全国の私立幼稚園が加盟する「全日本私立幼稚園連合会」(東京都千代田区)は9日、災害対策の基金などが無断で取り崩され、2017~20年度に計約4億円の不正出金があったことを明らかにした。
連合会の香川敬会長(当時)は昨年11月27日、使途不明金の存在を指摘され、5期10年以上にわたって務めた会長の職を辞任した。
香川前会長は「会長として使途不明金を出した管理監督責任があるので辞任したが、口座の管理は事務方が行っており、私自身は1円たりとも資金の流用はしていない。カネが何に使われたのかは全く分からない」と説明した。しかし、使途不明金が発覚しないよう、複数の銀行口座の通帳を偽造するよう指示していたことも分かっている。
幼稚園連合会は、内部に特別委員会を設置し、弁護士とともに刑事告訴も視野に調査を続けている。
全日本私立幼稚園連合会は、幼児教育の振興を図る目的で1984年に設立された任意団体で、全国およそ7500の私立幼稚園が加盟している。加盟する幼稚園から集めた会費などを主な財源に、幼児教育の無償化などの振興策について政府や国会議員への要望活動などを行っている。
平成29年度一般会計収支予算書(案)には、受取会費収入が1兆7500億円とあり、備考欄に、会費1園12,000円 + 園児70円 × 加盟園児数とある。
関係団体も不正
関連団体の「全日本私立幼稚園PTA連合会」でも数千万円の不正流出を確認。PTA連合会は森喜朗元首相が最高顧問、河村建夫元官房長官が会長を務めている。
「幼児教育の無償化を自民党に強く要請してきたのが香川前会長です。とりわけ清和会と縁が深く、連合会の全国大会には安倍前首相や森元首相、下村博文元文科相らが参列、スピーチしていました」(政界関係者)。永田町も戦々恐々としている。
香川会長が退いた後、田中雅道会長代行が事実究明に当たっている。田中会長代行は、3月9日、加盟園に向けてお詫びの文書を出した。
お詫びの文書(全文)をPDFファイルで掲載した。