参院本会議で10月7日、岸田総理の所信表明演説に対する代表質問が行われ、石垣のりこ参院議員が登壇。(1)総理の政治姿勢(2)旧統一教会問題(3)総理の任命責任(4)インボイス制度(5)新型コロナウイルス感染症対策(6)東日本大震災の復興とALPS処理水(7)食料安全保障(8)憲法――について取り上げ、岸田総理をはじめ政府の見解をただしました。
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代表質問 石垣のりこ・立憲民主党参議院議員
立憲民主・社民の石垣のりこです。会派を代表して質問をいたします。
総理、まず冒頭、端的にこうお伺いします。
総理はどこにおられるのですか。総理は一体、何をされておられるのですか。
総理の政治姿勢
所信表明演説で総理は、世界規模の物価高を始め、感染症危機やロシアによるウクライナ侵略など、我が国を取り巻く厳しい現実を列挙し、今、日本は、国難とも言える状況に直面していますと述べられました。
確かに、総理のおっしゃるとおり、今、第二次安倍政権以降の失政の当然の帰結である悪質な円安とインフレ、それに対する岸田内閣の無策などによって国難ともいうべき事態に直面しています。
しかし、参議院選挙後の岸田総理の姿は、国難に直面した一国の総理の姿とは到底思えません。
立憲民主党を始めとする野党各党が憲法五十三条の規定に基づいて臨時国会の召集を内閣に求めてから、既に二か月近い時間が過ぎています。この間、総理は、記者会見でメディアの前に姿を現すことはあっても、一切、国権の最高機関たる国会に向き合おうとしませんでした。有権者の代表が集うこの国会から逃げ、姿を隠すことが、国難に直面した日本の総理大臣のあるべき姿なのでしょうか。
岸田総理、総理は所信表明で、国民の皆様の声を正面から受け止め、説明責任を果たし、厳しい声にも真摯に謙虚に丁寧に向き合っていくと繰り返し述べられました。
しかし、総理、有権者の声を正面から受け止めるのは有権者の代表が集まる国会ではありませんか。説明責任を果たすのは記者会見ではなくて、議事録が残り、発言そのものに責任が発生する国会質疑ではありませんか。厳しい声にも真摯に謙虚に丁寧に向き合っていく必要があるのは、国権の最高機関たるこの国会の場ではないでしょうか。その国会に向き合うことがそんなにお嫌ならば、御無理は申し上げません。即刻、総理をお辞めください。
岸田総理にとって、国民の声を聞くことと憲法五十三条を無視して国会を開かないことにどのような整合性があるのか、御見解をお聞かせください。
旧統一教会問題
次に、旧統一教会問題についてお尋ねします。
総理は所信表明の中で、統一教会問題に関し、国民の皆様の声を正面から受け止め、説明責任を果たしながら、信頼回復のために各般の取組を進めてまいりますと述べられました。
そこでお尋ねします。
(国民の声、説明責任、毀損された信頼)
総理は、国民の皆様の声がどのようなものであると認識されていますか。また、ここで述べられた説明責任とは、何に関する説明であり、誰に対して誰がどこで行う説明なのでしょうか。さらには、信頼回復のために各般の取組が必要なほど毀損された信頼とは、誰から誰に対する信頼のことなのでしょうか。また、統一教会の問題の何がどのようにして信頼回復のために各般の取組が必要なほどの信用毀損を生んだのでしょうか。それぞれ具体的に総理の言葉でお答えください。
(被害者救済)
統一教会問題について、我が立憲民主党は、何よりも被害者の救済が喫緊の課題であるとの考えの下、悪質献金被害救済法案をほかの野党と協力して今国会に提出し、その成立を与党に働きかけていく所存です。
一方で、新法の成立を待たずとも、現行法の運用で今すぐできることがあります。
先月三十日に示された政府の「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議の取りまとめ概要では、相談内容が宗教に関わることのみを理由として消極的対応をしないことなどが申合せ事項となったと記載されています。
