今日の出来事(2022年5月23日) 岸田首相、防衛費増額方針表明 日米首脳、対中抑止力強化で一致

岸田首相、防衛費増額方針表明 日米首脳、対中抑止力強化で一致

首脳会談で握手する岸田文雄首相(右)とバイデン米大統領=東京・元赤坂の迎賓館

岸田文雄首相は23日、バイデン米大統領と東京・元赤坂の迎賓館で約2時間15分会談した。両首脳は、軍事・経済両面で存在感を増す中国に対抗し、「日米同盟の抑止力と対処力を早急に強化する必要がある」との認識で一致。首相は日本の防衛力を抜本的に強化し、防衛費を増額する方針を表明した。2023年に日本で開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)を広島で開催する意向も伝えた。

両首脳は会談成果を盛り込んだ共同声明を発表した。会談ではロシアのウクライナ侵攻に関し「力による一方的な現状変更の試みはいかなる場所でも断じて容認できない」とし、G7をはじめ国際社会で毅然と対応することを確認。中国の動向を注視するとともに「東シナ海や南シナ海における力を背景とした現状変更の試みに強く反対する」ことで一致した。

バイデン氏は米国の「核の傘」を含む「拡大抑止」の提供など、日本防衛に対するコミットメント(決意)を表明。拡大抑止を確保するため、閣僚級を含めて緊密に意思疎通することも申し合わせた。バイデン氏は米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条を沖縄県・尖閣諸島に適用すると改めて表明した。

天皇陛下、来日のバイデン米大統領と会見 笑い声が起きる場面も

天皇陛下は23日午前、来日中のバイデン米大統領と皇居・御所で会見した。陛下が外国の元首らと会見するのは、東京五輪開会式に出席する各国首脳らとの昨年7月の会見以来。米国の大統領との会見は、2019年5月に即位後初の国賓として迎えたトランプ前大統領夫妻以来となる。

午前10時過ぎ、御所の車寄せにバイデン氏が到着。バイデン氏は車から降りると、出迎えた陛下に「Hello」と歩み寄り、身ぶり手ぶりを交えながら笑顔であいさつ。笑い声が起きる場面もあった。10時半過ぎ、陛下はバイデン氏と話しながら車寄せまで案内し、手を振って見送った。

バイデン米大統領を出迎えた天皇陛下=2022年5月23日午前10時過ぎ、皇居・御所の車寄せ

米大統領の歓待に「和」の趣向 首相、お点前や庭園案内

岸田文雄首相は23日夜、バイデン米大統領を東京・白金台の八芳園に招き会食した。八芳園は、広さ約4万平方メートルの敷地に回遊式の日本庭園や料亭、茶室がある。関係者によると、首相自ら庭園を案内するほか、裕子夫人が茶道のお点前でもてなすなど「和」の趣向にこだわり歓待。夫人は使い慣れた茶道具を地元広島から取り寄せたほどの力の入れようだという。

首相は、くつろいだ雰囲気の中でバイデン氏との信頼関係を深めたい考えだ。日本政府高官も「バイデン氏は韓国訪問からの過密日程が続いている。ぜひ疲れを癒やしてほしい」と語った。

日本の首相は、これまでも米大統領と親密な関係を築くため独自のもてなしをしてきた。

1983年に中曽根康弘首相が自身の別荘「日の出山荘」(東京都日の出町)にレーガン大統領を招いたのは有名だ。いろりを囲んで打ち解けた会談は「ロン・ヤス会談」とも呼ばれた。

2002年には、小泉純一郎首相ブッシュ大統領が東京都港区の居酒屋で非公式に懇談した。

ゴルフ好きのトランプ大統領が初来日した17年には、埼玉県川越市の霞ケ関カンツリー倶楽部で松山英樹選手を交えて安倍晋三首相とラウンド。安倍、トランプ両氏の往来ではゴルフが組み込まれることが多く、「ゴルフ外交」とも呼ばれた。

トランプ氏が19年に令和初の国賓として来日した際には、安倍氏と東京・両国国技館で大相撲夏場所の千秋楽を観戦。トランプ氏が土俵に上がり、幕内優勝者に「米国大統領杯」を授与した。

バイデン氏、拉致被害者家族と面会 横田早紀江さん抱きしめる場面も

北朝鮮による拉致被害者家族が23日、訪日中のバイデン米大統領に東京・元赤坂の迎賓館で面会した。バイデン氏は「私たちは協力します」と述べ、今後も支援を続けることを明らかにした。横田めぐみさん(行方不明時13歳)の母早紀江さん(86)を抱きしめて共感を示す場面もあった。

被害者家族がバイデン氏と面会するのは初めて。約30分間、8家族11人と非公開で面会した。

バイデン米大統領との面会後、記者会見する拉致被害者家族会の横田早紀江さん(左端)ら

米主導IPEF、13カ国で発足 経済安保で「脱中国」―日本も参加

バイデン米大統領は23日、米国主導の経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足を東京で宣言した。創設メンバーは日米や韓国、インドなど13カ国。経済安全保障の観点で中国への過度な依存から脱却するため、民主主義の価値を共有する諸国で新たな経済秩序の構築を目指す。米国は環太平洋連携協定(TPP)離脱によるアジアでの空白を埋め、最大の競争相手と位置付ける中国に対抗する構えだ。

参加するのは日米韓印と、オーストラリア、ニュージーランド、インドネシア、シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイ、フィリピン、ブルネイ。13カ国は声明に「高水準で包摂的、自由で公正な」貿易モデルを目指すと明記し、「将来の交渉に向けた討議に乗り出す」と表明した。中国による武力侵攻が懸念される台湾は含まれない。台湾が参加すれば中国の反発は必至とみられていた。

IPEFは、中国との戦略的競争を念頭にインド太平洋地域の同盟国・友好国との連携強化を目指し、バイデン氏が2021年10月の東アジア首脳会議で打ち出した。具体的に取り組む分野として①貿易②サプライチェーン③インフラ・脱炭素④税・反汚職――の4分野を掲げている。米国はデジタル経済のルールや環境基準の策定も視野に入れるが、具体的な取り組み内容は不透明な部分が大きい。

インド太平洋経済枠組み参加13カ国

全国で新たに1万8510人の感染確認 前週から3300人減少

新型コロナウイルスの感染者は23日、全国で新たに1万8510人確認された。前週の月曜日から約3300人減少した。死者は31人。重症者は前日から4人増えて96人だった。

東京で新たに2025人感染 10日連続で前週下回る 新型コロナ
東京都は23日、都内で新型コロナウイルスの感染者が新たに2025人確認されたと発表した。前週の月曜日(2377人)から約350人減り、10日連続で前週の同じ曜日を下回った。新たに6人の死亡も確認された。

【1年前の今日の出来事】 2021年5月23日