芳野友子連合会長がどれだけ「(自公国連立は)あり得ない」と否定しても信用されないワケ

首相補佐官に任命された矢田稚子元参院議員 政治・経済

芳野友子連合会長がどれだけ「(自公国連立は)あり得ない」と否定しても信用されないワケ(日刊ゲンダイ 公開日:2023/09/19 14:50 更新日:2023/09/19 14:50)

「連合としてはあり得ない」。支援している野党・国民民主党の自公政権への連立入りについて、14日の会見でこう断言した「日本労働組合総連合会」(連合)の芳野友子会長(57)。だが、永田町では今もなお、この発言に懐疑的な見方を示す野党議員は少なくない。

最大の理由は、岸田文雄首相(66)が今回の改造人事で、国民民主党の副代表を務めた経験のある矢田稚子元参院議員(57)を首相補佐官に抜てきしたことだ。

矢田氏は産業別労働組合(産別)の一つ、電機連合の組織内候補として2016年の参院選で初当選したものの、昨年の参院選で落選。現在は出身のパナソニックに復帰している。今は国民民主党の党籍はないとはいえ、野党出身者を首相補佐官に起用するのは異例だ。

そんな矢田氏が「自公国」連立に向けた布石とみられているのは、矢田氏と芳野氏が近しい関係にあるためだ。

元日本テレビ政治部次長兼解説委員で、政治ジャーナリストの青山和弘氏(55)は2022年5月25日付の「デイリー新潮」で、自民党に“急接近”する芳野氏に対して連合内部から不満の声が出ている状況を詳述。その記事の中には、こんなくだりが出てくる。

「芳野氏と年齢、境遇が近く、親交の深い女性議員がいる。パナソニック労組出身で国民民主党の矢田わか子参院議員だ」

「男性社会の労働組合の中で、お互いに励まし合ってきた2人。そんな芳野氏が連合のトップに就くことは、矢田議員は夢のように感じると同時に、これ以上ない変革のチャンスに思えた」

「連合が共産党と相容れないのは当たり前です。それに自民党と接近していると言うけど、芳野さんは政策を真ん中に置いて、等距離で各党に理解を求めているだけじゃないですか」(矢田氏の発言)

芳野氏と年齢や境遇が近く、互いに励ましあってきたという矢田氏が「変革のチャンス」と捉え、“盟友”の芳野氏に「自公国」の連立を持ち掛けても不思議ではない──。芳野氏が国民民主党の連立入りを会見で「あり得ない」と繰り返しても、なかなか受け入れられないのは、この辺りにあるようだ。

検索サイト「Yahoo!ジャパン」による<あなたは第2次岸田再改造内閣にどれくらい期待しますか?>(投票は26日まで)との質問に対し、<全く期待しない>との回答が90.6%(19日昼時点・回答数約16万)にも達し、毎日新聞が16~17日に行った全国世論調査でも、支持率が8月の前回調査から1ポイント減の25%となった岸田政権。

SNS上では<支持率が回復しない岸田首相が余裕の表情を浮かべているのは、いずれ野党切り崩しが上手くいく、と考えているからではないか><岸田政権は連合を味方につけるのも時間の問題と見ているのでは>といった声が少なくない。