これまで、被害者が勇気を出して虐待被害からの救済や生活保護の申請のために自治体などの窓口に相談に行っても、宗教の話になると、信教の自由を盾に行政から受付を拒否されるケースが多いといいます。こうした現場の無理解を即刻改善するためには、関係省庁連絡会議の申合せだけでは足りず、虐待被害者の身体保護や生活保護の申請を受け付ける各自治体等の現場の行政機関に、相談内容が宗教に関わることのみを理由として消極的対応をしない旨の実効性のある通達を内閣として発出することが必須であり、それは今すぐにできる被害者救済策と考えますが、総理の見解を伺います。
(統一教会の反社会性)
岸田総理は、自民党総裁としてのお立場から、かねてより自民党所属の国会議員に対して、統一教会との関係を絶つことを党の基本方針に据えていると述べておられます。
改めて問いますが、自民党の所属議員たるもの、統一教会と関係を絶つべきであると判断されたのはどのような理由からですか。具体的にお答えください。
また、統一教会は、これまで何度も司法の場で、民法七百十五条で規定される使用者責任のみならず、民法七百九条を根拠として組織としての不法行為を認定されるなど、その反社会性を何度も厳しく指摘され続けてきました。総理御自身は、こうした統一教会の反社会性についてどのような認識をお持ちでしょうか。具体的にお答えください。
(山際大臣と統一教会)
山際大臣に関しては、次々と統一教会との関係が明らかになっています。
統一教会の問題を調査し続けるジャーナリスト複数からの報告によりますと、今日現在まだ明るみになっていない統一教会との接点があるとの情報もあります。もし、今国会中に山際大臣に関してこれ以上の新しい統一教会との接点が判明した場合、岸田総理の更に重大な任命責任が生じると考えますが、総理の見解を問います。
総理の任命責任
岸田内閣に国政のかじ取りを任せるわけにいかない理由は、統一教会との関係を清算できない点にのみあるのではありません。
山際経済再生担当大臣は、統一教会との不適切な関係だけでなく、保有株式に関する申告を怠っていたという重大な大臣規範違反が判明しています。
秋葉復興大臣に関しては、実体のない政治団体への多額の寄附が問題視されています。さらに、財務省出身で滋賀県の長浜税務署長でもあった寺田総務大臣に至っては、政治資金規正法の主務大臣でありながら、御本人が代表を務める自民党支部や妻が代表を務める政治団体などに脱税などが疑われる不透明な資金の流れがあるのではないかと報道される始末です。
寺田大臣にお伺いします。その記事をお読みになりましたか。報道内容は事実でしょうか。政治資金規正法等の関連法令違反や脱税について、その事実や可能性はあるのかないのか、明確にお答えください。
総理はこのような閣僚をまだ任用し続けるのでしょうか。総理に各大臣の事案への認識とその任命責任を問います。
また、岸田総理御本人にも為政者としての素質に疑義を抱かざるを得ない事態が発生しています。総理、内閣法にその職務が、内閣総理大臣の命を受け、機密に関する事務をつかさどり、又は臨時に命を受け、内閣官房そのほか関係各部局の事務を助けると規定され、まさに国政の中枢を動かす権限を有する総理の政務秘書官になぜ三十一歳の御子息を起用されたのでしょうか。
総理は、衆議院本会議で、適材適所であると抜てきの理由を述べておられましたが、御子息の能力や実績がどのように適材であるのか、この人事が身びいきではない理由は何か、具体的にお示しください。
また、秘書官の俸給を定める特別職の職員の給与に関する法律によれば、総理秘書官の俸給は内閣総理大臣に協議しなければならないとされています。すなわち、総理は御長男の給料をも決める権限があるということです。よもや総理は、自ら国難と規定されるこの状況下で、我が国ではなく我が家を優先されたのではありませんよね。俸給には月額にして最大およそ三十万円もの幅がありますが、まさか同じ総理秘書官となられた事務次官経験者の嶋田秘書官と同等などという事態が発生するのかどうか、具体的に御答弁をお願いします。
