自民党重鎮「岸田政権はガタガタだな」、党内で「菅・二階待望論」 岸田総理には「抜き打ち解散」ですべて薙ぎ払う他に対抗策はない

岸田文雄総理VS菅・二階連合 政治・経済

岸田内閣に「リセット解散」説…支持率急落に打開策なく、政界に憶測飛び交う

岸田内閣に「リセット解散」説…支持率急落に打開策なく、政界に憶測飛び交う(日刊ゲンダイ 2022/09/14 06:00 更新日:2022/09/14 06:00)

朝日新聞の世論調査でも「支持」と「不支持」が逆転してしまった岸田内閣。政界では「早期解散説」が飛び交っている。最新号の「週刊現代」は、<岸田政権 失望の「国葬解散」へ>と報じている。

解散説が流れるのは、岸田政権には“打開策”が見当たらないためだ。10月に臨時国会を開いたら、野党から「安倍国葬」と「自民党の統一教会問題」を追及され、さらに支持率が下落する可能性が高い。だとしたら、“死に体”になる前に一気に解散総選挙に打って出るのではないか、という臆測が流れているのだ。選挙で勝てば、すべてリセットできるという解説である。

ただし「早期解散説」は、岸田官邸と距離を置く勢力から流されているという。

「この先、岸田政権に好材料がないのは確かですが、いま解散するのは自爆に近い。もちろん、弱体野党に政権を奪われることはないでしょう。でも、数を減らすのは間違いない。最悪、岸田首相は退陣に追い込まれる。岸田首相が弱体化したり退陣して喜ぶのは、非主流派の菅前首相や二階元幹事長です。野党の体たらくを見ていると解散の誘惑に駆られるのは事実ですが、さすがに岸田官邸も慎重なはずです」(自民党事情通)

しかし、ここで早期解散を見送ると「サミット花道退陣」か「追い込まれ解散」となる可能性が高くなるという。

■統一地方選前に“岸田降ろし”勃発の可能性も

「岸田さんの強みは、支持率は高くなくても、不支持率が低かったことです。嫌われるタイプではなかった。ところが、世論調査で“支持しない”が急増している。一度、負のスパイラルに入ると、政権はなにをやっても批判される。非課税世帯への5万円給付プランも批判されています。心配なのは、これから物価高が本格化し、冬には新型コロナの第8波が襲ってくる恐れがあることです。その場合、来年1月から始まる通常国会で火ダルマになる恐れが強い。内閣支持率はさらに下がるでしょう。来年春には統一地方選挙があるだけに、地方議員から“岸田首相では選挙に勝てない”との声が噴出し、岸田降ろしが勃発しておかしくない。ちょうど来年5月には、岸田さんの地元・広島

でG7サミットが開催されるので“サミット花道論”が出てくる可能性があります」(政界関係者)

「安倍国葬」を強行しようとしているツケが、一気に噴き出している。

安倍「国葬大失敗」で自民党重鎮「岸田政権はガタガタだな」…この秋「ヤケクソ解散・総選挙」へ!

安倍「国葬大失敗」で自民党重鎮「岸田政権はガタガタだな」…この秋「ヤケクソ解散・総選挙」へ!(現代ビジネス 2022.09.13)

安倍晋三元総理の「国葬」が世論の猛反発を受け、追い込まれた岸田文雄総理。もはや残された武器は、総理大臣のみが振るうことのできる「解散総選挙」の決断しかない……前編記事『安倍「国葬大失敗」で岸田総理がヤケクソ…!この秋、イチかバチかの「電撃解散・総選挙」へ』に引き続き、驚きの戦略の全貌をお伝えする。

安倍の前例に学んで

政権発足から丸1年たたずして、岸田の進退は窮まった。もはや打開策は、ひとつしか残されていない。総理大臣だけが持つ、政界唯一にして最強の「宝刀」を抜く――国葬直後に衆院解散・総選挙に踏み切って、すべてをリセットするのだ。

参院選での勝利により、国政選挙のない「黄金の3年」を手にしたといわれていた岸田だが、実は安倍の銃撃事件の発生からまもなく、早期解散のタイミングを計ってきたという。岸田派所属のベテラン議員が言う。

「来年春には統一地方選があるから、その前後に解散を打つのは公明党が反対する。5月になると広島で開催するG7サミットに忙殺される。党内でも多くの議員は『解散があるとしても、サミット終了後の来年夏以降だろう』とのんびり構えていますが、総理はずっと『支持率が持たなければ、年内に解散を打つ』カードを温めていたのです」

