岸、稲田、下村、細田、馳も 「統一教会との関係は清和会が代々継いできた」と元閣僚が証言(NEWSポストセブン 2022.07.30 07:00)
安倍晋三・元首相が旧統一教会に恨みを抱く山上徹也容疑者に射殺された事件を機に、自民党と旧統一教会の関係に注目が集まっている。安倍元首相の実弟である岸信夫・防衛大臣は記者会見で「お付き合いもあったし、選挙の際もお手伝いをいただいた」と旧統一教会との関係性を認めた。さらに、稲田朋美・衆議院議員が友好団体のイベントに出席したことや、下村博文・衆院議員が代表を務める支部に友好団体幹部から寄付があったことなどが報じられている。
次々と自民党議員の名前が挙がっているが、その大半が安倍派(清和政策研究会)の所属や出身者である。岸氏、稲田氏、下村氏はもちろん、友好団体のイベントで挨拶したと報じられた細田博之・衆院議長は元派閥トップであり、会見で支援を受けていたことを認めた馳浩・石川県知事も同派出身である。
山口敏夫・元労働大臣は自民党で当初は三木派(現在は麻生派に合流)所属、河野洋平氏らと新自由クラブを立ち上げ後、自民党に戻ってからは中曽根派(現在は二階派に合流)に籍を置いた。山口氏は「私は統一教会と関わりがなかった」としたうえで、清和会と統一教会の関係をこう明かした。
「すでに報じられている通り、岸信介氏が教祖の文鮮明氏と盟友関係を築いたことで、統一教会との関係が出来たわけです。つまり、統一教会との関係は、最初から自民党というより清和会なんです。それから代替わりで派閥を受け継いだ歴代の幹部たちは親しかったんじゃないでしょうか。統一教会の関係者が、清和会の議員の選挙応援をしていたと聞いています。ポスター張りや電話かけとか、辻立ちする場所ではサクラというか運動員として駆けつけてくれたりもしたという。選挙で熱心にやってくれる運動員はありがたいから受け入れていたのでしょうが、統一教会の関係団体とわかっていたら控えるべきだったのではないか」
清和会が統一教会との関係を深めた背景には、派閥の置かれた党内事情もあったと、ベテラン政治ジャーナリストは言う。
「今でこそ党内最大勢力で権勢を誇る清和会ですが、森喜朗政権が誕生するまでは、経世会、宏池会という二大派閥からすると格落ちする傍流派閥という印象でした。特に田中派の流れを汲む経世会は、建設業界や特定郵便局といった選挙で手足となる組織を味方につけ、資金力だけでなく圧倒的なマンパワーも誇った。そういった組織的基盤を持たない清和会にとって、選挙の時に運動員を出してくれる統一教会は非常に助かる存在だった。組織として脆弱だった清和会にとって、統一教会は頼らざるを得ない存在だったのです。
そうした清和会にとっては、経世会の組織的基盤を崩すことが悲願でした。森政権の後に誕生した小泉政権で行なわれた郵政民営化が、『経世会つぶし』であったことは明白です。清和会出身として経世会支配を苦々しく思っていた小泉純一郎氏は、『自民党をぶっ壊す』と言いながら、その本音は『経世会をぶっ壊す』だったとも言われている。そうして安倍政権を経て、経世会支配から清和会支配に完全に移行した今になって、統一教会依存という清和会が抱えてきた問題が明るみになったのは、因果というべきかもしれません」