理教などに続いて3例目で、教団は不服を申し立てるとみられます。

旧統一教会=世界平和統一家庭連合の高額献金や霊感商法などをめぐる問題で、文部科学省はおととし、宗教法人法に基づき、教団に対する解散命令を東京地方裁判所に請求しました。

これまで、文部科学省は高額献金などの被害を受けたとする170人以上へのヒアリングなどから「長期間にわたり継続的に高額の献金を得て、財産的、精神的な犠牲を余儀なくさせた」と主張したのに対し、教団は「献金は宗教活動の一環だ。コンプライアンスを指導した2009年以降、献金などに関する苦情は激減しており、組織性、悪質性、継続性はない」と反論していました。

これについて東京地方裁判所の鈴木謙也裁判長は25日、教団に解散を命じる決定をしました。

法令違反を根拠にした宗教法人への解散命令は、地下鉄サリン事件などを起こしたオウム真理教と、最高幹部が詐欺で有罪判決を受けた明覚寺に続き3例目で、民法上の不法行為が根拠となるのは初めてです。

教団は決定を不服として即時抗告するとみられます。

旧統一教会に解散命令…東京地裁…読売新聞

旧統一教会に解散命令…東京地裁

東京地裁は25日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について、宗教法人法に基づく解散命令の決定を出した。文部科学省が、違法な勧誘で高額な献金をさせる民法上の不法行為を繰り返したとして地裁に解散命令を請求していた。

法令違反による解散命令は3例目だが、不法行為を理由としたのは初めて。オウム真理教など過去2例は、幹部らが起こした刑事事件が根拠となっていた。

文科省は2023年10月、教団が1980年頃から長期間にわたり、継続的に高額献金や霊感商法による被害を生じさせ、損害賠償責任を認めた判決は32件(被害額約22億円)に上るなどとして解散を請求。教団側は組織的に違法行為をしたことはないとした上で、信者に法令順守の徹底を求めた2009年の「コンプライアンス宣言」以降、被害の訴えは激減し、解散命令の要件は満たさないなどと反論していた。

同地裁では昨年2月以降、非公開の審問が開かれ、元信者や現役信者らへの証人尋問などを実施。今年1月、文科省と教団側の双方が最終的な主張書面を提出し、審理が終結していた。

地裁の決定に対して、教団は即時抗告できる。高裁が解散命令を支持した場合は確定し、裁判所が選任した清算人による清算手続きに移る。最高裁に特別抗告しても清算手続きは続くが、解散命令の判断が覆れば手続きは停止される。

解散命令は、礼拝施設などの財産を所有する能力を与える目的で宗教団体に与えられた法人格を失わせる手続き。法人格がなくなれば法人名義の資産を所有できず、宗教法人に認められる税制優遇なども受けることはできない。法人格のない任意団体などとして存続はでき、信者らの宗教行為が制限されることもない。

旧統一教会の解散を決定 高額献金の勧誘めぐり 東京地裁…朝日新聞

旧統一教会の解散を決定 高額献金の勧誘めぐり 東京地裁

高額献金の勧誘などをめぐり、文部科学省が求めた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への解散命令請求について、東京地裁(鈴木謙也裁判長)は25日、教団を解散するという決定を出した。教団側が明らかにした。

教団はこの決定に対し、不服申し立てを東京高裁にするとみられ、その場合は解散決定による効力は生じない。解散命令の是非は、最高裁まで争える。

阿部文部科学相は決定を受け、「私どもの主張が認められたものと受け止めている」とするコメントを出した。

教団はホームページに「到底、承服できるものではない」「即時抗告を検討していく所存」などとするコメントを掲載した。

解散の決定が確定すると、宗教法人格が失われる。宗教活動による所得であれば、法人税を支払わなくてよいなどの税制優遇がなくなるが、信仰や布教などの宗教活動そのものは禁止されない。

宗教法人法は「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」などが宗教法人にあった場合、裁判所が解散を命じることができると定める。

文科省は2023年10月、地裁に解散命令を請求した。教団が遅くとも1980年ごろ以降、教団の利得のために多くの人の不安をあおり、多額の献金をさせて損害を与え、平穏な生活を害したなどと主張。約5千点の証拠資料を提出し、確認できた範囲で被害者約1550人、計約204億円にのぼる民法上の不法行為があった、と訴えた。

これに対し教団側は、文科省が出した被害者の陳述書などは誤っていると反論した。献金の受領は宗教活動の一環だとし、2009年に「コンプライアンス宣言」をして以降、教団に対する献金をめぐる被害の訴えは大幅に減ったと主張してきた。

解散命令請求に対する審理は法律に基づき、非公開で進んだ。

主な争点は、高額献金の勧誘などについて、教団の「組織性、悪質性、継続性」が認められるかだった。

法令違反を理由とした裁判所の解散命令は、過去にオウム真理教(1996年に最高裁で確定)と明覚寺(2002年に最高裁で確定)の例があり、いずれも刑法違反が根拠とされた。

