【参院選中盤情勢】与党が改選過半数の勢い、立民は伸び悩み、維新は大幅増の公算 (読売新聞情勢調査 7月1日~3日)

7月10日は参議院議員通常選挙 政治・経済

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与党が改選過半数の勢い、立民は伸び悩み、維新は大幅増の公算

与党が改選過半数の勢い・立民は伸び悩み・維新は大幅増の公算…読売情勢調査(読売新聞 2022/07/03 23:00)

読売新聞社は1~3日の3日間、全国世論調査を実施し、第26回参院選(10日投開票)の中盤情勢を探った。自民、公明の与党は改選定数(124)の過半数(63)を上回る勢いだ。立憲民主党は伸び悩み、改選23議席の確保は微妙な情勢となっている。日本維新の会は改選6議席から大幅に増やしそうだ。

読売新聞7月1日-3日_各党派の予想獲得議席

選挙戦を左右する全国32の「1人区」(改選定数1)で、自民党は優位に戦いを進めている。保守地盤の強い栃木、群馬、富山、石川、山口など19選挙区で野党系候補をリード。複数区では、改選定数2の茨城、静岡、広島での議席獲得が有力となり、東京選挙区(改選定数6)では2議席獲得を視野に入れた。

公明党は、候補者を立てた7選挙区のうち、東京選挙区で議席を獲得する可能性が高い。残り6選挙区を含めて「全勝」を狙う。比例選は前回2019年参院選と同じ7議席獲得をうかがう。

立民は、複数区の千葉、東京で優位に立っているものの、埼玉や大阪、兵庫などは予断を許さない展開だ。比例選では、19年に獲得した8議席を下回る可能性がある。

昨年10月の衆院選で躍進した維新は、支持基盤の厚い大阪で2議席を獲得する勢い。比例選で立民の議席数を上回る可能性があり、選挙区選と合わせ、改選議席を倍増させる公算が大きくなっている。

共産党は東京、神奈川など都市部で接戦を繰り広げている。比例選は19年と同じ4議席に手が届きそうだ。

国民民主党は山形、大分で議席獲得を狙う。比例選は伸び悩んでおり、改選7議席の維持は難しい情勢だ。れいわ新選組は比例選での議席獲得を射程にとらえた。諸派では、参政党が比例選で議席を取る可能性がある。

与党と憲法改正に前向きな維新、国民などの勢力が、国会発議に必要な総定数の3分の2(166)を維持できるかどうかも注目される。維持するには82議席が必要だ。

今回の参院選は、改選定数124(選挙区選74、比例選50)と、神奈川選挙区の非改選の欠員1を補う「合併選挙」を合わせた125議席が争われる。選挙区選に367人、比例選に178人の計545人が立候補した。

調査は電話で実施し、6万809人から回答を得た。情勢には総支局の取材結果などを加味した。一定数の回答者が投票する候補者や政党を挙げておらず、情勢はなお流動的な要素がある。

<選挙区> 複数区、各地で激戦 1人区、自民優位

[スキャナー]複数区 各地で激戦…参院選中盤情勢(読売新聞 2022/07/04 05:00)

読売新聞社の参院選中盤情勢調査では、与党が手堅く選挙戦を進めている状況が明らかになった。改選定数2~6の「複数区」では多くの候補が当落線上で競う。各党党首は3日、複数区での遊説で支持の積み上げを図った。全国32の「1人区」(改選定数1)では自民党が半数以上の選挙区で先行している。

【複数区】 当落線上に多数…党首らテコ入れ

読売新聞7月1日-3日_複数区の情勢

岸田首相(自民党総裁)が、投開票日までの最後の日曜日に選んだ遊説先は、札幌市だった。

市内の大通公園で演説した首相は、「きょうはラストサンデー。全国有数の激戦区である北海道で、皆さんの力で勝利に導いていただきたい」と自民新人への支援を訴えた。

首相とほぼ同じ時間帯には、立憲民主党の泉代表も新人の応援で札幌市に入り、「きょう私が来たのは、激戦だからだ。もう一押し、あと二押しが必要だから来た」と力を込めた。

改選定数3の北海道では、自民現職が一歩リードする構図で、残りの「2枠」を巡って立民の現職と新人、自民新人ら計4人がデッドヒートを繰り広げる。

全国13の複数区で、自民は大半の選挙区で当選圏内を確保している。北海道をはじめ、2人を擁立した東京や神奈川、千葉で「2人当選」を狙い、確実に議席を積み上げる戦略を描く。情勢が伸び悩む立民にとっても、「2人当選のチャンスがある北海道は最重点区」(幹部)となる。

他の党首も、自党候補が当落線上で接戦を演じる選挙区を回った。

公明党の山口代表は、神奈川県相模原市の街頭で現職候補の応援に立ち、「選挙戦も後半に入り、いよいよ胸突き八丁の戦いだ」と支持者に呼びかけた。

改選定数4の神奈川では、非改選の欠員補充を加えた5人が当選する。自民の現職と元議員、日本維新の会の元議員が先行し、公明現職を含む4人が横一線で追う展開となっている。

