大坂なおみ選手 全米オープンで優勝 黒いマスクで人種差別に抗議

大坂なおみ選手と桔梗 国際

テニスの4大大会・全米オープンは9月12日(日本時間13日)、女子シングルス決勝戦で大坂なおみ選手が2年ぶりの優勝を果たしました。

米国で黒人が警察官らの行為によって命を落とす事件が相次ぐ中、今大会では、黒人差別に抗議するマスクを毎試合着用しましたが、この日で用意していた7枚をすべて披露しました。

大坂なおみ選手 ツアー大会準決勝を棄権 黒人男性銃撃に抗議

大坂選手は、8月23日にウィスコンシン州で黒人の男性が警察官に背後から撃たれたことへの抗議として、27日に予定されていた準決勝をボイコットすると表明し、その日のすべての試合は休止になりました。

自身のツイッターで、

「私はアスリートである前に1人の黒人女性です。黒人女性として、テニスよりも、もっと大事な問題があります。
棄権することで劇的に何かが変わることを期待してはいませんが、白人が主流の競技で議論を始めるきっかけにできれば、正しい方向に進むための第一歩になると思っています。
警察官の手で黒人が虐殺され続けているのを見ると本当に胸が痛くなります。
何度も何度も同じ話題を扱うことに疲れ切っています。いつになったら終わるのでしょう。」

August 26, 2020 at 8:46 PM
Hello, as many of you are aware I was scheduled to play my semifinals match tomorrow. However, before I am a athlete, I am a black woman. And as a black woman I feel as though there are much more important matters at hand that need immediate attention, rather than watching me play tennis. I don’t expect anything drastic to happen with me not playing, but if I can get a conversation started in a majority white sport I consider that a step in the right direction. Watching the continued genocide of Block people at the hand of the police is honestly making me sick to my stomach. I’m exhausted of having a new hashtag pop up every few days and I’m extremely tired of having this same conversation over and over again. When will it ever be enough?
JacobBlake, #BreonnaTaylor, #ElijahMcclain, #GeorgeFloyd 17 10175

とコメントしました。

大坂選手の行動に対して、スポーツに政治を持ち込むなという批判もありましたが、彼女は敢然と立ち向かい、その勇気ある行動に対して国内外から称賛の声が上がっています。

ツイッターやインスタグラムのコメント欄には、
「オオサカはスポーツ界にとって非常に大きな存在だ」
「本当に感動した」
「勇敢なナオミ・オオサカ!」
「彼女は使命を背負っているよね」
など、多数の声が寄せられています。

大坂なおみ選手がマスクに記した7人の犠牲者

大坂選手は1回戦の勝利インタビューで、「7枚のマスクでは、多くの犠牲者の名前を綴るのに足りないのを残念に思う。決勝に行って、全てのマスクを見せたい」と語り、決勝を含めて全7試合で、犠牲になった黒人の名前を記したマスクを披露して来ました。

1枚目・1回戦 ブレオナ・テイラー(Breonna Taylor)

ブレオナ・テイラーさんは、ケンタッキー州ルイビルの26歳の救急救命士でした。
彼女は今年3月13日の深夜、麻薬事件の捜索で自宅に押し入ってきた警察官に射殺されました。自宅から麻薬は見つかりませんでした。麻薬事件の捜査対象は、テイラーさんではなく、その場にいなかった別の容疑者でした。
警察官は免職や配置換えとなりましたが、誰も刑事責任は問われませんでした。

2枚目・2回戦 エライジャ・マクレーン(Elijah McClain)

エレイジャ・マクレーンさんは、動物を愛する23歳のマッサージ療法士でした。
2019年8月24日夜、コロラド州オーロラでコンビニからの帰宅中に3人の警察官に呼び止められました。帰宅したいと伝えても警官は応じず、抵抗したとみなされ、警官から銃を奪おうとしたという理由で地面に強く押し付けられ、意識を失いました。病院搬送中に心肺停止となり、数日後に死亡しました。
3人の警察官は当初休職処分となりましたが、検察が起訴せず、再び職務復帰しました。

3枚目・3回戦 アマッド・アーバリー(Ahmaud Arbery)

アマッド・アーバリーさんは、ジョージア州ブランズウィックに母親とに住む25歳の青年でした。
2月23日午後1時ごろ、近所をジョギングしている最中に、白人の親子に銃殺されました。親子は.357マグナム弾とショットガンを持ってトラックでアーバリーさんを追いかけ、路上で口論となり、後に射殺しました。逮捕された親子は「強盗だと思った」と主張しています。

4枚目・4回戦 トレイボン・マーティン(Trayvon Martin)

トレイボン・マーティンさんは、フロリダ州マイアミで母親と暮らす17歳の高校生でした。
2012年2月26日、マーティンさんは父親の元を訪ねていた。コンビニで買い物をした帰り道、ヒスパニック系の白人の男性と遭遇し、口論となった末、胸を銃で撃たれて死亡しました。
男性は逮捕され、第2級殺人の罪に問われましたが、その後2013年7月に無罪評決となりました。黒人に対する人種差別として、全米で抗議活動が広がりました。

5枚目・準々決勝 ジョージ・フロイド(George Floyd)

ジョージ・フロイドさんは、テキサス州ヒューストン出身の46歳でした。
5月25日、フロイドさんは偽造した20ドル札を使った容疑で拘束された際、警察官に膝で首を抑え付けられてその後に死亡しました。何度も助けを求めるフロイドさんの声は無視され、警察官は8分40秒に渡って膝で首を抑え続けました。
その様子を撮影した動画がSNSで拡散され、全米や世界そして日本にまで広がりました。

6枚目・準決勝 フィランド・カスティール(Philando Castile)

フィランド・カスティールさんは、ミネソタ州に住むビデオゲームが好きな32歳でした。
2016年7月7日、ミネソタ州のセントポール郊外で車を運転していたところ警察官に止められました。警察官は免許証と保険の提示を求めましたが、カスティールさんがポケットから銃を取り出そうとしたと思い、車内に向けて発砲、うち5発がカスティールさんに命中しました。
警察官は第2級故殺の罪に問われましたが、陪審員による裁判で無罪評決が下りました。

7枚目・決勝戦 タミル・ライス(Tamir Rice)

タミル・ライスさんは、オハイオ州クリーブランドに住む12歳の少年でした。
2014年11月22日、ライスさんは市内の公園で模造銃を手に遊んでいたところ、通報で駆けつけた白人警官に銃で撃たれて死亡しました。警察官がパトカーで現場に到着してから発砲するまで、ほんの10数秒の出来事でした。
タミルさんを撃った警察官に対しては起訴が見送られました。

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