次期衆院選「政権交代へ最終戦」 立民・小沢一郎衆院議員インタビュー…「55年体制」崩壊30年

「野党候補の一本化で政権交代を実現する有志の会」設立会見で、記者の質問に答える小沢一郎衆院議員 政治・経済

次期衆院選「政権交代へ最終戦」 立民・小沢一郎衆院議員インタビュー―「55年体制」崩壊30年(JIJI.COM 2023年07月16日07時01分)

自民党の一党支配が続いた「55年体制」の崩壊から8月で30年を迎える。近年の野党の弱体化で政権交代の可能性が遠のいているとの見方が出る中、2度の政権交代で立役者となった立憲民主党の小沢一郎衆院議員に日本政治の現状について聞いた。

―2度の非自民政権を樹立した思いは。

「政権交代可能な議会制民主主義をつくらなければいけない」というのが僕の最初の選挙の時からの公約だ。日本の社会には小選挙区制度の導入が必要だ。日本は「和をもって貴しとなす」、悪く言えば「なあなあ」の社会。もっと自立し、自分の主張をきちんと言えるようにならないと駄目だ。小選挙区制は旗幟(きし)鮮明にしなければならず、日本人の自立を促せるのが一つの大きな理由だ。もう一つの理由は、小選挙区制は割合わずかな票で政権交代が可能になる。政権交代があって初めて民主主義だ。日本はまだ完全な民主主義国家ではない。

―中選挙区制の復活論が出ている。

愚論だ。中選挙区制にすれば野党は過半数の候補者を立てられない。政権交代が起きない。

―二大政党制は必要か。

二大政党制は象徴的にそう言うだけで、政党が二つとは限らない。少なくとも基本的な哲学の違う二つのグループが存在することが大事だ。連立でもいい。自民党は内向きで日本人的な哲学をバックボーンとする政党。一方でもっと外向きの、オープンでリベラルな政党も必要だ。それが時に応じて政権を担当することでちょうどいいところに行く。

―現状は政権交代可能な議会制民主主義に向かっているように見えない。

少しずつだが向かっている。また、そう向けるから心配ない。長期政権は必ず腐敗する。社会のあらゆる部分に政権党を中心とした利権構造ができる。変えるためには、権力をぱっと代えることだ。利権構造ができたらまた政権を代えればいい。そこに政権交代の良さがある。

―著書にある「もう一度政権交代しないと政治家人生の意味はない」との気持ちは変わらないか。

変わらない。どこまでもあなた(政権交代可能な議会制民主主義)を、だ。(9カ月で終わった)細川政権が2~3年続いていたら、自民党は完全に崩壊した。今度は多少長期政権にする。どんなに短くても4年はやる。そうすると自民党はバラバラになる。そこから新しい自民党をつくればいい。

―3度目の政権交代はいつを目指すか。

次の総選挙だ。年だから、そんなに長く待っていられない。今まで表に出ないようにみんなに任せてきたが、今度は最終戦のつもりでやる。

―今秋の衆院解散の可能性も取り沙汰される。

岸田政権ができた時から僕は解散は2025年参院選とダブル選挙だろうと言ってきた。岸田文雄首相にとって来年の総裁選前に選挙をするメリットは全くない。首相は黙っていれば来年の総裁選で再選できる。今の自民党に岸田氏に代わる人材はいない。

―6月に「野党候補の一本化で政権交代を実現する有志の会」を立ち上げた。

立憲民主党の泉健太代表は、日本維新の会とも共産党とも候補者調整を行わないと言った。しかし、ほとんどの人は内々不安だ。陰でぶつくさ言っているだけでは駄目なので、党内外に分かるように執行部などを除く衆院議員約80人に呼び掛けたら、7割以上の賛同者が集まった。その結果を見て判断するのは執行部だ。みんなの気持ちをどうくみ取って行動すればいいか、判断を促した。

―協力相手と想定するのは維新、国民民主、共産などの各党か。

今はどこも立民を相手にしない。まず信用されるような政党の体制をつくることが先だ。それから初めて話し合いが始まる。自民党が良いと思っている国民は少ない。有権者は政策がどうとか細かいことは言わない。腐敗した自民党長期政権を代えることを求めているだけだ。

―現在の立民の執行部をどう見るか。

自らの主張を実現するには政権を取らなければいけない。政権を取るには選挙に勝たなければならない。国民の支持を得て選挙に勝てるようなリーダーが求められている。

―3度目の政権交代はできるか。

必勝の信念だ。なせば成る。