首相長男の総務省接待問題 便宜供与の疑念が拭えぬ、第三者機関で徹底解明を 各紙が社説で一斉に報道

総務省 政治・経済・社会

菅義偉首相の長男が勤務する放送事業会社「東北新社」による接待問題で、総務省は、2月22日、既に判明した幹部4人以外に9人、計13人の職員が接待を受けていたことを明らかにした。

13人のうち11人について国家公務員倫理規程上の「利害関係者からの接待」に該当するか、その可能性が高いと認定したとされる。その中に、総務省総務審議官を務めていた山田真貴子内閣広報官も含まれる。

23日、各紙はこの問題を一斉に社説で取り上げた。

<社説>総務省接待/首相は疑惑解明に努めよ(神戸新聞 2021/02/23)

<社説>総務省接待/首相は疑惑解明に努めよ(神戸新聞 2021/02/23)

ただ問題の核心は、官僚が首相の身内を優遇し、行政の公正性が歪められたのではないかという点にある。安倍晋三前首相時代に国民の信頼を失墜させた森友学園、加計学園問題、桜を見る会の疑惑と同じく、官僚の忖度が疑われる事態だ。

接待が集中した昨年12月は、子会社の衛星放送の認定更新直前だった。首相の権威を利用し、自社に有利な取り計らいを求める狙いがあったと疑われても仕方がない。

利益供与が賄賂と認定されれば贈収賄事件に発展する可能性もある。処分だけで幕引きはできない。総務省は、当事者が否定したため行政への影響はなかったと結論づけた。身内に甘い印象は否めない。

菅首相は国会で、公務員の違反行為に長男が関係したとして陳謝した。一方で「長男と私は別人格」と距離を置くが、それは通用しない。

首相は総務相を務め、同省に強い影響力を持つ。長男は総務相秘書官を務めた後、東北新社に就職し、接待の半数に同席していた。倫理規程を熟知しているはずの官僚らが、同社の度重なる誘いに応じたのは首相を意識したからではないか。

政治家の世襲を批判してきた首相が、身内優遇を黙認するのでは国民の信頼は得られない。総務省に徹底調査を指示し、全容解明に努めるべきである。身内も含めた振る舞いを反省しなければ疑惑は晴れない。

<社説>総務官僚の接待 許認可への影響究明を(東京新聞 2021年2月23日 07時45分)

<社説>総務官僚の接待 許認可への影響究明を(東京新聞 2021年2月23日 07時45分)

役所ぐるみの「接待漬け」という言葉が最も当てはまる。かつての大蔵省接待汚職事件や外務省機密費(報償費)流用事件にも匹敵する国家公務員倫理の逸脱だ。

しかし、処分で疑惑の幕引きとはできない。問題は総務省が持つ許認可権に関わり、そこに多額の金銭やそれと同等のものが介在していれば、汚職事件にも発展しかねない重大事であるからだ。

首相の長男は菅総務相の秘書官を務めた後、2008年に東北新社に入社。同社の元社長らは12年から18年までの間、計500万円を首相に個人献金していた。

長男ら同社側による総務省幹部接待は16年から20年にかけて行われ、20年12月には同社子会社の衛星放送事業の認定が更新されている。

接待の席で衛星放送事業についてのやりとりがあったことも明らかになっている。同社と首相との関係や接待が許認可に影響することはなかったのか。

武田良太総務相はきのう「放送行政がゆがめられた事実は確認されていない」と答弁したが、どこまで調査を尽くしたのか。

<社説>総務省接待問題 第三者機関で徹底解明を(西日本新聞 2021/2/23 6:00)

<社説>総務省接待問題 第三者機関で徹底解明を(西日本新聞 2021/2/23 6:00)

首相はかつて総務相を務め、長男は秘書官の立場だった。現在、衛星放送を手掛ける東北新社子会社の役員である長男と秋本氏らに利害関係があることは調査を待つまでもなかった。