インボイス制度
インボイス制度の導入が一年後に迫っています。インボイス制度は、ライターや編集者など言論、出版に関わる方々、プログラマーやエンジニアなどテクノロジー産業の基盤を支える方々、あるいは俳優や声優などエンターテインメント業界関係者に多いフリーランスの皆さんや、建設・土建業界に多い一人親方の皆さんなど、個人で仕事を行う立場の弱い人々に大打撃を与えます。
インボイス導入に反対し、制度見直しを求め、声優の方々が結成したVOICTIONの設立メンバー、甲斐田裕子氏によりますと、インボイス制度の導入で、声優のうち二割の方が廃業を検討されておられるといいます。
総理は、所信表明で構造的な賃上げの必要性を訴える中で、中小企業における賃上げや個人がフリーランスとして安定的に働ける環境をつくるとおっしゃいましたが、インボイス制度が導入されることにより、中小企業が活力をそがれ、フリーランスが廃業に追い込まれるならば、矛盾も甚だしいと言わざるを得ません。
立憲民主党は、既にインボイス制度廃止法案を提出しています。この際、中小零細企業を守り、フリーランスの方々が安定的に働ける環境をつくるためにも、インボイス制度は廃止すべきと考えますが、総理の御所見を問います。
新型コロナウイルス感染症対策
コロナ対策について伺います。
(医療崩壊の認識)
五日の衆議院本会議で、第七波における医療提供体制について岸田総理は、重症病棟において三五%、コロナ病床全体でも六二%と、必要な入院医療を提供することができたと答弁されています。しかし、実態は、ベッドはあっても人手は足りず、救急や通常診療においても医療崩壊というべき事態が生じていたのではありませんか。ある医療関係者は、何度同じことを申し上げれば御理解いただけるのかと怒りをにじませながら、国民のお一人お一人の基本的な感染対策に依存するばかりの政府の無策ぶりに苦言を呈しておられました。
総理は、病床使用率と医療現場の逼迫度に乖離があるということを理解されておられますか。次の感染の波が来た際には、どのように医療崩壊を回避されるのか、お答えください。
(検査)
医療逼迫を防ぐためにも、早期診断、早期診療、治療をして、患者の容体を悪化させないこと、そして感染者を抑制することが重要です。PCR検査を基本とした検査を基軸に据えるからこそ、ワクチンも治療薬も相乗効果が期待できるのです。ワクチン一本足打法から脱却し、検査で感染のもとを断つという当たり前のことを感染対策の基本に据えるべきであると考えますが、感染症の拡大防止のための検査の重要性について、総理のお考えを伺います。
(コロナ後遺症、ワクチン後遺症)
コロナ後遺症やワクチン後遺症にも政府としてもっと積極的に取り組むべきです。
岸田総理は、リーフレットなどで周知を行ってきた、診療の手引きで職場復帰の支援をお示ししていると答弁されています。しかし、厚生労働省のホームページを見ても、後遺症対応の専用ページすらなく、医療者や周囲の理解不足が患者を更に苦しめています。
政府として、自治体のお手本となるような相談窓口を設置するとともに、是非とも後遺症に苦しむ人々に対する支援体制をもっと強化していただきたいと考えますが、総理のそれぞれの後遺症に対する認識と今後の対応についてお聞かせください。
(全数把握の見直しについて)
先月末から感染状況の詳細を把握する全数把握が見直され、詳細を把握するのは重症化の可能性のある人だけに限定されました。感染者の総数の把握は続けているとはいえ、第七波で亡くなられた方々のうちおよそ九割は中等症であった事実を踏まえると、全数把握の見直しでこれまで以上に適切な医療につながらず命を落とすケースが増えることが懸念されます。こうした懸念を払拭するためにどのような対応を取られるのか、総理の見解を問います。
東日本大震災の復興とALPS処理水
次に、東日本大震災からの復興についてお尋ねします。
(海洋放出に関する見解)