今回の請求は、刑法違反ではなく民法上の不法行為を理由としたが、最高裁は3月、解散命令の根拠に「民法上の不法行為も含まれる」との初判断を別の裁判で示していた。

教団によると、国内の教会数は約280、信者は約60万人。そのうち、毎週礼拝に参加する信者は約10万人という。

ギングリッチ元米下院議長、旧統一教会の解散命令に反対 「中国共産党と日本が接近する」…産経新聞

ギングリッチ元米下院議長、旧統一教会の解散命令に反対 「中国共産党と日本が接近する」

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する文部科学省の解散命令請求を巡り東京地裁が25日午後にも判断を下すのを前に、米共和党のギングリッチ元下院議長は24日、自身のX(旧ツイッター)で「中国共産党と日本が接近する」として解散命令に反対する見解を表明した。

ギングリッチ氏は「日本政府は安倍晋三元首相銃撃事件の捜査に注力する代わりに旧統一教会を標的にしたことで、世界中の政治・宗教指導者を驚かせた。この罪のない第三者は衝撃的な殺人事件とは何の関係もない」などとする旧統一教会系日刊紙、ワシントン・タイムズの記事を引用する形で投稿。

解散命令について「米国と日本の関係、そして日本の政治情勢に対する我々の見方に重大な影響を及ぼすことになるだろう。旧統一教会に対する現在の攻撃は、日米同盟を弱体化させ、中国共産党と日本の接近のきっかけを作ろうとする試みだ」とした。

ギングリッチ氏はこれまでも旧統一教会を擁護。令和元(2019)年、自民党政調会長だった岸田文雄前首相と面会した際に、教団友好団体のトップが同席していたことが明らかになっている。

旧統一教会は共産主義に強く反対し、共和党の支持基盤である宗教保守層の一つとされている。トランプ大統領は就任前の2022年、教団系の集会に安倍氏とともにビデオメッセージを寄せ、この集会が安倍氏銃撃事件で起訴された山上徹也被告の動機とされている。

第2次トランプ政権では、バンス副大統領が旧統一教会が協賛する行事で講演したほか、教団と関係がある女性伝道師ホワイト氏が信仰問題を扱う部署のトップに就任している。

解散命令、旧統一教会は3件目 先例のオウム、明覚寺はどうなった?…毎日新聞

解散命令、旧統一教会は3件目 先例のオウム、明覚寺はどうなった?

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に東京地裁が下した解散命令は、法令違反を理由とするものとしては23年ぶり3件目となる。解散命令で法人格を剥奪された団体はその後、どのような経緯をたどることになるのか。過去に解散命令を受けたオウム真理教と明覚(みょうかく)寺(和歌山県)のケースから振り返る。

宗教法人法は、税制上の優遇措置などを受けている宗教法人について、法令に違反して、著しく公共の福祉を害する行為や宗教団体の目的を著しく逸脱した行為などが認められた場合、所轄庁や検察官などの請求により裁判所が解散命令を出せると定めている。宗教団体は法人格を失って税制優遇が受けられなくなり、裁判所が選任した清算人が財産整理に入ることになる。

地下鉄サリン事件は1995年3月20日に発生。オウム真理教の信者が東京・霞ケ関駅へ向かう地下鉄車内で猛毒のサリンを散布し、14人が死亡、約6300人が負傷した。

教祖・麻原彰晃を名乗った松本智津夫元死刑囚が95年5月に逮捕された後、東京地検と東京都は「サリン製造の企て」が解散命令の要件を満たすと判断し、6月末に解散命令を東京地裁に請求。10月末に地裁が解散を命じた。

教団側の東京高裁への即時抗告、最高裁への特別抗告はいずれも棄却され、96年1月末に最終的な司法判断が確定した。

これ以前の宗教法人への解散命令は代表役員が死亡したり、1年以上不在となったりするなどの「休眠法人」に限られており、法令違反による「反公共性」を理由とした初めてのケースとなった。

ただ、解散命令により法人格を失っても、任意団体としての活動は認められている。

教団は2000年に「アレフ」に改称。「ひかりの輪」など計3団体の後継団体があり、アレフは24年10月時点で約1220人の信者や多額の財産を抱える最大規模の団体で、公安調査庁は今もなお松本元死刑囚の影響下にあるとみている。

公安審査委員会が23年3月、アレフに対し施設の使用禁止や布施などの金品受領の禁止など、活動を大幅に制約する再発防止処分を下したため、新たな信者獲得は限定的となっているが、被害者や遺族への賠償はいまだに道半ばだ。

一方、明覚寺は「霊視商法詐欺」が社会問題化した。1994~95年に僧侶らがチラシで勧誘した主婦らに「水子の霊がついている」「家族が不幸になる」などと脅し、多額の供養料などを支払わせた。

99年7月に最高幹部が和歌山地裁で実刑判決を受けた後、12月に文化庁が和歌山地裁に解散命令を請求。02年1月に解散が命じられた。

オウム真理教のケースと異なるのは、明覚寺側が解散命令請求に先立ち、施設の売却で捻出した資金で被害者への和解金計約11億円を支払っており、幹部の実刑判決で組織的活動はなくなったとみられる点だ。命令の前に、実質的な解散状態にあった。