首相は問題が週刊文春で報じられた当初「自分と長男は完全に別人格」と語った。秋本氏は「東北出身者らの懇談」などと接待を否定し、放送事業に関する話はなかったと釈明した。総務省は調査中を理由に「利害関係」を認めようとせず、武田良太総務相は調査の終了前から「放送行政がゆがめられたことは全くない」と言い放った。

文春が接待時の録音データを報じ、放送事業が話題になったことが判明すると一転、総務省は利害関係を認め、処分に先立ち秋本氏と湯本博信前官房審議官の更迭人事を発表した。こうした経緯からみても、調査はずさんかつ不誠実極まりない。

首相は国会で接待について「自分は全く知らなかった」と弁明する一方、武田総務相の下でさらに調査を進める考えを示した。だが、それで国民が納得できるだろうか。重大な疑惑が発覚しても真摯に受け止めず、身内の調査で取り繕って幕引きを図る-という図式は、一連の森友・加計学園問題と重なる。

ここは第三者機関に調査を委ね、事実関係に加え、不祥事が続発する霞が関の体質など問題の背景まで解明すべきだ。

<論説>首相長男の接待問題 便宜供与の疑念が拭えぬ(福井新聞 2021年2月23日 午前7時30分)

<論説>首相長男の接待問題 便宜供与の疑念が拭えぬ(福井新聞 2021年2月23日 午前7時30分)

問題は、衛星放送などの許認可に関して接待の見返りに便宜供与があったのではないかとの疑念が拭えないことだ。

放送行政がゆがめられていたとすれば、首相の進退にも関わる重大な事態と言わざるを得ない。それなのに総務省は24日にも調査結果と処分を公表する方向で調整しているという。

内部調査で済ますことなどはあってはならない。検証委員会を設けるなど厳格な調査で責任の所在を明確にしなければならない。

安倍晋三前政権では親しい者を優遇したと指摘された森友、加計学園や桜を見る会が問題となったが、今回の接待問題も同じ構図だ。

人事権を含め総務省に絶大な影響力を持つ菅首相に、官僚が忖度した結果が長男らとの会食だろう。調査結果を急ぐのもまた忖度ではないか。首相は真相の徹底究明を指示すべきだ。

<社説>総務官僚接待 疑念の解消には程遠い(朝日新聞 2021年2月23日 5時00分)

<社説>総務官僚接待 疑念の解消には程遠い(朝日新聞 2021年2月23日 5時00分)

東北新社の子会社は、総務省が許認可権限をもつ衛星放送事業を行っている。「親会社を利害関係者とは思わなかった」という谷脇氏らの説明は、およそ常識に反する。総務省は12人中11人の倫理規程違反を認め、近く処分する方針だが、多くの疑問点が残されたままだ。これで幕引きは許されない。

他の事業者からの接待はなかったのか。秋本氏が認めたように、東北新社とは頻繁だったというなら、なぜ「特別扱い」なのか。総務省は強く否定するが、首相の長男が籍を置く会社であることが影響したとみるのが自然だろう。

そもそも総務省は、会食で放送行政に関するやりとりはなかったと説明していたが、週刊文春による音声データの公表で覆された。都合の悪い事実には、最初から目をつぶろうとしているのではないか。

<社説>総務省接待の実態解明を急げ(日本経済新聞 2021年2月17日 19:00)

<社説>総務省接待の実態解明を急げ(日本経済新聞 2021年2月17日 19:00)

国家公務員倫理規程は飲食代を自ら負担する会食は認めるが、1回1万円を超える場合は事前届け出が必要だ。幹部の届け出は週刊誌の取材を受けた後だった。

野党は接待が放送行政の公平性をゆがめた可能性を指摘する。昨年の会食直後に東北新社の子会社が総務省から衛星放送の認定更新を受けた点を問題視している。

首相は国会で「国民から疑念を招くことは避けるべきだ。透明性の下で総務省がしっかり対応してほしい」と強調した。事実解明に自ら指導力を発揮すべきだ。

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