政府は、ALPS処理水について、昨年四月に海洋放出の方針を決定しました。これまで議論がほとんど共有されないまま、寝耳に水の決定事項として強行されることに断固抗議いたします。
これまで、地元関係者を含め、原発事故でなりわいを奪われた漁業関係者の方々がどのような思いで再生への道のりを歩んでいらっしゃったのか。やっとのことで漁を再開しても、安く買いたたかれ売れなくなってしまった魚を前にどれほどの悔しさをのみ込んできたのか。失われた販路をようやく取り戻した、あるいは何とか取り戻そうと必死になっているやさきに、海洋放出が頭ごなしに決定されたのです。
総理、総理と、政府と東京電力は、福島県漁連に対し、関係者の理解なしにいかなる処分もしないと約束したのではありませんか。にもかかわらず、海洋放出を決定ありきで進めるのは、関係者の理解が得られたとお考えだからでしょうか。関係者の理解が得られていない以上、ALPS処理水の海洋放出は再検討すべきであると考えますが、総理の御所見を問います。
(復興についての見解)
さらに、総理は所信の中で、東日本大震災という未曽有の国難からも立ち上がることができましたと述べておられますが、東日本大震災からの復興はまだ完了形ではありません。ALPS処理水のみならず、例えば、最終処分場が決まらず行き場を失ったままの放射性の指定廃棄物が一都八県に散在しています。生活再建、心のケアなど、震災復興に関するソフトの面の対応はいまだに不十分です。未来へ向けた希望を語るならば、不都合な事実にも言及し、解決への具体的な道筋を示すべきです。
東日本大震災の被災地である宮城県選出の国会議員として、総理に改めて問います。被災地の現実をいま一度直視してください。その上で、まだ立ち上がることができたと、あたかも終わった話のように言えるのか、御所見を伺います
食料安全保障
次に、食料安全保障について伺います。
総理は所信で、産業の米と言われる半導体のことは触れても、まさに今収穫を迎えている米に代表される一次産業、農林水産業については言及されていません。食料価格の高騰を日本経済のリスク要因としながら、何とも不可思議なことに、食料生産そのものについてのビジョンは語られていないのです。
農業を始め一次産業に携わる方々がどんどん少なくなっています。当事者の皆さんにお話を伺いますと、大半の方が、それだけでは生活していけないからとお答えになります。売れるものを生産せよ、付加価値が高いものを作れと政府は言います。しかし、一次産業は自然が相手です。田んぼに土を盛り、大豆や小麦を植えればすぐに計算どおりの収穫が得られるわけではありません。今年は豊漁でも、来年も続く保証はありません。さらに、大雨や台風などの被害が頻発し、一次産業に大打撃を与え続けています。食料安全保障を考える場合、何より重要なことは、一次産業に携わる方たちが生活の不安なくなりわいを続けることができる仕組みづくりなのではありませんか。
今こそ、例えば農業であれば、多面的機能の維持と食料自給率の向上を目指す戸別所得補償制度を導入すべきであると考えますが、総理の御見解を問います。
憲法
最後に、憲法改正について伺います。
総理は、所信で、憲法改正の発議に向け、国会の場においてこれまで以上に積極的な議論を期待すると述べられました。しかし、議会制民主主義を踏みにじり、財政民主主義をないがしろにし、国権の最高機関たる国会を形骸化してはばからない、つまりは、現行憲法を守るつもりもない人物が憲法改正を促すなど言語道断です。総理自身が現在の憲法をないがしろにする状態で、どのような活発な議論ができるというのでしょう。
憲法改正よりも、国葬や統一教会をめぐる問題に現在の憲法に違反する事例はないか、衆参の憲法審査会で大いに積極的に議論する必要があると考えますが、この点についての総理からの期待について御答弁ください。
所信表明の結びで岸田総理は、信頼と共感の姿勢を大切にするとおっしゃいました。岸田総理の所信表明から、一体何を信頼し、何に共感したらいいのか、私には皆目見当が付きません。今日、第二次安倍政権以降の我が国が、有効な手だてもなく国難ともいうべき事態に直面していることには同意します。
