岸田総理の所信表明演説に対する代表質問 立憲民主党・田名部匡代議員 第210回臨時国会

代表質問_田名部参院幹事長 政治・経済

参院本会議で10月6日、岸田総理の所信表明演説に対する代表質問が行われ、田名部匡代参院幹事長が登壇しました。田名部議員は、災害対策、食料安全保障、中小企業対策、子ども・子育て、新型コロナウイルス対策、グレーゾーン事態への対応、エネルギー、国葬、旧統一教会問題、山際担当大臣の発言、難民保護のための第三者機関設置――等について質問しました。

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代表質問 田名部匡代・立憲民主党参議院幹事長

立憲民主・社民の田名部匡代です。会派を代表しまして、岸田総理大臣の所信表明演説に対し、質問させていただきます。

まずは、私からも、十月四日に引き続き、本日も北朝鮮から弾道ミサイルが発射されました。断固として抗議をいたします。

十月四日は、青森県の上空を通過し、日本のEEZの外側の太平洋に落下。地元青森や北海道では、五年前と同様、朝からJアラートが鳴り響き、住民は大変な恐怖を感じたことと思います。我々の暮らしと安全を脅かす北朝鮮の行為は断じて容認できません。厳重に抗議するとともに、核兵器、弾道ミサイルの開発を即刻停止するよう強く求めます。

政府に対しては、国際社会と連携して、北朝鮮がこのような暴挙を繰り返さぬよう万全を尽くし、適切に対処することを求めます。万が一のミサイルの飛来、着弾事態に備え、住民や操業する漁船に対し、より迅速かつ正確な情報伝達を行い、国民の保護を最優先とし、今後も警戒監視、情報収集などに全力を尽くすことを要請します。

災害対策と支援について

近年、毎年のように記録的な自然災害が発生しています。昨年までの被害による生活再建、復興も途上にある中、今年も自然災害が多発し、八月三日からの線状降水帯、その後の台風十四号、十五号は、全国各地に甚大な被害をもたらしました。

お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。また、迅速に人命救助、災害対応に取り組んでいただいた皆様に感謝を申し上げたいと思います。

全国複数の地域で災害が発生し、対応に追われる中、総理は、内閣改造で大臣を交代させ、その後は夏休みに入り、久々のゴルフでリフレッシュさせてもらっていると記者団に述べられました。まあ休暇も必要でしょう。でも、国民が苦しんでいるときこそ現場で聞く力を発揮していただきたかったです。

立憲民主党では、幹事長部局に緊急・災害事態局を設置し、常に、地方組織と協力の下、災害情報の収集、対策の取りまとめに努めており、現下の災害対策や災害復旧対策に全力を傾注してまいることをお約束をし、政府に災害対応についてお伺いをしていきたいと思います。

災害対策基本法が昨年改正され、自力での避難が難しい住民一人一人について、避難先や支援する人を定める個別避難計画の作成が市区町村の努力義務となりました。しかし、対象者が多く、避難経路や支援者の有無を調べることも困難になっています。いま一度、国の責任をもっと明確にし、リスクの高い地域を優先して支援を強化すべきと考えますが、総理、いかがですか。

私の地元青森県でも、河川の氾濫、床上浸水、土砂災害など様々な被害が広範囲に発生しました。収穫を目前に、一週間たっても水が引かず、復旧作業に影響が出ました。収穫をしてみなければ分からない作物もあります。参議院農林水産委員会では、理事の皆さんと山形県の災害視察に行ってまいりましたが、被災した各地域で、来年も通常どおり作付けが可能かなど見通しの立ちにくい状況もあり、被災者の皆さんの不安を解消するため、長い目で見た支援が必要になることも考えられます。高齢化する生産現場では、借金してまで再開するのは難しいという声もあります。担い手が減少すれば、食料の輸入依存がますます高まることにつながります。

そこで、生産者が離農することのないよう、どのような対策を実施されるのでしょうか。あわせて、自治体への十分な財政支援、また台風十五号の被害を受けた静岡県など、激甚災害指定の要望にどのような対応を指示されているのか、総理、お聞かせください。

