秋本真利議員は事件の「入り口」か…巨額賄賂疑惑で特捜部が強制捜査、政務官辞任で自民離党

秋本真利衆院議員への資金提供疑惑 政治・経済

秋本真利議員は事件の「入り口」か…巨額賄賂疑惑で特捜部が強制捜査、政務官辞任で自民離党(日刊ゲンダイ 公開日:2023/08/06 06:00 更新日:2023/08/06 18:12)

また自民党議員の「政治とカネ」疑惑だ。

東京地検特捜部は4日、秋本真利外務政務官(47)が風力発電会社「日本風力開発」から3000万円もの不透明な資金提供を受けた疑いがあるとして、事務所や自宅など秋本の関係先に家宅捜索に入った。

ガサ入れを受け、秋本氏はすぐに外務政務官を辞任し、自民党を離党。逮捕は免れないと観念したようだ。

立憲民主党の泉代表は「クリーンなエネルギーなのにダーティーな話が出てくる」と批判。自民党にかかれば、再生可能エネルギーもこうして利権化されてしまう。

秋本氏は2012年の衆院選で千葉9区から出馬して初当選し、現在4期目。“魔の4回生”のひとりだ。17年8月から18年10月まで国交政務官を務めていた時には、洋上風力発電の導入を促進する「再エネ海域利用法」の法案作成にも関わった。

「自民党内では珍しい“脱原発”の急先鋒で知られ、河野デジタル担当相の最側近といわれている。派閥には属していませんが、菅前首相を慕う菅グループの一員です」(自民党若手議員)

秋本氏も関わった「海域利用法」が19年4月に施行され、政府は秋田県と千葉県、長崎県の沖合4海域を重点的に整備する「促進区域」に指定。公募で選ばれた事業者が最長30年間、そこで洋上風力発電を行える仕組みができた。秋本氏に資金提供したとされる日本風力開発も参入を目指していたのだが、4カ所とも、落札したのは大手商社などを中心とした企業連合だった。

すると、秋本氏は国会で質問に立って、“ルール変更”を求めるようになる。昨年2月の予算委員会分科会では、「2回目の公募から評価の仕方というのをちょっと見直していただきたい」などと訴え、実際に評価基準が変更されたという。そんな流れの中で、事業者から秋本氏への不透明な資金提供が発覚した。

再生可能エネルギーは自民党の巨大利権

日本風力開発の社長の弁護人は4日、「3000万円は秋本氏に渡したものではなく、賄賂ではない」と疑惑を否定。社長と秋本氏は共同で馬主の組合をつくっていて、3000万円は組合に提供した資金だと説明した。「贈賄をした事実は一切なく、この点を立証できる客観的な証拠が存在する」という。

特捜部はこれが賄賂にあたる疑いがあるとみて強制捜査に乗り出したわけで、自民党内では事件の広がりを危惧する声が上がっている。

「政府が掲げる2050年の脱炭素社会実現に向けて欠かせないのが再生可能エネルギーで、太陽光や洋上風力をはじめとする再エネは巨大利権になりつつある。秋本氏は“入り口”に過ぎず、もっと大物まで捜査の手が伸びる可能性があるのではないか」(自民党関係者)

秋本氏が事務局長を務める自民党の再生可能エネルギー普及拡大議連のメンバーを見ると、顧問には菅氏、河野氏、甘利前幹事長といった大物が並ぶ。“原発族議員”と呼ばれるほどの推進派である甘利氏まで吸い寄せられてくるとは、再エネ利権の蜜はよほど甘いのか。

今年2月には、再エネ第2議連(国産再エネに関する次世代型技術の社会実装加速化議員連盟)も立ち上がった。こちらも発起人に岸田首相、麻生副総裁、森山選対委員長、鈴木財務相が名を連ね、衆参合わせて約80人の自民党議員が参加している。

特捜部は再エネ利権にどこまで切り込むつもりなのか。