だからこそ、国会を軽視し、何ら具体性のない表面だけの決意表明に終始するやる気のない内閣は即刻退陣いただきたい、そう申し上げて、私の代表質問といたします。
答弁 岸田文雄・内閣総理大臣
石垣のりこ議員の御質問にお答えいたします。
臨時国会召集要求への対応についてお尋ねがありました。
八月十八日に行われた臨時国会の召集要求については、国会のことでもありますので、与党とも相談しながら対応を検討し、臨時国会で審議すべき事項等、こうしたことについてしっかり勘案し準備をした上で十月三日に臨時国会を召集することを決定したものであり、御指摘は当たらないと思っています。
そして、憲法五十三条の解釈については、これまで法制局長官が答弁してきたとおりであります。
十月三日の所信表明演説で申し上げたとおり、私は、国民の皆様からの厳しい声にも、真摯に、謙虚に、丁寧に向き合っていくことをお誓いいたします。もとより、国会での議論は誠に重要なものであり、御審議に引き続き誠実に対応してまいります。
旧統一教会との関係と国民からの信頼についてお尋ねがありました。
旧統一教会については、悪質商法に関する問題、親族の入信に起因する家族の困窮等の問題等、様々な問題が指摘されているにもかかわらず、多くの自民党の国会議員が旧統一教会と様々な接点を持っていたことにより、結果として当該団体の信頼を高めることがあったとの指摘があり、こうしたことが国民からの政治に対する信頼を損ねてしまったものと考えております。
自民党においては、所属国会議員と旧統一教会との関係について点検を行い、その結果を発表いたしました。
旧統一教会との関係については、各議員が政治の責任において丁寧に説明を尽くす必要があると考えており、今後も各議員が最大限国民に対する説明責任を果たすとともに、当該団体と関係を持たないことを徹底してまいります。
旧統一教会の被害者からの相談についてお尋ねがありました。
政府としては、「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議において、相談内容が宗教に関わることのみを理由として消極的な対応をしないこと、これを申し合わせております。この申合せに沿って、全国の地方自治体等の関係機関に対しても、児童虐待や生活困窮者支援、生活保護等に関する相談窓口における対応に関し、相談内容が宗教に関わることのみを理由として消極的な対応をしないようにする旨の通知等を発出いたしました。
旧統一教会の関与を背景として、児童虐待や生活困窮などの問題に苦しんでおられる方々が行政機関の支援につながるよう、今後とも適切に取り組んでまいります。
旧統一教会に対する認識についてお尋ねがありました。
旧統一教会については、悪質商法に関する問題、親族の入信に起因する家族の困窮等の問題等、様々な問題が指摘されていると承知をしており、このような状況を踏まえて、社会的に問題が指摘されている団体であると認識をしております。
また、民事上の不法行為責任や使用者責任を認める判決が示されているほか、消費生活センター等へも多数の相談が寄せられており、こうした司法の場も含めて社会的に問題が指摘されている団体と関係を持つことにより政治に対する信頼を損なってはならないと考え、党所属議員に対して関係を絶つことを徹底しているところです。
山際大臣と旧統一教会との新たな接点が判明した場合についてお尋ねがありました。
まず、私の政権においては、各閣僚等それぞれが旧統一教会との過去の関係を調査、説明し、新たな接点が判明した場合には、その都度追加的に報告、説明を行い、今後は関係を持たないことを徹底すること、これを方針としております。
山際大臣については、過去、旧統一教会関係の接点があったこと、また、接点を点検した後も新たな過去の接点が報じられていることについてできる限り調査を行い、その結果を説明するとともに、これまでの反省に立って、今後は一切関係を持たないと述べていると承知をしております。理解が得られていないというのであるならば、引き続き、政治家として、自らの責任において丁寧な説明を尽くす必要があると考えております。