農林水産業への対策

農林水産業では、世界的な食料需給等をめぐるリスクの顕在化によって、小麦などの主要な食料だけではなく、生産に必要な肥料や飼料等も高騰し、生産者を苦しめている現状にあります。飼料価格高騰緊急対策として五百四億円の支出を決定したことは一定の評価をいたします。しかし、ウクライナ情勢に伴う穀物価格の上昇等によって畜産経営が圧迫されています。飼料費が経費に占める割合は、牛で三割から五割、豚、鶏で六割と言われており、経営環境が厳しさを増しています。飼料自給率は二〇%台半ばが続いており、二〇三〇年に三四%とする目標への道筋が描けているようにも見えません。

生産者が現在の危機を脱するためにも、耕畜連携を大胆に展開し、地域循環型の農業を目指し、飼料作物、堆肥の生産技術の向上など、将来を見据えた支援を重点的に行う必要があると考えますが、総理の見解を伺います。

総理は、円安のメリットを生かすという中で、農林水産物の輸出拡大についても述べられました。生産者の所得向上につながる輸出拡大には私も賛成です。しかしながら、飼料、肥料等の原材料のほとんどを輸入に依存している我が国で、円安は本当にメリットとなるんでしょうか。まさに、コストの増加要因となっており、価格転嫁もできていません。アメリカやEUなどのように手厚い直接支払などで守られてもおりません。食料の安定供給が懸念される事態となっている中、価格競争力で劣っている日本で、輸出が農業や農村地域全体を救うことになるんでしょうか。農地を守り、担い手を育てることができなければ、全て絵に描いた餅であり、農村を守ることができないと考えますが、総理の見解を伺います。

国民生活への対策

一方で、消費者も、十月以降六千五百品目の食料品の値上げで、実質賃金も上がらない中、苦しい生活を余儀なくされています。

総理、国民生活を守るための支援も、経済を守るための支援も、はっきり言って対策が遅いです。国会召集にも応じず、国内の厳しい状況に迅速に対応できていません。災害、物価高と厳しさの続く国民生活をどのように守っていくおつもりなのでしょうか、お答えください。

中小企業支援について

中小企業に対する支援について伺います。

コロナ禍以前の状態に戻っていないことに加え、今回、被災した観光関連産業を始め中小企業の支援も重要となっています。

政府は、コロナが蔓延する中で、中小企業に対して実質無利子無担保融資のいわゆるゼロゼロ融資などの支援を実施してきました。しかし、ある調査機関によると、コロナ関連倒産は前年同期比で約三割増のペースで増えているとの報告があり、急激な円安、原材料高騰、物価高で中小企業は身を削っているのが現状ではないでしょうか。

コロナ禍に背負ったゼロゼロ融資などの債務の負担と、災害からの復旧、その後の経済回復までとなると、中小企業が耐えられないおそれがあります。直面する課題に対処するため、政府はどのような総合的支援に取り組むおつもりか、総理、お答えください。

少子化対策について

二〇一七年、当時の安倍総理は、少子化と北朝鮮問題を国難とし、国難突破解散をされました。余計なことを付け加えますが、突破はできていません。でも、少なくとも少子化を国難と思っておられたわけです。

菅元総理は、総理就任後の所信表明演説で、長年の課題である少子化対策に真正面から取り組み、大きく前に進めると述べられました。総理は今回、所信表明演説で、少子化について一言しか触れておらず、具体的方針は示されませんでした。総理は、少子化を国家の重要課題と御認識されておられますでしょうか。

来年四月にはこども家庭庁が発足します。岸田総理は、今年の予算委員会において、子供に関する予算は、倍増という目標に向けて努力すると発言されました。しかし、こども家庭庁の二〇二三年度予算の概算要求額は四兆七千五百十億円と発表され、こども家庭庁に移管される厚生労働省、文部科学省、内閣府など関連部局の二〇二二年度当初予算の合計と比較し、僅か六百億円の増であり、多くが事項要求とされました。岸田総理が目指す子ども・子育て予算の倍増には全く及ばず、子供政策を強力に推進するために設置されるはずが、このままでは省庁の寄せ集めにすぎません。

岸田総理のリーダーシップの下、既存の省庁の寄せ集めの予算ではなく、大胆な予算の拡充、予算の倍増が必要と考えます。いつまでに子ども・子育て予算を倍増するのか、具体的にどういった子供の子育て政策を拡充するのか、総理のお考えをお聞かせください。また、所信表明演説で少子化にほとんど触れなかった理由をお答えください。

