【独自】国葬欠席を表明した自民・村上誠一郎の「真っ当な思い」 FRIDAY DIGITAL

国葬欠席を表明した自民・村上誠一郎の「真っ当な思い」 政治・経済

【独自】国葬欠席を表明した自民・村上誠一郎の「真っ当な思い」(FRIDAY DIGITAL 2022年09月22日)

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【インタビュー】
「国葬反対」を明言。支持率激減に「このままでは国民がどんどん離れていってしまう」

「反対」の声が日増しに高まっている安倍晋三元首相の「国葬儀」。ついに自民党現職議員から、国葬欠席の声が上がった。元行政改革相で、自民四国ブロック長の重責を担う村上誠一郎氏が、FRIDAYデジタルの取材に応えた。

国民を代表する議員として、国葬には出席できない

「わたしは当初から国葬に反対でした。そのようにずっと申し上げてきたので、欠席させていただくこととしました。国葬を決定する経緯、その基準法、そしてなにより国葬に反対する国民が過半数を超えていることで、結果として、死者にむち打つような国葬論議となってしまったことが悔やまれてならない。国民を代表する立法府の議員としてはこの際、国葬は欠席するしかないではありませんか」

村上氏はそういってうつむいた。永眠した人を喧噪の中に置くようなことがあっていいのかとつぶやくように話した。安倍元首相は国葬に値しない為政者だったのだろうか。

「英国エリザベス女王の歴史と伝統に彩られた国葬について、女王自らが、生前に自身の国葬協議に参加していたと聞きました。棺はロンドン市内のどのコースを辿り、どのように国民に別れを告げたいか。綿密な準備がなされた上で執り行われたそうです。その結果、あれほど荘厳な国葬を営むことができた。死してなお女王はイギリス国民に向き合いその立場をまっとうしたのです。国葬というのはこういうものではないかと豁然(かつぜん)たる思いです。安倍元首相の国葬は、その時の感情論に流された単なる思いつきで、まして法的根拠もないことから内閣設置法をひねり出した付け焼き刃。はたしてこれで、本当の意味で故人を偲ぶことになるのかと思ったのです」

国葬をめぐる議論はますます激しくなっている。法学者たちも、その法的根拠に疑問を呈し発言をしている。21日早朝には、総理公邸近くで70代の男性が自身に火をつけ国葬反対の激しい意思表示をした。目撃した女性が110番通報し、駆けつけた警察官によって火は消し止められたが、病院に救急搬送された男性の容態は不明、消火活動にあたった警官もケガを負うという壮絶な出来事となった。

政治の独断に国民は納得しない

安倍氏国葬について、なぜここまで反対の声が大きくなったのだろうか。

「沖縄返還を成し遂げ、非核三原則でノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作元首相や昭和の大改革を断行した中曽根康弘元首相でさえ内閣·自民党の合同葬でした。外国要人が多数弔問に来られ、弔問外交は、きちんと出来たのです。

しかし今回は、なんの準備もなく法的根拠がないまま、国民に諮りもせず、政治の独断で国費投入を決めた。しかも、安倍元首相に限っては国葬がふさわしいと言うにはあまりに納得し難い。まして今、統一教会問題で自民党において中心的な役割を果たしていたのが安倍元首相であったということがわかったのだから、その人を税金で国葬というのは誰だって違和感があるのは当然だと思う」

村上氏はこれまで、格差が拡大し続けるアベノミクスを一貫して批判し続けてきた。日銀による国債引き受け総額はまもなく債務超過となる97%に達し、経済政策の失敗による危機的状況に陥っている。村上氏は、国民が耐えがたい物価高に直面していることを憂慮している。さらにモリカケ桜問題、公務員法改正によって行政機能にも大きな支障をきたすことになった安倍政権への評価は、けっして高くないのだ。

「統一教会の問題について複雑な思いはありますが、安倍元首相はすでに亡くなられた。亡くなられた方を悼み弔う気持ちは国民も、そして私のなかにも等しくあります。死者への弔いと政治問題がぶつかり合ってしまうような事態を招いたのは、国葬を判断した政府の責任だと思います」

岸田政権の内閣支持率は直近の世論調査で29%台と大きく下がった(毎日新聞調べ)。他メディアの調査でも、支持率はことごとく下落している。国葬問題が大きく影響していることは間違いない。

「国葬欠席」を表明した村上氏には、党内から「懲罰に値する」という批判の声も出ている。しかし本来、葬式への出欠は個人の内心によって判断されるものではないだろうか。岸田自民党は、その「内心」への干渉を露わにしたために、国民から完全に見放されたのかもしれない。

取材・文:岩城周太郎