新型コロナワクチン、2人に副反応の疑い リスクと安全性を冷静に評価

新型コロナウイルスワクチン 社会

厚生労働省は、アメリカの製薬大手ファイザーのワクチン接種を今月17日から医療従事者を対象に先行接種を始め、20日午後5時までに2人に、それぞれ蕁麻疹と寒気などの症状が確認されたことを明らかにした。

このうち寒気などを訴えた人の症状は、当初、重いアレルギー反お応の「アナフィラキシー」として報告されたが、その後、医療機関が訂正した。

ワクチン接種は体内に異物を投与することで免疫反応を誘導し、感染症に対する免疫を付与することを目的として行われるため、効果だけでなく副反応も起こる。

例えば、接種後にアナフィラキシーを起こしたり、接種部位が腫れることがある。これらは副反応と考えられる。

では、副反応はどれくらいの頻度で起こるのか。

アメリカ合衆国では2021年1月24日までに1200万人以上の人にファイザー社のワクチンが接種されており、v-safeというワクチン副反応トラッカーに報告された副反応についてCDCから発表されている。

CDC COVID-19 vaccine safety update(January 27, 2021)

この報告によると、接種部位の痛みが最も頻度が高く(67.7〜74.8%)、だるさ、頭痛、筋肉痛、寒気、発熱、接種部位の腫れ、関節痛、吐き気などが見られる。

これはインフルエンザワクチンと比べてかなり副反応の頻度が高いと言える。また1回目よりも2回目の方が、それぞれの副反応が起こる頻度は高くなっている。

最も懸念される副反応はアナフィラキシーなどのアレルギー反応だ。

実際にアナフィラキシー反応がどれくらいの頻度で起こるのかについて、アメリカで約1000万人に1回目の接種をしたところ50人にアナフィラキシー反応が起こった、とのことだ。つまりおよそ20万人に1人にアナフィラキシー反応が起こる計算になる。

アナフィラキシーを起こした50人についての詳細を見てみると、

・女性が47人(94%)
・74%の人で接種後15分以内、90%の人で接種後30分以内にアナフィラキシーが出現
・40人(80%)は過去にアレルギーを指摘されていた
・12人(24%)は過去にアナフィラキシーを起こしたことがあった

で、その後、全員が退院している。専門医からは、何らかのアレルギーがある人はワクチン接種後30分程度は慎重に様子を見るようにとのことです。

【出典・抜粋】
新型コロナワクチンの副反応の報道をどのように捉えればよいのか(忽那賢志 感染症専門医 2/21 12:43)

忽那賢志氏
感染症専門医。2004年に山口大学医学部を卒業し、2012年より国立国際医療研究センター 国際感染症センターに勤務。感染症全般を専門とするが、特に新興再興感染症、輸入感染症の診療に従事し、水際対策の最前線で診療にあたっている。

【参考】
厚生労働省 新型コロナワクチンについてのQ&A 4.新型コロナワクチンの安全性と副反応

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