公明は複数区に擁立した7人全員の当選を目指す。東京で優位に立つ以外はいずれも接戦で、今後も党幹部を積極的に投入してテコ入れを図る。

東京(改選定数6)も大混戦となっている。自民の現職と新人、立民現職、公明現職が頭一つ抜け出し、共産党現職や維新新人ら4人が競り合う。維新の松井代表は東京都内で「最後の1議席を争っている。なんとか取らせていただきたい」と声を張り上げた。

共産党の志位委員長は大阪市でマイクを握った。大阪(改選定数4)では、維新現職2人と自民現職が優勢で、公明現職や共産元議員らがせめぎ合う。志位氏は「どうか逆転勝利をお願いする。きょうで3回目の応援だが、最終盤にもう1回来る」と約束した。

国民民主党の玉木代表は、現職が出馬した愛知(改選定数4)に入った。愛知は自民現職が引き離し、立民現職や国民現職ら5人が団子状態で争う。玉木氏は「大変厳しい状況だ。皆さんの1票を託してほしい」と語った。

れいわ新選組の山本代表、社民党の福島党首、NHK党の立花党首も、東京都内を回った。

【1人区】 自民優位…12選挙区は伯仲

読売新聞7月1日-3日_1人区の情勢

参院選の勝敗を左右する全国32の1人区では、自民党の優位な戦いぶりが目立つ。保守地盤の厚い北関東や北陸、西日本など計19選挙区で野党系候補に先行する。このうち18選挙区が再選を目指す現職で、長崎では新人が抜け出した。

物価高騰などを受け、報道各社の世論調査で内閣支持率には陰りが見え始めているものの、党内は「大きなうねりにはなっておらず、影響は限定的だ」(幹部)との見方が大勢だ。

党執行部は、緩みを警戒している。1日には、茂木幹事長名で「一瞬の油断が命取りとなる。風向きも一瞬で変わる危険性がある」として、引き締めを求める文書を各陣営に送った。岸田首相(党総裁)は4日夜、党本部に幹部を集め、終盤戦に向けた戦略を練る。

野党は巻き返しに全力を挙げる。無所属を含む野党系候補が自民候補に先行するのは、立憲民主党の現職が2期目を狙う青森のみだ。16、19年の参院選では、野党は全ての1人区で候補者を一本化したが、今回は自民と野党系の事実上の一騎打ちとなった選挙区が11と大きく減ったことが影響している。

立民の泉代表は3日、札幌市で記者団に「立憲民主党に投票しようという機運になるよう最大限努力したい」と語った。

今後のカギを握るのが、自民党と野党系がしのぎを削る12選挙区だ。野党の地盤が比較的厚い地域が多く、7選挙区には野党系の現職がいる。福島と三重は、新人同士がつばぜり合いを演じている。

自民の遠藤利明選挙対策委員長は3日、長野県上田市で演説し、「何としても議席を与えていただきたい」と訴えた。立民の西村幹事長は地元の新潟市で街頭に立ち、「大接戦だ。助けてください」と声を張り上げた。

終盤戦では、与野党とも無党派層への働きかけを強めるとみられる。自民や立民などは、比例票の上積みを目指して大都市部での遊説を増やしつつ、競り合う1人区にも積極的に応援弁士を投入する見通しだ。

<比例代表> 自民が全世代から支持、維新は伸長狙う

比例選、自民が全世代から支持・維新は伸長狙う…読売情勢調査(読売新聞 2022/07/03 23:00)

読売新聞社の参院選中盤情勢調査では、自民党は比例選(改選定数50)で2018年参院選に続いて第1党を確保する勢いだ。日本維新の会は大幅な議席増をうかがい、立憲民主党を抜いて比例選の野党第1党が視野に入る。

読売新聞7月1日-3日_比例選、主な党派の予想獲得議席

自民は16年と19年の比例選で獲得した19議席には届かない可能性があるが、全世代で他党より支持を得ている。職業別でも全職業で他党を上回り、特に農林水産業では半数を固めた。

ただ、内閣を支持すると答えた人の5割強しか固められていない。自民支持層でも8割弱の支持にとどまり、他の主要政党がそれぞれの支持者を8割から9割強固めているのと比べると低い。無党派層からの支持も1割超と広がりに欠ける。

公明党は16、19年に獲得した7議席と同程度になりそうだ。支持層の9割強を固め、自民支持層の一部も取り込んでいる。

立民は19年の8議席に達するか微妙な情勢だ。内閣を支持しない層からの支持が2割程度で、政権批判票を集め切れていない。無党派層からの支持は1割強で維新と分け合っている。重視する政策で「年金など社会保障」を挙げた層の2割弱から支持を得た。

維新は19年に獲得した5議席から躍進し、2倍近くもうかがう。地盤の近畿では3割程度と自民を超える支持を集めている。内閣支持層と不支持層のそれぞれ1割超から支持を得ている。重視する政策で「外交や安全保障」「原発などエネルギー政策」を挙げた層の2割弱を取り込んだ。

共産党は19年の4議席と同程度になりそうだ。国民民主党は19年の3議席を維持できるかどうか微妙だ。れいわ新選組と諸派の参政党は複数議席を獲得する可能性がある。社民党は改選1議席を死守できるかどうかの戦い。NHK党は議席獲得を視野に入れる。