年明けに円安地獄また加速か…米FRB利上げペース減速もパウエル議長は継続に“強い意志”

「十分に景気抑制的」とするため、「利上げの継続が適切」と強調 政治・経済

年明けに円安地獄また加速か…米FRB利上げペース減速もパウエル議長は継続に“強い意志”

年明けに円安地獄また加速か…米FRB利上げペース減速もパウエル議長は継続に“強い意志”(日刊ゲンダイ 公開日:2022/12/17 06:00 更新日:2022/12/17 06:00)

足元のドル円相場は1ドル=130円台半ばで推移し、一時の急激な円安に一服感があるが、雲行きが怪しくなってきた。円安の一因である米国の利上げが長期化しそうだからだ。

米連邦準備制度理事会(FRB)は14日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、政策金利を0.5%引き上げることを決めた。過度に景気を冷やさないように配慮し、過去4回連続の0.75%から縮小。利上げペースを減速させた。

「0.5%への縮小は想定内で市場は織り込み済み。サプライズはFRBパウエル議長の会見でのタカ派発言です。前日に米労働省が発表した11月の消費者物価指数(CPI)は前年比の上昇率が7.1%と10月の7.7%から鈍化し、2021年12月以降で最小となりました。ところが、パウエル議長は軟化するどころか、利上げを続ける“強い意志”を示したのです」(兜町関係者)

パウエル議長は「(鈍化した)10月、11月のインフレ率は歓迎するが、物価上昇率が持続的に低下していると確信するにはさらに多くの証拠が必要だ」として、インフレ率を長期的に2%に戻すため、継続的な利上げを訴えたのだ。「2%」とは気が遠くなる。

■日米金利差拡大で1ドル150円突破も

「7%台に鈍化したインフレ率はパウエル議長を満足させるにはほど遠い水準です。米国の雇用環境は引き続き好調。幅は調整するにせよ、パウエル議長は臆することなく利上げを続けるでしょう。一方、少なくとも、日銀の黒田総裁が退任する来春までは日本の利上げはない。投資家は確信を持って円を売り、ドルを買う動きに出るはずです。年明けにも急速な円安が進み、再び1ドル=150円を突破してもおかしくありません」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏)

日銀は19、20日に開催する金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決める見通しだ。投資家は「日米金利差の拡大」を改めて認識するだろう。

「原油価格は1バレル=70ドル台ですが、これから冬に向けて上昇する恐れもある。円安に原油高が加わり、輸入物価が一段と上がる可能性もあります」(森岡英樹氏)

帝国データバンクによると、2月は3000品目超の食品の値上げラッシュが見込まれている。円安・原油高が進めば、エネルギー、日用品、物流費なども含め、物価高騰が加速しそうだ。来年はスタートから財布の紐を締めることになるのか。

米利上げ、0.5%に減速 23年に金利ピーク5%超 景気悪化のリスク警戒・FRB

米利上げ、0.5%に減速 23年に金利ピーク5%超 景気悪化のリスク警戒・FRB(JIJI.COM 2022年12月15日08時12分)

米政策金利と消費者物価

米連邦準備制度理事会(FRB)は14日、金融政策を協議する連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を0.5%引き上げることを決めた。インフレを抑える急速な金融引き締めが景気を冷やし過ぎるリスクを警戒。利上げペースを過去4回連続の0.75%から減速させた。引き上げは2023年も続ける方針で、金利水準のピークが5%を超える予想も示した。

利上げは7会合連続。政策金利は年4.25~4.50%と07年以来の高さとなる。決定は全会一致。

FRBは声明で、金融政策スタンスを「十分に景気抑制的」とするため、「利上げの継続が適切」と強調。インフレ抑制へ引き締めを続ける意向を明らかにした。