高市早苗著『30歳のバースディ その朝、おんなの何かが変わる』

高市早苗著『30歳のバースディ その朝、おんなの何かが変わる』 政治・経済

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一冊の本『30歳のバースディ その朝、おんなの何かが変わる』

総裁選出馬の高市早苗氏 過去に著書で明かしていた生々しい恋愛体験(女性セブン 2021.09.01 16:00)より抜粋

“安倍ガールズ”の1人、高市早苗前総務相(60才)が、安倍晋三前首相(66才)に自民党総裁選(9月29日投開票)の再出馬を要請したが断られ、「だったら私が」と出馬を決断した。

「突然の総裁選出馬表明に永田町は騒然としていました」とは、自民党のある中堅代議士。ただ、水面下で準備は着々と進んでいたようで、8月10日発売の『文藝春秋』で総裁選出馬を表明した後、ほかの月刊誌やテレビ局のインタビューに次々と答え、立候補の意向を発信し続けている。果たして、日本初の女性首相は誕生するのか。・・

ただ、一国の総理となるとやる気だけでは務まらない。過去に法令違反をしていないか、問題となる失言をしていないかなど、“身体検査”をパスしなければならないからだ。

“検査結果”の情報が飛び交う永田町で、高市氏が過去に出した一冊の本が話題になっているという。タイトルは『30歳のバースディ その朝、おんなの何かが変わる』(大和出版)。政界進出を目指した1992年の参院選直前に出版している(選挙は落選)。序章で《この本には恋の話をいっぱい書くことにした》と綴られていることからわかるように、かなり生々しい性愛の実態が、赤裸々に語られているのだ。

  *  *  *

次に、『30歳のバースディ その朝、おんなの何かが変わる』から一部を紹介する。

地中海の見える部屋で酒とバラの日々

地中海の見える部屋で酒とバラの日々

いままでの恋愛の中でもとびきり甘い思い出は、地中海に面したヴァカンスの街、カンヌで過ごしためくるめく情熱の日々……。

お酒は日本酒、それもぬる燗をどろーどろーっとやるのが昔から大好きな私だけれど、実はある人の影響である時期にワインの魅力にどっぷり浸るようになった。

以前、ある雑誌のインタビューを受けて、「高市さんのお酒の思い出話を聞かせてください」と言われたときに、私の頭の中によみがえってきたのはワイン通の恋人と、極上の赤ワインと、地中海の海の青さ。

「お酒の思い出といえば、地中海で、海の見えるホテルの部屋で、飲みィのやりィのやりまくったときですね」

これがウケたウケた。そのセリフは太字の見出しになり、しばらくは雑誌を読んだ知人からの電話が鳴り続けた。

確かあれは、仕事でパリに行った帰り。予定よりも早く終わったから、レンタカーを借りて彼と二人で地中海まで走らせようということになった。

ただまっすぐに走るだけではつまらないから、途中にあった三ッ星レストランには必ず立ち寄って、ポール・ボキューズの店など全部で六軒回った。名前は忘れたけれど、古い城壁の町にある三ッ星レストランが最高だった。

最後に二人がたどり着いたのは、カンヌ。そして海辺のホテルの部屋をとった。

すでに秋風が吹くころで、海辺から若者のにぎわいは消えていた。リタイアした老夫婦が仲良く手をつないでのんびりと散歩する風景が、何となく物悲しくさびれた風情だった。

部屋から見えたのは、恐いっぱいにドーンと広がる青い海。何の特徴もないただの海。なあんだ、湘南の松下政経塾の寮の窓から見えたのと同じじゃないか。

秋はその滞在中、「ここはカンヌ。私は地中海にいるの」とつぶやき続け、雰囲気を盛り上げようとした。

それでウフフフフ……。朝、寝起きに熱いシャワーを浴びながら、彼が選んでくれた極上の赤ワインをいきなり飲み始める。バスローブのまま。

そして飲みィの…で、ベッドの上から海が見えていて、「ここは地中海。湘南じゃないの。地中海」ってつぶやきながら、それでまた飲みィの……。

ぐでんぐでんになるまでそういうことをやり続けて、飽きてきたらボーッと二人しでテレビを見て、おなかがすいたらルームサービスをとって。

夕方になるともう一度シャワーを浴びて、二人してギンギンにめかしこんでレストランへ。ワイン通の彼がソムリエとああだこうだやりあってワインを選んでくれる。

「昨日はハトを食べたから、今日は鹿なんかもいいね。ワインはボルドーの……」なんてこだわってこだわって、

最高のフランス料理をたんのうして、そのままホテルに帰った日もあったけれど、ときにはドライブに行ったり、映画館に寄ったりした日もあった。

本当にぜいたくだった。酒とバラの日々。

映画『ナイン・ハーフ』でミッキー・ロークとキム・ベイシンガーがやったこともマネしてみたかった。

私や彼のマンションの部屋じゃ似合わないけれど、カンヌなら似合う。

でも、「あの中で何をやったっけ」っていくら考えてもお互いに記憶力が悪くて、
全然出てこない。

「もしかして、生たまごを口移しで食べたりしなかった?」
「あれは伊丹十三の『タンポポ』よ」

そんな調子で『ナイン・ハーフ』ごっこは未遂に終わったのだけれど。

フランスで勉強したことがあって、センスもバツグンな彼だから、ああいうバカなイベントにひと通り付き合ってくれたのだろう。

だいたい、私が何を頭の中でイメージしているかをわかってくれて、それにシンパシィを感じてくれなくちゃ、実行できない。

私の頭の中にはそのとき、片岡義男の小説の世界があった。ルームサービスを食べるときも、ベッドで裸の上にブランケットを巻いたまま。

うっかりした男だったら、「お前、そんな行儀悪いことやめろよ。寝巻着ろよ」なんでいいかねないけど、そうしたら大ゲンカだ。

それからもちろん、彼がすばらしいテクニックを持っていることは言うまでもない。トコトン、快楽の境地におぼれられる相手じゃないと、話にならないわけ。

いまでも思い出すと……ウフフフになってしまう。私の酒とバラの日々。

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