ウィシュマさん“冒涜”の梅村みずほ議員が国会で号泣…大暴走を阻止できなかった維新の未熟(日刊ゲンダイ 公開日:2023/05/19 14:00 更新日:2023/05/19 14:00)
「真実を追求することが、この国を愛して、この国で亡くなったウィシュマさんの弔いになる」
18日の参院法務委員会で号泣しながらこう言い放ったのは、日本維新の会の梅村みずほ議員だ。
2021年に入管施設で病死したスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんの死因について、16日の法務委で「ハンガーストライキによる体調不良で亡くなったのかもしれない」と放言。遺族の弁護士から「デマだ」と批判されたが、18日も根拠のない主張を繰り返した。その姿は「異様」の一言だ。
梅村氏は、21年8月に出入国在留管理庁がまとめた調査報告書を基に「ウィシュマさんがハンストをしていなかったと断定できる事実はあるか」と、斎藤法相らを睨みながら質問。
さらに、12日の本会議での「支援者の一言が、ウィシュマさんに『病気になれば仮釈放してもらえる』という淡い期待を抱かせ、医師から詐病の可能性を指摘される状況へつながった恐れも否定できない」という自らの発言を補強したいがためか、「ウィシュマさんが詐病ではなかったと断定できる事実はあるか」と続けた。
いずれの質問にも、入管庁の担当者から「事実は報告書に記載されていない」との答弁を得ると、鬼の形相で「どこがデマなんですか!」とブチ切れ。「私の根拠はちゃんとあります」とまくし立てた。
「記載がない以上、可能性はある」と言いたいようだが、かなり飛躍した論理だ。入管庁は22年3月の同委員会でウィシュマさんのハンストについて「事実は把握していない」と否定していた。
以前から指示を無視し脱線質問を繰り返す
その後も支援者の対応などについての持論を一方的に展開。他の野党から「何てこと言うんだ!」と批判されると、国会議員が議会での発言の責任を問われない「免責特権」まで振りかざし、「タブーに切り込む」と開き直る始末。可能性だけを積み上げた梅村氏の主張は“妄想”の域を出ない。ファクトを無視した死者への冒涜に等しい。
さすがに、維新は梅村氏を法務委員から更迭。さらなる処分も検討する。音喜多政調会長は遺族らに謝罪し、17日にウィシュマさん関連の質疑禁止を指示したのに、梅村氏が勝手に法務委で言及したと弁解した。
「彼女は以前から周囲の指示を無視し、委員会で想定外の質問を繰り返していた。だから、党内では、本会議の質問者として登壇させること自体に反対論がありました。しかし、幹部らは『まあ、そろそろ表舞台に立たせてやったらええやん』と軽い気持ちで登壇を許し、大暴走を招いたのです」(維新関係者)
馬場代表は梅村氏を「政治家として未熟」とクサしたが、未熟なのは維新という党全体だ。遺族の心の傷にどう向き合うのか。