神宮外苑の樹木大量伐採「世界のサカモト」反対メッセージ 小池都知事“完全スルー”の真意(日刊ゲンダイ 公開日:2023/03/18 13:50 更新日:2023/03/18 13:50)
よほど触れられたくないらしい。東京都の明治神宮外苑の再開発に伴い、大量の樹木が伐採される問題を巡って、世界的音楽家・坂本龍一氏が反対の意を記した手紙を小池都知事に送付。ところが、小池都知事は“完全スルー”を決め込んでいるのだ。
坂本氏は今月上旬、小池氏や永岡文科相ら5人宛てに手紙を郵送。神宮外苑の再開発について、「持続可能なものとは言えない」と指摘し、計画の中断、見直しを求めている。がん闘病中の坂本氏は東京新聞の書面インタビューに「生まれ育った東京が美しく魅力的な場所であってほしい」と答えている。
これを受け、小池知事は17日の会見で、手紙を受け取ったと明かし「さまざまな思いをお伝えいただいた」とした一方、「事業者でもある明治神宮にも送られた方がいいのではないか」と発言。要するに「私じゃなくて、事業者に文句を言え」と言っているわけだ。
確かに、再開発工事を進める主体は、明治神宮や三井不動産からなる民間の事業者だ。とはいえ、都は再開発の内容を承認し、計画を実現させるために建築規制を大幅に緩和。2月には再開発事業の施行を認可している。
■市民や国会議員の声も無視
“我関せず”で「世界のサカモト」の手紙をスルーすることが許されるのか。これまでも、市民団体が再三にわたって計画の中止や見直しを求める要望書を都に提出してきたが、小池知事はことごとく無視し続けている。
小池知事が黙殺しているのは、市民の声だけじゃない。国会議員の要望まで袖にしている。反対の声を上げているのは、昨秋発足した超党派の「神宮外苑の自然と歴史・文化を守る国会議員連盟」。今月3日に開催された議連会合で、会長の船田元・自民党衆院議員は「昨年末、小池知事に面会を求めたが、断られてしまった」と話していた。よほど、この問題に触れられるのがイヤらしい。
「現在、再開発工事に伴って、少なくとも3000本の樹木が伐採されることが分かっている。小池知事はかねて『エコ』を売りにしているから、樹木伐採による“環境破壊者”のイメージがついてしまうことを恐れているのでしょう。再開発工事が完了するまでまだ10年ほどかかりますから、問題を引っ張られると延々と負のイメージがまとわりつくことになりかねません」(都政関係者)
いったん立ち止まって考えるべきではないのか。