新型コロナウイルス感染症対策について

次に、コロナ対策について伺います。

総理は所信で、この夏を行動制限せずに乗り越えたとおっしゃいましたが、一体何を乗り越えたんでしょうか。第七波では、重症者数は少なかったにせよ、一日当たり死者数で過去最多となり、医療関係者の間でも感染が広がりました。亡くなった方や御遺族の気持ちを考えておられますか。

昨年八月、千葉県柏市の妊婦さんが自宅療養中に出血し、その後、入院先が見付からず自宅で出産した後、赤ちゃんが亡くなられたという痛ましい出来事がありました。今年八月にも、陽性で自宅療養していた妊婦さんが陣痛後に受け入れる病院が見付からず、救急車の中で出産したとのことです。二〇〇七年、妊婦のたらい回しが問題となりましたが、二度と繰り返してはなりません。

インフルエンザとコロナの同時流行が危惧されている第八波に備え、受診難民を繰り返さないよう、また安心して出産できるよう、更なる対策を講じるべきと考えますが、どのように取り組まれるのか、総理のお考えをお聞かせください。

排他的経済水域における対応

近隣諸国の脅威に対しても毅然とした対応が求められています。大和堆周辺の我が国排他的経済水域での外国等漁船の違法操業、尖閣諸島周辺の中国公船の活動は年々拡大し、漁場から日本の漁民が締め出されるなど、安全を脅かす状況になっています。

立憲民主党は、グレーゾーン事態で、危機的な状況がエスカレーションせず事態をコントロールできるよう、海上保安庁及び自衛隊が事態に応じて適切な役割分担の下で迅速に行動できるようにするための領域警備・海上保安体制強化法案を提出しています。自民党の政策集にも、我が国の領域侵害に対して政府機関が十分に対処できるよう、法整備も含め、速やかに必要な措置を講じますという標記がありますが、何年もたなざらしのままです。

総理は、現行の法律でグレーゾーン全てに対応可能とお考えでしょうか。この年末にまとめる防衛三文書の検討項目に、このようなグレーゾーンに対処するための法整備を検討するべきではないですか。お考えをお聞かせください。

エネルギー政策について

次に、エネルギー政策について伺います。

使用済核燃料の一時貯蔵場所が逼迫している中、再稼働の議論ばかりが目立ちますが、政府が先送りしてきた問題は更に深刻化、顕在化しています。貯蔵場所の確保はもとより、高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定をめぐる動きも進展が見られない中、無責任です。

二〇二〇年十二月、電気事業連合会は、むつ市の使用済核燃料中間貯蔵施設を対象に、電力各社による共同利用の方針を発表しました、共同利用検討の方針を発表しました。むつ市は、核のごみ捨場ではない、全国の燃料を引き受ける必然性はないと反発。六ケ所村の使用済核燃料再処理工場の完工遅れなど、先行きが不透明になっている状況に、出口はあるのかと疑問を呈し、地方自治の根本である自己決定権が尊重されていないことも大きな懸念事項であると指摘し、共用化ありきの議論を拒否しています。

また、高レベル放射性廃棄物に関して言えば、青森県で海外返還分の一時貯蔵が始まってから既に二十七年の月日がたつ一方で、最長で五十年との貯蔵期間が守られるのかという懸念が地元では日増しに高まっています。文献調査を始めとする三段階の調査や実際の処分場建設に要する期間を逆算すれば、約束は既に破綻しているのではないかという指摘も上がっています。

こうした原子力のバックエンドを取り巻く課題について、国の責任として、今後どのように解決されるおつもりか、総理、お答えください。

国葬問題について

次に、国葬について伺います。

さきの参議院選のさなかに、安倍元総理が白昼の暴力により命を奪われました。改めて心から哀悼の意を表します。

故人の死を悼むことと国葬に対する是非は、別の問題として国会でしっかり議論せねばなりません。国葬に対する多様な思い、多様な声を顧みることなく、国民の納得も得られないまま強引に進めたことが、結果として安倍元総理の死を悲しむ人々をも分断させたのではないでしょうか。

総理は、国葬について、九月八日、衆参の議運で、国として礼節を持って丁重に応えることが重要であると考え、国葬の実施を判断したと説明されました。過去の内閣・自民党合同葬では礼節として不十分だったということなのでしょうか。

