自民・茂木幹事長が街頭演説で「少子化対策」ズラリ…ミエミエ選挙対策もショボさ異次元(日刊ゲンダイ 公開日:2023/03/27 13:50 更新日:2023/03/27 13:50)
統一地方選は知事選に続き、26日大阪市など6政令市長選が告示された。そんな中、選挙対策がミエミエとはいえ、自民党幹部の口から出てくる少子化対策メニューのショボいこと。ある意味、異次元すぎる。
自民党の茂木幹事長は25日、東京都内で街頭演説し、「出世払い型の奨学金制度を新たに拡充していきたい」と訴えた。政府が今月末にとりまとめるたたき台に盛り込まれる見通しだという。
「出世払い型の奨学金」とは、在学中は授業料を支払わず、大学卒業後や大学院修了後に所得に応じて返済する制度。茂木幹事長は演説で「大学が終わって会社に勤めて、ある程度の収入になってから返し始めればいい」とメリットを強調したが、返済額や時期に猶予が設けられるとはいえ、“借金”であることには変わりない。
大学は学費が無償か、給付型奨学金を幅広く受けられるというのが世界標準。出世払い型の奨学金の拡充ではお粗末だ。
さらに茂木幹事長は、公営住宅の活用にも言及。「公営住宅に新婚世帯や子どもの多い若者世帯に入居してもらうことで住宅費は圧倒的に削減できる」とアピールした。これは、自民党の萩生田政調会長がしきりに訴えている案。SNSでは「今どき公営住宅に住みたい若者いるの?」「ズレてる」などと総スカンなのに、そのまま採用か?
政府のたたき台には、児童手当の所得制限撤廃などとともに、子どもの医療費を助成する自治体独自の取り組みを後押しする方針も盛り込まれる方向。実は、小学生以上を対象に医療費を無償化する自治体が増えているが、現状、国はそうした自治体に対し、医療費抑制などを理由に補助金を減額している。そこで、今後は補助金を減額せず、自治体を後押しする、ということらしい。
これには、先進的な子育て政策で名を上げた泉房穂明石市長がこうツイート。
<地方への“嫌がらせ”をやめるだけで何の後押しでもない。「子ども医療費の18歳までの所得制限なしでの完全無料化」ぐらい、国が全国一律ですぐやればいいのに…>
■理念なく並べ、財源は後回し
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「少子化対策は自治体や収入などの区別なく、誰もが享受できるユニバーサルなものであるべきです。小出しにエサをばらまくような選挙対策は、一番やってはいけないこと。国民が甘く見られています」
ショボい対策を、あれやこれやと理念なく並べるだけ。それでいて財源は後回し。
無責任ぶりも異次元だ。