少子化対策、「負担増」口つぐむ自民 野党も慎重、財源論深まらず―衆参補選(JIJI.COM 2023年04月14日07時10分)
23日投開票の衆参5補欠選挙で、少子化対策を巡る政策論争が深まりを欠いている。与党幹部が国民負担増に直結する財源について演説などで触れることはほとんどなく、野党も負担増に慎重なためだ。
自民党の茂木敏充幹事長は13日の党「こども・若者」輝く未来創造本部の会合で、子育て支援策の財源について「6月に向け議論を加速していく」と述べるにとどめた。衆院補選候補者の11日の出陣式でも、児童手当の拡充や給食費の無償化、多子世帯への住宅支援といった「バラ色のメニュー」(野党議員)に言及するだけで、財源には触れなかった。
公明党の山口那津男代表も財源について「国民のコンセンサスが重要」と言葉を濁す。
背景には、岸田文雄首相(自民党総裁)が財源論議を先送りしていることがある。政府・与党内では医療保険などの社会保険料引き上げによる財源確保が有力視されているが、首相は「(対策の)内容の議論を深め、それに伴う財源をしっかり示す」と繰り返す。財源問題が選挙の争点となるのは避けたいのが本音のようだ。
立憲民主党の山井和則氏は12日の衆院厚生労働委員会で、子育て支援に8兆円の財源が必要と仮定した場合、月9千円の社会保険料負担が増えるとした独自の試算を紹介。「選挙が終わってから『実は年間10万円負担増です』と言われたら国民はびっくりする」と政府・与党の姿勢を批判した。
もっとも、少子化対策の必要性を訴える野党も、国民負担増の議論に正面から取り組んでいるとは言い難い。立民の泉健太代表は街頭演説などで防衛費の大幅増を「非常識」と批判し、子育て支援などに回すよう要求する。
日本維新の会の馬場伸幸代表は「身を切る改革」の必要性を、国民民主党の玉木雄一郎代表は将来世代が返済する「教育国債」の発行をそれぞれ主張。共産党の志位和夫委員長は「大企業・富裕層に応分の負担を」と求めている。