また、総理は、昨日の衆議院本会議で、国葬のルール作りを検討する旨の答弁をされました。順番が逆ではないですか。国会軽視です。事前に議論していたら、これほどの分断を招くことなく、静かに安倍元総理をお送りできたのではないでしょうか。

事前に基準や要件を定めた法律、国の儀式たる実施をどの国家機関の任務とするかなどを定めたルールを国会で事前に議論するべきだったと思われませんか。お答えください。

総理は、所信表明演説で、国民の声を重く受け止め、今後に生かすともおっしゃいました。改めて確認します。今後、国葬について国会で議論するお考えがおありなんですね。どう生かすおつもりか、伺います。

総理は、国民の様々な声を、失礼いたしました、国葬で追悼すべき理由の一つとして、岸田総理は東日本大震災からの復興を挙げられました。確かに、安倍内閣で取り組んできたことも事実でしょう。しかし、それは全ての政治家の責任において当然のことであり、むしろ被災地の皆さんが強い意思で歩んでこられたことがここまで復興を進めてきたのではないでしょうか。十一年半経過し、それでもなお道半ばだということを私たちは決して忘れてはなりません。今後、国葬の経費の問題も含めて、国民が納得のいく誠実な議論を求めてまいりたいと思います。

旧統一教会の問題について

次に、旧統一教会問題について総理にお伺いをします。

霊感商法や高額給付により、多くの被害を生んでいる旧統一教会問題と政治家との関係を絶つのであれば、名称変更や当局の規制に対する政治家の関与、我が国の政治にどのような影響があったのかなど、国会に調査委員会を設置した上で、様々な疑惑の真相を究明すべきではないでしょうか。総理に答弁を求めます。

総理は、旧統一教会の被害者の方の声をお聞きになりましたでしょうか。旧統一教会からの被害は、献金などを行う本人がいわゆるマインドコントロールの影響を受けているため、本人が被害を認識し、その被害を訴えることが難しく、これまでその被害の声が埋没してきました。この間、勇気を持って二世信者の方が、子供時代に貧困生活を強いられていたことや御自身の奨学金が献金に使われてしまったなど、深刻な声を上げています。

こうした声をお聞きになってなお、文化庁は旧統一教会の役職員が刑事裁判で有罪となった例がないからなどと述べていますが、対応に進展がないことをなぜ放置するのでしょう。信教の自由は守られなければなりませんが、解散命令請求については、時の政権や省庁が独自に困難であると判断し、裁判所が十分に解散命令を出せると判断できる段階まで、ただ難しいと片付けてしまっていいのでしょうか。

より深刻な更なる被害が拡大してしまう前に、総理から、宗教法人法七十八条の二に基づく質問等による実態究明や解散命令請求について指示を出すおつもりがあるか、お答えください。

旧統一教会の問題で、被害者の救済は急がねばなりません。立憲民主党では、被害者救済と被害防止に向けて法案を準備しております。成立に向け、各党の御理解と御協力をお願いしたいと思います。

今回の統一教会との関係で、関連団体だったとは分からなかったということの全てをうそだと決め付けることはいたしませんが、山際大臣の対応については大いに問題があるのではないですか。記憶はあったが記録がないから報告しなかったという、そんなとぼけた話がありますか。この問題の重要性を全く認識しておらず、被害者の苦しみを何とも思っていないとしか思えません。

山際大臣は、ある日の記者会見で旧統一教会との関係を聞かれ、正直に答えますねと前置きをした上で質問に答えていましたが、正直に答えることは当たり前じゃないですか。あえて付け加えるようなことではありません。自民党の調査は、記録があるかどうかの確認で、記憶があるだけの場合は報告しなくてよいという調査なんですか。

総理、山際大臣のこうしたばれなければよいと思っているかのような対応についてどのように思われるんでしょうか。説明は十分だと納得しておられますか。お答えください。

山際経済再生担当大臣の発言について

山際大臣といえば、今年七月の参議院選挙、私の地元青森県八戸市、そこで、その演説でこのように発言しております。野党の人から来る話は、我々政府は何一つ聞かない、本当に生活を良くしたいと思うなら、自民党、与党の政治家を議員にしなくてはならないと発言されました。

その後、記者会見にて次のように弁明されています。その地域の方々から御意見を賜りながら、それを国政に反映させていただきたいということを強調するという文脈の中で誤解を招くような発言になった。さすがに苦し紛れの言い訳にも程があるんじゃないですか。