明覚寺事件に先立つ92年には、同じ系列の宗教法人「本覚寺」(茨城県)で同様の霊視商法が社会問題化しており、その後、和歌山県で休眠状態にあった別法人の明覚寺が買収され、組織替えに悪用されたという経緯がある。

和歌山県総務課の担当者は「95年の宗教法人法改正を機に明覚寺の管轄は文化庁に渡ったため、資料もほとんど残っていない」とした上で、明覚寺のその後については「後継団体などの話は聞いたことがない。不活動宗教法人(休眠法人)が悪用されて第2、第3の明覚寺事件が起こらないよう、各法人の実地調査や責任者への周知活動を続けている」と話す。

宗教法人が引き起こした事件を巡ってはこのほか、主婦らに「足裏診断」を受けさせ「がんになっている」などと偽って「修行代」をだまし取るなどの巨額の詐欺事件を起こした法の華三法行(さんぽうぎょう)(静岡県)に対し、文化庁が解散命令請求を検討した。

ただ、01年に東京地裁が法の華に下した破産宣告が、宗教法人法で解散の理由に該当すると定められているため、請求を待たずに解散することとなった。

解散命令の意義はどこにあるのか。オウム真理教の信者に命を狙われた経験を持つ滝本太郎弁護士は、23年の毎日新聞のインタビューで「たとえ解散しても旧統一教会が団体として残るのは確実だが、これ以上の悲劇を生まない予防策になる」と語っている。

「最大の利点は、宗教法人としては解散させられることで『旧統一教会は日本では公益性のある宗教として認められていないんだ』と世間から認識される、いわば正当性の問題です。教団は勧誘活動がしづらくなり、新しい信者も入りにくくなる。今の信者も離れていきやすくなる」としている。【西本紗保美】

旧統一教会に東京地裁が解散命令、民法上の不法行為で初…日本経済新聞

旧統一教会に東京地裁が解散命令、民法上の不法行為で初

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し、東京地裁は25日、宗教法人法に基づき解散命令を出した。寄付勧誘に関する民法上の不法行為が解散要件に当たると判断した。2022年の安倍晋三元首相銃撃事件で浮き彫りとなった教団を巡る問題は大きな区切りを迎えた。

組織的な寄付勧誘が宗教法人の目的を著しく逸脱しているとして、文部科学省が地裁に請求していた。教団側は即時抗告するとみられる。最高裁まで争うことができ、最終的な結論までは時間がかかる可能性が高い。

宗教法人法は「法令に違反し著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」や「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」がある場合に裁判所が解散を命令できると定める。政府は22年10月、民法上の不法行為でも「組織性、悪質性、継続性」を満たせば解散命令を請求できるとの解釈を示した。

法令違反による解散命令は過去2例しかない。1996年のオウム真理教と2002年の明覚寺(和歌山県)はいずれも幹部らが刑事事件を起こしていた。旧統一教会は幹部らによる刑事事件がなく、民法上の不法行為が根拠となるかどうかが争われた。

国側は信者らの寄付勧誘について旧統一教会側の賠償責任を認めた民事判決が32件あり、和解や示談を含む被害額は約204億円に上るとして、解散命令の要件を満たすと主張した。

教団側はそもそも解散要件の法令違反に民法上の不法行為は含まれないと反論した。寄付は宗教活動の一環で受け取り、目的を著しく逸脱した行為もないとして全面的に争った。

約1年3カ月の審理はすべて非公開で行われた。関係者によると、現役信者や元信者ら計5人が出廷し、寄付の経緯や実態などを説明したという。

命令が確定すれば法人格を失い、清算の手続きに入る。税制上の優遇措置は受けられなくなるが、任意団体として宗教活動は継続できる。

教団を巡る問題は、22年7月の安倍元首相の銃撃事件をきっかけに顕在化した。逮捕・起訴された山上徹也被告(44)は母親が約1億円寄付したことで生活が困窮し「教団への恨みがあった」などと供述した。

教団による霊感商法や寄付勧誘は1980年ごろから問題視されていたが、深刻な被害が続いている可能性があるとして、文科省が2022年11月から調査を始めた。

同省は教団に対し、宗教法人法に基づく「質問権」を7回行使し、財産や活動状況などを調べた。170人を超える被害者らへの聞き取りも実施し、不安をあおって高額な物品購入や寄付を勧誘される被害がなお続いていると判断。23年10月に解散命令を請求し、約5000点の証拠を提出した。

今回の裁判に先行し、教団側が質問権行使への回答を拒んだことに「過料」を科すべきかどうかが争われた。最高裁は25年3月の決定で、質問権行使の前提となった民法上の不法行為について「解散命令の要件となる」と判示。過料を科す判断が確定している。

教団側は09年の「コンプライアンス宣言」で活動方針を見直し、霊感商法などの問題は是正したと説明してきた。解散命令を巡る裁判が始まった後の23年11月には被害救済の原資として最大100億円を国に預ける方針を示した。