安倍氏vs林氏の緊張感 山口県の衆院選小選挙区1減の可能性(中國新聞 2021/12/12 09:53 (JST)12/12 10:28 (JST)updated)
山口県政界でライバル関係にある自民党の林芳正外相(衆院山口3区)と安倍晋三元首相(同4区)の周辺に緊張感が漂っている。県内の小選挙区が1減し、議席を巡って両氏の争奪戦となる可能性があるからだ。岸田派の林氏は衆院に転身して要職を任され、岸田文雄首相の後継候補の一人。安倍氏は党の最大派閥の長に就き、にらみを利かせる。
4日、林氏の姿は4区内の下関市にあった。林家の墓を参り、11月下旬に亡くなった元中国経済連合会副会長の叔父宅を弔問した。10月の衆院選で3区に転身。拠点は宇部市となったが、外相に就任後、初の「お国入り」に約300人が列をなして出迎えた。支援者は「安倍さんがよく思わない光景でしょう。下関は林が本家本元。安倍さんは東京育ちだから」と本音をこぼした。
▽下関の角福戦争
林氏と安倍氏は中選挙区時代の父親の代から権力闘争を繰り広げてきた。塩満久雄山口県議(下関市)は「下関の角福戦争と言われちょったよ」と説明する。林氏の父で元蔵相の故義郎氏は田中角栄元首相、安倍氏の父で元外相の故晋太郎氏は福田赳夫元首相のそれぞれ側近だったからだ。
小選挙区制の導入で故義郎氏は比例中国ブロックに回り、安倍氏に4区を譲った。参院議員となった林氏と安倍氏は地盤が重なる下関市で表向きは手を握る一方、市長選は両氏に近い候補者が激突してきた。過去5回は2勝2敗。安倍氏の元秘書が再選した2021年3月は林氏側が擁立を見送り、代理戦にならなかった。林氏を支援する地方議員は「衆院への転身に横やりが入っては困るので立てなかった。次はどうなるか」と先行きをうかがう。