後に、松野官房長官は、誤解を招くようなことが、招くことがないよう慎重を期するように注意したとのことですが、どこに誤解を招く要素があるんですか、さっぱり分かりません。国会議員は、選挙を得て、その後全ての国民のために仕事をするのが当たり前じゃないでしょうか。

野党から来る話は何一つ聞かない政治家であり、我々政府として聞かないとまで発言される方が大臣としてふさわしいんでしょうか。到底納得できません。

山際大臣、ここでお答えいただけないでしょうか。

誤解とは、ある事実について間違った理解や解釈をすること、意味を取り違えることです。あくまでも聞いた側の誤解だとお考えなのですか。だとすれば、どの部分を聞く側が取り違えたと思われるのか教えてください。ちなみに、私は野党の議員としてここにおりますが、私の話を聞くおつもりがあるのかないのか、ここではっきりさせていただきたいと思います。

総理、山際大臣は、我々政府は聞かないとおっしゃっています。政府の一員としてこの発言を認めるんですか。資質や適性に問題があるとは思われませんか。総理はこのような発言を知った上で大臣として任命されているんですよ。聞く力のある総理、聞かない大臣にはお辞めになっていただくべきだというふうに思いますけれども、ここは明確にお答えをいただきたいと思います。

入管問題について

最後に、人権問題についてお伺いをします。

茨城県牛久市の東日本入管管理センターで収容中のカメルーン人男性が二〇一四年三月に死亡したことをめぐり、先般、水戸地裁は、救急搬送するべき注意義務を怠り、救急搬送を要請しなかった過失を認め、入管側の注意義務違反を認定、国に百六十五万円を賠償するように命じました。

昨年三月、名古屋入管でスリランカ人女性のウィシュマさんが適切な医療を受けられないまま尊い命を奪われた、あってはならない事件を含め、全国の入管施設では、二〇〇七年以降に十七人の外国人が病気や自殺で亡くなった、亡くなっています。

入管庁が在留資格のない外国人を、司法審査を受けず、期限、回数の制限なく身体拘束することは、国際法違反の恣意的拘禁であり、人権侵害です。国際法違反との強い批判を受けている現行制度を抜本的に見直すことが必要です。

立憲民主党は、国際ルールに基づいて、保護すべき難民申請や補完的保護対象者等を適切に保護できる新たな難民認定、保護制度を確立するため、政府から独立した第三者機関である難民保護委員会の創設等を柱とする難民等保護法案を既に提案しています。現在の出入国在留管理庁ではなく、第三者機関の設置について、総理の御見解を伺います。

先日、地元の高校生からの依頼で、人権や差別に関する意見交換をさせていただきました。その高校生たちはSDGsを目標、SDGs目標に取り組んでおり、自分たちに何ができるのか、社会の問題は何がどうなのか、そして世界はどんな取組をしているのか、様々な意見交換をさせていただきました。自分たちにできることを行動に移したい、そう言っていました。

世の中を変え、たくさんの人を幸せにしたいと、そう願う高校生に恥じないように、政治に信頼を取り戻し、若い皆さんが希望を持って一緒に未来をつくっていただけるよう、立憲民主党でも取り組んでいきたいと思います。

そういう中にあって、岸田総理、放置されている問題、山積する課題はたくさんあります。細田議長のセクハラ問題、吉川衆議院議員の未成年との飲酒の問題、何ら説明責任は果たされていません。

総理、総理は聞く耳があると、そのようにおっしゃっていますが、聞くだけでは困るんです。聞いた上で何を実行するのか、そして国民の信頼を取り戻すために何をすべきなのか、まさに総理にはその責任を持って今後の政治運営に当たっていただきたいと、そのことを強く申し上げて、私の代表質問を終わります。

ありがとうございました。

答弁 岸田文雄・内閣総理大臣

田名部匡代議員の御質問にお答えいたします。

まず、個別避難計画の作成、離農防止対策、自治体への財政支援及び激甚災害指定の要望についてお尋ねがありました。

昨年の災害対策基本法改正で位置付けられた個別避難計画については、モデル事業の実施やハザードマップ上で危険な地域にお住まいの介護を要する方などを優先して作成するよう市町村に指示、にお示しするとともに、計画作成経費に対して地方交付税措置を講じており、その作成が着実に進むよう支援をしているところです。