閣僚に関する事案についてお尋ねがありました。
私の政権運営における基本は、先日の所信表明演説でも申し上げたとおり、信頼と共感にあります。国民の負託を受け、国政を預かる立場にある政治家にとって、国民の皆様の信頼は不可欠であり、政治家はその責任を自覚し、国民から疑念を持たれないよう常に襟を正していかなければなりません。お尋ねの各事案については、それぞれの大臣が自らの政治家としての責任において、必要に応じ国民の皆様から御理解が得られるよう説明を尽くし、信を得ていかなければならないと思っています。
内政も外交も幾重にも重なり合う多くの課題に直面する中であるからこそ、国民の負託に応え、政策を遅滞なく前に進める大きな責任があります。国民の厳しいまなざしが注がれていることを常に意識をし、様々な御批判も真摯に受け止めながら、今後、内閣として一層の緊張感を持って政権運営に当たってまいります。
内閣総理大臣秘書官の人事についてお尋ねがありました。
個別の人事について詳細はお答えを控えますが、政権発足から一年という節目を捉え、適材適所の観点から総合的に判断したものであります。現在、内閣総理大臣秘書官は八名置かれており、この八名がチームとして相互に連携して総理大臣の職務遂行を常時サポートしています。今回の人事に当たっては、休日、深夜を問わず発生する危機管理の迅速かつきめ細かい報告体制、党との緊密な連携、ネット情報、SNS発信への対応など諸要素を勘案し、秘書官チームの即応力の観点から総合的に判断した次第であります。
内閣総理大臣秘書官の俸給の額は、法律に定められた手続に従って適正に決定されるものと認識しております。その具体的な金額については個人情報に当たることからお答えは差し控えますが、公設第一秘書を務めていた前職と同水準になると報告を受けております。
インボイス制度についてお尋ねがありました。
インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものであり、その円滑な移行を図る観点から、十分な経過措置を設けています。制度の円滑な実施に向けて、IT導入補助金などの事業者の負担を軽減する支援や、フリーランスの方々を含め、免税事業者を始めとした事業者の取引について、独禁法、下請法等の取扱いをQアンドAにより明確化し、各事業者団体への法令遵守要請を行うなど、取引環境の整備等に引き続き政府一体で連携して取り組んでまいります。
新型コロナ対応についてお尋ねがありました。
この夏の感染拡大において、必要な入院医療は提供することができたと考えていますが、緊急搬送困難事案の増加や医療従事者の欠勤などが見られ、一般医療を含め、医療提供体制に負荷が生じていたということは承知をしております。
今後は、インフルエンザと新型コロナが同時流行したときの備えが重要となります。既に、先月からオミクロン株に対応した新型ワクチンの接種を開始しておりますが、ワクチン接種を加速するとともに、インフルエンザとの同時流行を想定した外来等の医療、保健医療体制の確保を進めてまいります。
検査については、症状が出た方等に迅速に検査を実施をし、必要な医療等につなげることが重要であり、政府として検査キットの確保を行うとともに、十分な量の検査キットのインターネット等での販売を可能とし、自宅で速やかに検査ができるようにしております。
新型コロナやワクチンの後遺症対応についてお尋ねがありました。
新型コロナの後遺症については、ほとんどの方は時間経過とともに症状が改善していますが、一部の方で疲労感や倦怠感等の症状が長引くことがあると認識をしております。このような症状については、まずはかかりつけ医につなぐことが重要であり、リーフレット等による周知や診療の手引きの普及等に加え、各自治体の取組事例を横展開しております。
あわせて、ワクチンの後遺症のような長引く症状に悩む方が必要な医療を受診できるよう、各都道府県に対し、相談窓口の設置や診療体制の確保等を依頼しております。