前例がある。安倍もかつて、森友学園・加計学園・桜を見る会と立て続けに不祥事に見舞われた’17年の秋、衆院解散に活路を見出した。「国難突破解散」という意味不明なスローガンをぶち上げ、政権浮揚目的の選挙であることは見え見えだったが、それでも選挙後には支持率が10ポイントも上がり、みごと「目くらまし」に成功した。

「このままでは追い込まれる」

ここで解散を先延ばしにすると、結局タイミングを逸して『追い込まれ解散』になる可能性が高い。それだったら『統一教会との関わりを断てない候補者は公認しない』とお触れを出せば、安倍派の議員を中心にウミを出せるし、『関係を清算した』という大義も作れる。自民党が野党に大負けする可能性は100%ないのだから、多少議席を減らす覚悟で早期解散するのがベストなのです。

憲法改正は遠のくでしょうが、(ハト派の)宏池会の岸田総理としては、それで別に問題ない」(自民党幹部議員)

ちょうど5年前の9月28日、安倍が臨時国会冒頭解散に踏み切った際、野党は「国会論戦を封じる暴挙」と騒いだ。しかし自民党は議席を減らすことなく圧勝、死に体の政権は息を吹き返し、’20年夏に安倍が電撃辞任するまで続いた。岸田が狙っているのは、その再現に他ならない。

もうひとつ、岸田がすぐにでも解散を打たなければならない大きな理由がある。自民党に巣くう二人の「妖怪」――前総理の菅義偉、そして元幹事長の二階俊博が、政権の窮状を察して舌なめずりを始めたのである。

9月1日、菅と二階は六本木の高級鉄板焼き店「ステーキハウス ハマ」の個室に入った。いつものように菅の口数は少ないが、二階は饒舌だ。菅を呼ぶ際に「総理」と敬称を添えて、こう語った。

「岸田政権は、もうガタガタですな」「統一教会の件で無傷なのは菅総理だけだ。政権がこのまま行き詰まるようなら、前面に出てもらわないと」

河野太郎の不穏な動き

二階が念頭に置いているのは、菅と自らの「再登板」である。このまま岸田や茂木が状況を打開できなければ、党内で「菅待望論」そして「二階待望論」が出てくるに違いない。事実、岸田や茂木の下では選挙を戦えないと不安を漏らし始めた議員は、すでに少なくない。

しかし菅は、自分が再び矢面に立てば、前政権の二の舞になると考えている。そこで目論んでいるのが、二人の「駒」を動かすことだ。

先鋒は去年の総裁選で、麻生派所属ながら菅の全面支援で岸田と戦った、河野太郎である。

「総理は河野さんをデジタル大臣にして閣内に封じ込めようとしたが、選挙に強く統一教会の助けをほとんど受けていない河野さんは、霊感商法対策の検討会を作ったり『統一教会には解散命令を出してもいい』と言ったりと、スタンドプレーしまくっている。それでも総理が何も言えないのは、菅さんがバックにいるから」(菅と近い自民党議員)

菅と萩生田「結託」の可能性

もう一人が、窮地に追い込まれた萩生田だ。安倍派が崩壊した後、萩生田はオレを頼ってくるに違いない。アイツには、まだ利用価値がある――菅はそう読んでいる。

「菅さんと萩生田は、安倍政権時代から密に連絡していて仲がいい。西村(康稔経産相)が安倍派の会長を継げば、萩生田は派閥を出ていくだろう。創価学会と太いパイプを持つ菅さんのもとに、統一教会問題の鎮火をお願いしたい萩生田が身を寄せる可能性は高い」(前出・自民党幹部議員)

菅は最近、岸田の耳に入るのを承知のうえで、岸田批判をしばしば口にするようになった。その菅が二階と組んで、崩れゆく安倍派を草刈り場とし、さらに近未来の総理総裁候補とも言われる河野や萩生田を抱き込んでいる。岸田にとって、こうした動きは「いつでも自民党を割れるんだぞ」という宣戦布告に等しい。そして今の岸田には、抜き打ち解散ですべて薙ぎ払う他に対抗策はない。

総理だけが持つ「伝家の宝刀」は、予想外のタイミングで抜き放ってこそ生きる。たとえ国民が失望しようが、政治は権力を握り続けることに意味があるのだ――破れかぶれになった岸田はもう、その柄に手をかけている。(文中敬称略)

「週刊現代」2022年9月17日号より