農林水産業については、八月の大雨等による災害で大きな浸水被害を受けた果樹園地の早期復旧に向け支援をするなど、営農継続に向けた総合的な対策を講じています。

被害の大きかった自治体への財政支援についても、地方交付税の繰上げ交付を迅速に実施するなど、その財政運営に支障が生じないよう取り組んでいます。

激甚災害の指定については、道路や河川といった公共土木施設や農地等の関係施設の被害状況を迅速に把握するよう指示をしているところです。

肥料、飼料への支援、農林水産物の輸出の意義についてお尋ねがありました。

肥料や飼料の高騰に対しては、既に肥料、肥料価格高騰に対する支援金の仕組みの創設や配合飼料の負担を十月以降も据え置く措置を講じていますが、今後、肥料、飼料の国内生産を通じた食料安全保障の確保などに取り組みます。

また、国内市場が縮小する中、拡大する海外の食市場を獲得し、農業者の所得向上を図ることは、生産基盤である農地や担い手の確保に不可欠であり、新規就農やスマート技術の実装への支援や日本型直接支払制度の着実な実施などと併せて、二〇二五年に二兆円の目標を前倒しで達成できるよう、円安メリットを生かした農林水産物の輸出拡大に取り組んでまいりたいと思っています。

そして、国民生活を守るための対策についてお尋ねがありました。

足下、最優先の課題として、世界的な物価高騰に直面する中で、全力で国民生活を守り抜きます。このため、これまでも物価高騰に対して累次の対策を講じてきており、先月も追加策を取りまとめ、家計への影響が大きい低所得世帯向けの給付金をプッシュ型で迅速にお届けをいたします。そして、間を空けることなく、総合緊急対策を十月中に取りまとめ、切れ目なく物価高騰対策を講じてまいります。

災害対策については、災害が激甚化、頻発化する中で、国民の生命、財産を守り、災害の被害に遭う方を一人でも減らすことは我々の使命です。五か年加速化対策を推進するとともに、更なる取組のための新たな基本計画を策定し、中長期的かつ継続的に防災・減災、国土強靱化に取り組みます。

中小企業に対する総合的支援についてお尋ねがありました。

新型コロナの影響の長期化や自然災害による被害に加え、急激な円安、原材料高騰、物価高など、中小・小規模事業者は厳しい事業環境の中にあると考えます。

こうした状況を踏まえて、資金繰り支援については、官民金融機関に対し、事業者からの条件変更等の申出に迅速かつ柔軟に対応するよう要請するとともに、先月拡充した日本公庫による低利融資を最大限活用してまいります。さらに、コロナ融資の返済本格化に向けて、借換え保証の創設、これを検討してまいります。

加えて、収益力改善、事業再生、再チャレンジをきめ細かく支援するため、相談窓口の機能強化など、中小企業活性化協議会による支援充実を進めます。原材料価格の高騰等に対しては、取引適正化を進める公正取引委員会等の執行体制を強化し、価格転嫁対策、徹底いたします。

また、新しい資本主義実現会議において総合経済対策に反映すべき重点事項としてお示ししたように、各種補助事業を拡充することで事業再構築や生産性向上などの前向きな取組を支援してまいります。

なお、自然災害で被災した事業者に対しては、災害救助法が適用された地域に中小企業関係団体等による特別相談窓口の開設、災害復旧貸付けの実施等の措置をそれぞれ講じています。引き続き、被害実態を踏まえ、適切な支援を適用してまいります。

子ども・子育て予算についてお尋ねがありました。

今後の子供政策に関する予算については、こども家庭庁の下で、子供の視点に立って、期限、規模ありきではなく、必要な子供政策は何かをしっかり議論した上で体系的に取りまとめ、社会全体での費用負担の在り方の検討と併せて子供政策の充実に取り組みます。

来年度の骨太の方針には、将来的に倍増を目指していく上での当面の方針を明確にしていきたいと考えています。

また、少子化については、既に様々な場で繰り返し述べており、全世代型社会保障構築会議でも議論を重ねています。今回の所信表明演説の中でも、全世代型社会保障の構築を進め、少子化対策、子育て・子供世代への支援を強化するとしているところであり、その重要性はいささかも変わるものではありません。

新型コロナ対応についてお尋ねがありました。

今年の夏は、国民お一人お一人が基本的な感染対策を徹底してくださったおかげで、三年ぶりに緊急事態宣言等の行動制限を行わずに過ごすことができました。社会経済活動の両立を、社会経済活動との両立を進め、多くの国民の生活となりわいを支えることができたと考えております。