また、コロナ感染者の全数届については、その対象を六十五歳以上の方、入院を要する方等の四類型に限定をし、重症化リスクの高い方への保健医療体制の重点化を行いました。
御指摘の中等症の方については、医師の総合的な判断になりますが、原則は入院を要する方などに該当し、引き続き届出の対象となります。届出対象外の方についても、健康フォローアップセンターの整備、体制強化により医療につながる体制を整えております。
ALPS処理水の処分と東日本大震災からの復興についてお尋ねがありました。
福島の復興とその前提となる廃炉は、岸田政権の最重要課題です。昨年、私自身、総理就任直後に福島第一原発を訪問し、敷地が逼迫するなど、立ち並ぶタンクを目の当たりにし、廃炉を着実に進め、福島の復興を実現するためには、ALPS処理水の処分は決して先送りできない課題であると痛感をいたしました。
政府としては、六年以上にわたる有識者との検討や様々な方との意見交換など、丁寧に議論を積み重ねた上で、昨年四月、安全性の確保と徹底した風評対策を行うことを前提に、ALPS処理水の海洋放出を行う基本方針を決定いたしました。
漁業者の方々など地元を始めとする皆様の御理解を得られるよう、繰り返し丁寧に説明するとともに、処理水の安全性確保や風評払拭に向けたあらゆる対策の徹底に取り組んでまいります。
また、東日本大震災の発生という国難からこの十一年間、被災者、被災地の方々の絶え間ない御努力や関係者の御尽力により復興は着実に進んでいます。こうした認識から、お尋ねの所信表明演説において、東日本大震災という未曽有の国難からも立ち上がることができましたと申し上げたものであり、これは決して復興が終わったとの認識ではありません。
引き続き、被災地の皆様の声をしっかりと受け止め、東北の復興なくして日本の再生なしとの強い決意の下、指定廃棄物の処理や被災者の心のケアなど残された課題への取組を含め、被災地の復興に向けて全力を尽くしてまいります。
そして、食料安全保障と戸別所得補償制度についてお尋ねがありました。
食料を将来にわたって安定的に確保していくためには、できる限り国内で生産していくことが重要であり、農産物の国内生産を通じた食料安全保障の確保などに取り組みます。
戸別所得補償制度については、米への助成を基本とするならば、需要ある作物への転換が進まないなどの問題があると考えており、スマート農林水産業、輸出促進、グリーン化、食料安全保障の強化、これを農林水産政策の四本柱として、我が国の課題に対応した政策を展開し、農林漁業者が安心して生産できる農林水産業を構築してまいります。
憲法審査会において議論する事柄についてお尋ねがありました。
憲法審査会の設置については、国会法に規定されているとおり、日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制について広範かつ総合的に調査を行い、憲法改正原案、日本国憲法に係る改正の発議又は国民投票に関する法律案等を審査するために各議院に設置されているものと承知をしております。
この憲法審査会の運営については、こうした設置の趣旨に従って行われるものと思いますが、国会でお決めいただくことでありますので、内閣総理大臣として申し上げることは控えなければならないと考えております。
残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。
答弁 寺田稔・総務大臣
石垣議員からの御質問にお答えをいたします。
私に関係する政治団体に係る一部週刊誌の記事について御質問をいただきました。
政治資金については、政治資金規正法にのっとって適正に処理をいたしております。また、税法の関係も適正に処理をしております。
御指摘の記事の内容については、事実でない記載ありますが、政治資金の取扱い等については、引き続き、法令に沿って適正に処理をするとともに、国民に対し説明責任を果たしてまいります。