岸田政権でまた「カネ」の不祥事 秋本真利衆院議員、受託収賄容疑で逮捕に地元もため息

「脱原発」をテーマに講演する秋本真利容疑者=2021年3月、水戸市で 政治・経済

岸田政権でまた「カネ」の不祥事 秋本真利衆院議員、受託収賄容疑で逮捕に地元もため息(東京新聞 2023年9月7日 21時39分)

岸田政権で外務政務官を務めた衆院議員秋本真利容疑者(自民党を離党)が7日、受託収賄容疑で逮捕された。岸田文雄首相は安倍、菅両政権で相次いだ「政治とカネ」に絡む問題を断ち切るとしてきたが、昨年後半の4閣僚の「辞任ドミノ」では2閣僚がこの問題に起因して交代。首相は「こうしたことが再び起こらないよう取り組む」と強調していたにもかかわらず、問題は繰り返された。

与党では2020年6月、自民の河井克行元法相と妻の案里参院議員が公選法違反で逮捕され、それぞれ実刑、有罪判決が確定。公明党の遠山清彦元財務副大臣は、日本政策金融公庫の融資を違法に仲介したとして、貸金業法違反罪で有罪判決が確定した。

「政治とカネ」の問題で、近年、逮捕や起訴された与党国会議員

岸田政権の閣僚では昨年11月、政治資金規正法を所管する寺田稔総務相が、政治資金収支報告書に故人の名前を会計責任者として記載した問題などで事実上更迭された。秋葉賢也復興相も、自身の政治団体事務所の賃料を妻らに支払ったとされる問題などが発覚。首相は昨年末、交代に踏み切った。

自民の薗浦健太郎元首相補佐官は、政治資金収支報告書に政治資金パーティーの収入などを実際よりも少なく記載したとして略式起訴された。

秋本容疑者の逮捕を受け、立憲民主党の泉健太代表は国会内で記者団に「許されず、議員辞職すべきだ」と批判。秋本容疑者が岸田内閣で外務政務官を務めていたとして「首相の任命責任が問われる」と指摘した。共産党の小池晃書記局長も東京都内で記者団に「自民党が責任を持ち議員辞職を迫るべきだ」と語った。

松野博一官房長官は記者会見で「国民に不信を持たれないよう、常に襟を正す必要がある」と述べた。

◆薗浦健太郎氏に続いて千葉で「また不祥事」

秋本容疑者が逮捕された7日、千葉県佐倉市の地元事務所を昼に訪れると、ポスターなどもなく閑散としていた。

「選挙の時しか姿を見なかった。地元の要望を熱心に聞かず、馬主としての私利私欲で政治をゆがめたとしたら許せない」。事務所近くを通った無職男性(76)はそう語気を強めた。

県内では昨年12月、衆院千葉5区の薗浦前衆院議員が、政治資金収支報告書へのパーティー収入過少記載で議員辞職し、今年4月に補選があったばかり。男性は「付き合いで投票するのではなく、候補者がどんな政治家かを見極めないと」と強調する。

秋本容疑者は再生可能エネルギーを推進し、脱原発を訴えてきた。市内で衣料品店を営む女性(76)は「本当に政策として実現したかったのか。お金目的だったのではと疑ってしまう。地元として恥ずかしい」と嘆息する。

過去4回、衆院選挙区で議席を争った立憲民主党県連代表の奥野総一郎衆院議員は「政治とカネの問題の連続で、国民の政治不信につながる恐れがある。再生可能エネルギーが利権のように使われたのなら普及にもストップがかかりかねない」と語った。

自民党県連幹部の一人はこう危機感を募らせた。「不祥事が続いている。選挙も控え、困ったとしか言いようがない」