一方で、オミクロン株が主流となった本年七月から九月までの感染拡大に際しては、約一千百万人が感染をし、一万人以上の方が亡くなられました。御家族の皆様に心よりお悔やみを申し上げます。

引き続き、国民の安心、安全のために努力を続け、責任を果たしてまいります。

医療提供体制については、最大確保病床約五万床のフル稼働に向けた対応など、病床や緊急、救急医療の逼迫の回避に向けて累次にわたる対策を行った結果、第七波における確保病床使用率は、療養状況調査によれば、全国平均で、重症病床において最大三五%、コロナ病床全体でも最大六二%と、必要な入院医療を提供することができたと考えております。

新型コロナに感染した妊婦への対応については、全ての都道府県において、感染した妊婦や緊急的な措置を要する妊婦の受入れ医療機関を設定するとともに、専門家等による適切な受入れ医療機関への搬送、転院調整ができる体制を構築しています。

さらに、オミクロン株の流行以降は、オンライン、オンライン、電話での診療を含め、産科かかりつけ医が自らの施設で新型コロナに感染した妊婦に対応するなど、地域全体で妊婦を守る体制を構築しています。

引き続き、安心して出産できる体制整備をしっかりと進めてまいります。

領海警備の見直しと新たな国家安全保障戦略等の策定についてお尋ねがありました。

武力攻撃に至らない侵害に適切に対応するためには警察と自衛隊との連携が極めて重要であり、現行の法制の下、海上警備行動等の発令手続の迅速化を図ったほか、海上保安庁等関係機関の対応能力の向上、情報共有、連携の強化、各種訓練の充実など、必要な取組を推進しています。

今後の取組については、お尋ねの法案を含め、法整備が必要という声があります。その中で、各機関の連携を充実させ、円滑にさせるために必要なものはないか、訓練等を通じて一層の検討を進めてまいります。また、新たな国家安全保障戦略等の策定に当たっても、グレーゾーン事態への対応等についてしっかり議論をしていきます。

政府としては、今後とも、あらゆる事態を想定し、我が国の領土、領海、領空、そして国民の生命と財産を断固として守り抜くという強い覚悟を持って、冷静かつ毅然と対応してまいります。

原子力のバックエンドを取り巻く課題についてお尋ねがありました。

今後も安定的かつ継続的に原子力発電を利用するためには、使用済燃料対策などバックエンドに関する取組を前に進めることが重要です。

エネルギー基本計画に基づき、地元に丁寧に説明を尽くしながら、中間貯蔵施設を含め、事業者における使用済燃料の貯蔵能力の拡大に向けた取組を着実に進めます。

青森県の日本原燃で貯蔵されている高レベル放射性廃棄物については、事業者において地元との搬出期限の約束をしっかり遵守するよう、国としても指導いたします。

また、最終処分については、北海道における文献調査の取りまとめを進めるとともに、北海道以外のできるだけ多くの地域でも文献調査を実施できるよう、全国での対話活動などに取り組んでまいります。
安倍元総理の国葬儀についてお尋ねがありました。

従来の内閣・自民党合同葬では礼節として不十分であったというのではなく、今回の国葬儀は、安倍元総理は憲政史上最長の八年八か月にわたり内閣総理大臣の重責を担われたこと、選挙運動中の非業の死であったこと、日本経済の再生等の大きな実績を様々な分野で残されたこと、国内、海外からの幅広い弔意が寄せられたことなど様々な状況を踏まえて、我が国としても故人に対する敬意と弔意を表す儀式を催し、これを国の公式行事として開催し、その場に海外からの参列者の出席を得る形で葬儀を執り行うことが適切であると判断し、執り行ったものであります。

その一方で、国葬儀に関して、御指摘のようなものも含め様々な御意見、そして御批判いただいたことは真摯に受け止めなければならないと考えております。今後、国民のより幅広い理解を得て国葬儀を実施することができるよう、政府としては、今回の国葬儀について検証を行うこととしております。まずは、幅広い有識者の方々から意見を伺い、国葬儀について論点と意見を整理することから始めます。

できる限り早期に、その整理をお示しした上で、今後、内閣総理大臣経験者の国葬儀の実施については、国会との関係など、どのような手順を経るべきなのか、一定のルール、これを設けることを目指してまいります。

