「“増税メガネ”と言われたくないだけ」“所得税減税”に街の声、与党内、財務省からも…【news23】(TBSテレビ 2023年10月24日(火) 12:25)
“所得税減税”に街の声は…
家計負担の軽減策として岸田総理が指示した「所得税の減税」、街の人はどう思っているのか話を聞きました。
主婦
「手取りが増えるなら賛成なんですけどでも、絶対微々たるもんですよね。だったら電気代とかガス代とかガソリン代の補助とか、目に見える物を減らしていただけると助かります。せめてレギュラー(ガソリン)150円台になると助かります」
会社員
「減税されたら、自分の所得が増えるので嬉しいなと感じます。もう少し自分の生活水準を上げるために、贅沢できるようになるかな。消費が回転して、それで税が回収できるならいいんじゃないかと」
会社員
「税金が下がっても、そもそも賃金が上がらないと、今後、見通しもつかないのかなというところは、すごく不安です。一律にばらまくのは良くないなと思っていて、しっかりと見極めた上で、必要なところに必要な資金を供給していくというところが一番大切なのかなと思います」
年金受給者
「主な買い物は、食品だけだから。消費税を下げてくれれば一番ありがたい。5%くらいになってくれたら嬉しいですね」
会社員
「税が減るというのは生活も楽になると思うので嬉しいことだと思います。今、私たちが楽をしてても、子育てをして残された子どもたちが苦しい思いをするのは嫌だなと思うので、そこは長期的に見て、決めてほしいです」
年金受給者
「今、こういう時代だからね。少しは皆さんに還元してもらいたいなと思います」
会社員
「ばらまきじゃないですかね。基本的に、政府の。僕も不信感でしかない」
会社員
「減税そのものには賛成なんですけれど、『よくわからないけれど払え』というのが少なくなって、みんなが納得するのであれば、増税も減税もどっちも賛成は出来るんですよ」
“所得税減税”どうなる? 来春以降実施か
23ジャーナリスト 元経済部筆頭デスク 片山薫記者:
今、検討されているのが「定額減税」というもので、1人当たり4〜5万円減税されるんではないかとの見方が出ています。宮沢税調会長は「期間は1年間」と話しています。
小川彩佳キャスター:
期限付きというのが検討されているわけですが、街からも賛否両論、様々な声が聞かれました。
フリージャーナリスト 浜田敬子さん:
生活が厳しい方が、たくさんいらっしゃると思いますので、そこに対しての負担軽減という意味での給付は必要だと思います。
一律にばらまくというやり方は、むしろ将来不安を煽るというか、未来の投資をその分した方がいいんじゃないか。これだけ借金大国と言われる中で、少しでも財政を健全化して、異次元の少子化対策というところの財源も、曖昧なままになっているんですよね。なので、そこの財源に使った方がいいんではないかと思います。
小川キャスター:
どれだけのビジョンを持って、減税策が打ち出されているのかが、まだ見えてこないというところですよね。
浜田敬子さん:
そういうワンショット(一回きり)の政策でバラマキと言われても仕方がないのかなと思います。
小川キャスター:
まだ案の段階ではありますけれども、もし実現するとしたら、具体的にどのくらいの規模感があるのでしょうか。
TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
全体としては、所得制限付きの定額減税というプランです。大体1人5万円ぐらいの減税で、家族全体で10万円を超えるぐらいの減税になるかなと思います。
例えば1000万円ぐらいのところに所得制限を設けて、500万~1000万円ぐらいの人に対して、この人たちがかなりの税金を払ってますので、10万円減税しても、まだまだ税金いっぱい払っている。
一方で、税金の負担の少ない方々に対しては、10万円まで届かないケースがありますから、その場合は給付という形で現金を配るということです。
ただネックは、いくつかありまして、法改正なので実施されるのは2024年春以降ということです。
筋の悪い減税なので、自民党の中からも早くも反発が出ていて、本当に減税ができない可能性もあり、仮に減税ができない場合、総理が「減税する」と言ったのができなくなったら、責任問題。場合によっては進退にも繋がりかねないという重要な問題になる可能性もあります。まだまだ流動的な部分があると思います。
小川キャスター:
そして実施されたとしても、2024年春以降ということは、速攻性はないですね。
星浩コメンテーター:
給付に比べると即効性が非常に薄いです。
選挙対策? “減税”に党内から批判も
片山記者:
早くも自民党の議員の中から反対論も出ています。
【“所得減税”に異論】
船田元 衆院議員
「期限付きで小規模の所得減税の効果は極めて限定的。慎重であるべき」
石破茂 元幹事長
「『選挙を目当てにした減税』などと批判を浴びないよう、きちんと議論すべき」
財務省幹部
「総理の思いつきに付き合わされて財務省内は大混乱。本来給付でいいのに、わざわざ減税にしたのは、総理が“増税メガネ”と言われたくないだけなんじゃないか。それ以外考えられない」
というような話も出ています。
小川キャスター:
かなり強い口調ですね。
片山記者:
この制度がキチっと出来ているとは思ってないんですよ。無理やり作った感じがします。
星浩コメンテーター:
財務省からすると筋が悪いという受け止めでしょうね。
小川キャスター:
「増税イメージを払拭したい」という総理の思惑もあるのかどうか。そして石破さんからは「選挙目当てにした減税と思われないように」というコメントもありました。
10月22日の補欠選挙では、自民党は1勝1敗でしたが、この減税をもってして、総理が解散総選挙に踏み切るという可能性はどうですか。
星浩コメンテーター:
補欠選挙は、かろうじて自民党はどうにか繋がったという感じですが、岸田総理は支持率回復して、勢いを戻して解散をしたいという気持ちは、まだ残っていると思います。12月17日投開票をギリギリまで狙うという気持ちだと思います。
いま国民の意識は少し潮目が変わってると思います。困っている人にはどんどん給付してもらいたいと思いますけども、将来世代につけを回すのはどうかなという疑問も出ていますし、それから岸田さんに対する信頼感がかなり崩れてきているのが現状です。そうした中で、解散総選挙に持っていけるかどうか。非常に厳しい局面に入ってきた気がします。
小川キャスター:
選挙目当てという指摘も出ているわけですが、その中でこの減税があって、そして選挙にもし入っていくとしたら浜田さんはどう思われますか。
浜田敬子さん:
岸田さんは、前回の選挙で勝ったときに、黄金の3年間があると言われていたので、この国をどうしたいのかということを、きちんと自分で打ち出して腰を据えてできたと思います。
その中で異次元の少子化対策は、やるべきことだと思っています。この国の将来に希望がない人たちに対して、これをやることによって、安心して子供を産み育てられますよという政策は、絶対必要だと思っていたんですね。
であれば、ここだけでもいいから、きちんとやって、それを持って信を問う。大儀ある解散だったら、やってもいいと思いますけど、何のための解散総選挙なのか全くわからないです。その辺はもう有権者の方が賢いなと感じました。