自民党安倍派「5人衆」の一人、世耕弘成・前参院幹事長が、派閥の裏金事件をめぐり、収支報告書不記載について「秘書に任せきり」と説明したことが波紋を広げている。
1月19日、世耕氏は会見で、派閥から受けた政治資金パーティー収入のキックバック総額が、2018年からの5年間で1542万円だったと明らかにしたうえで、こう釈明した。
「秘書に任せきりにしていた。秘書が私に報告しないまま、政治資金収支報告書の簿外で管理していた還付金について、把握することができなかった」
さらに世耕氏は、不記載分は「政治活動に使った」としたうえで、「不正な目的や私的な目的でなされた支出、いわゆる裏金的な支出は一切確認されていない」と強調。
自身が立件されなかったことで「法的な責任については一つの区切りがついたのではないか」とし、議員辞職は否定した。
だが、ここで注目されたのが、世耕氏のかつてのツイートだ。
2010年、東京地検特捜部が20億円を超える政治資金規正法違反で小沢一郎衆院議員の秘書経験者3人を逮捕・起訴、一方で小沢議員自身が不起訴処分になったことに対し、当時のTwitter(現在のX)に、こんな投稿をしているのだ。
《小沢幹事長不起訴?会計システムまで構築し、収支報告時には、貴重な限られた時間を犠牲にして、担当秘書にひとつひとつ質問しながらじっくりと確認した上で書類を提出していることが、空しくなってきます。》(2010年2月3日)
そんなツイートをしておきながら、今回は秘書に責任を押しつけるような説明に終始する世耕氏に対し、SNSでは憤激する声があふれた。
《ここまで全面的に秘書のせいにできるとはすごいね。こんな人が政治家であるべきではない》
《あれれれれ!? 担当秘書にひとつひとつ質問しながらじっくりと確認してたはずですよね?》
《秘書に任せきり? 嘘つけ! 1542万円もの大金、秘書が勝手に裏金にするか!》
世耕氏が理事長を務める近畿大学教職員組合は、1月20日、「X」にこう書きこんだ。
《仮に「秘書がやった」というのが本当だとしても、監督責任は世耕。近畿大学では、2019年に法学部で研究不正があった際、不正者が解雇されただけでなく、法学部の役職者3名が監督不行届で減給処分になっている。現場には監督責任を負わせるのに、自分は?》
《一般人にはスラップ訴訟をするし、労組のツイートにも訴訟をちらつかせて団体交渉を制限するのに、「勝手に裏金を作った極悪人の秘書」は、なぜか訴えない。》
1月19日には、安倍派の塩谷立座長も記者会見。キックバック分の使途について、所属議員が「決して不正な使い方をしたわけではないと信じている」と釈明。記者団から「脱税ではないか」と問われると、「脱税という意識はない」とする一方、税務申告については「今まで不記載だったので、まったくしていない」と明らかにした。
塩谷氏の説明にも、SNSで怒りの声があがっている。
《じゃあ全国民も、『税務申告はしてないが、脱税という意識はない』でいいよな!?》
《これ、私が税務署で同じ事を言っても、「では仕方がないですね」とは言ってくれずに脱税扱いなわけよね。議員先生はよろしいことだな》
《これええんか? 放っておくんか? めっさムカつくねんけど。一般市民だけ払えってゆうの?》
秘書に責任を押しつけ、政治への不信感を高めただけでなく、納税に対する不公平感まで高めた安倍派の罪は重い。
( SmartFLASH )