その際、政府のお示しする整理を素材として、与党はもちろん、国会においても党派を超えて御議論いただき、国民各層の幅広い理解を得ることができるよう努めてまいります。

旧統一教会と政治との関係に関する国会での調査や、旧統一教会に対する解散命令の請求についてお尋ねがありました。

まず、国会による調査については、まずは国会で御議論いただくべきものであると考えておりますが、それぞれの議員が政治家の責任においてまず丁寧に説明を尽くす必要があると考えております。

政府としては、「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議を設置をし、悪徳商法などの不法行為の相談や被害者の救済を目的として、合同電話相談窓口を設けるなどして、悩みを抱えている方々から幅広く相談を受けて、受け付けているところです。

窓口に寄せられた被害者の方々の声、私も報告を受けております。法人格の剥奪という極めて重い対応である解散命令の請求については、信教の自由を保障する観点から、判例も踏まえ慎重に判断する必要があると考えておりますが、宗教団体に法令から逸脱する行為があれば厳正に対処する必要があるということは言うまでもありません。

また、宗教法人法第七十八条の二の規定に基づく報告及び質問に関する権限は、解散命令の事由等に該当する疑いのある場合に限り、必要があると認められる場合には、宗教法人法の規定に従って行使すべきものであると認識をしております。

いずれにせよ、社会的に問題が指摘されている団体に対して、政府としては、関係法令との関係を改めて確認しながら、厳正に対応してまいります。

旧統一教会に関する山際大臣の対応についてお尋ねがありました。

山際大臣については、過去、旧統一教会関係の接点があったこと、また、接点を点検した後も新たな過去の接点が報じられていることについて、できる限りの調査を行い、その結果を説明するとともに、これまでの反省に立って今後は一切関係を持たないと述べていると承知をしております。理解が得られていないというのであるならば、引き続き、政治家として、自らの責任において丁寧に説明を尽くす必要があると考えております。

山際大臣の過去の発言についてお尋ねがありました。

御指摘の発言については、松野官房長官から山際大臣に対して発言には慎重を期すよう注意をしたところであり、これを受けて、山際大臣は、発言には慎重を期し、丁寧に発信していく旨発言したと報告を受けております。

その上で、我が国は、内政も外交も幾重にも重なり合う多くの課題に直面しており、この難局を乗り越えていくためには、国民の声を丁寧に聞きながら、国民の信頼と共感を得る政治を行わなければなりません。

岸田内閣としては、引き続き、国民の皆様の厳しい声にも、真摯に、謙虚に、丁寧に向き合っていくことをお誓い申し上げます。

難民等を保護するための第三者機関の設置についてお尋ねがありました。

我が国の出入国在留管理制度は、出入国管理及び難民認定法に基づき、制度と運用の両面から手続の適正、適正性を確保した上で運用されており、我が国が締結する人権諸条約に違反するものとは考えてはおりません。

出入国在留管理庁においては、昨年三月の名古屋入管における被収容者死亡事案の発生を受けて、現在、同事案の調査報告書で示された医療体制の強化などの取組を行っているところです。

難民認定手続については、その他の出入国在留管理行政上の様々な手続と密接に関連していることから、出入国在留管理庁において行うことが適切であり、第三者機関を設置することは考えてはおりません。

政府としては、出入国在留管理制度全体を適正に機能させ、真に庇護を必要とする方々を適切に保護するとともに、送還忌避、長期収容問題といった喫緊の課題の一体的な解決に向けて取組を進めてまいります。

残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。

答弁 山際大志郎・経済再生担当大臣

私の発言についてお尋ねがありました。

政策を立案し、実現、実行していくためには、地域の声、一人一人の国民の声を丁寧にお聞きすることが重要であると認識しております。このような考えの下、地域の候補者の方が、その地域の方々からしっかり御意見を賜りながら、それを国政に反映させていただきたい、その思いを強調する文脈の中で、その趣旨について誤解を招くような発言になりました。

趣旨が明確に伝わらず、また、御地元の田名部議員を始め野党の議員の方々に不快な思いを抱かせるような表現となったことについて、おわびを申し上げます。

今後、発言については慎重を期するとともに、与野党問わず様々な声に耳を傾け、国民の生活をしっかり守っていくということを基本に、政策を推進してまいります。