岸田首相「G7広島サミット」公式ロゴを政治利用 地元資金パーティーでロゴ入り饅頭配る(日刊ゲンダイ 公開日:2023/03/24 14:20 更新日:2023/03/24 14:20)
「今後は慎重に対応する」──。23日の参院予算委員会で、5月に開かれるG7広島サミットの公式ロゴマークの使用をめぐり、野党議員から追及された岸田首相。一応は反省するそぶりを見せたが、サミットの政治利用が甚だしい。
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広島サミットのロゴマークをめぐっては、著作権を持つ外務省が使用希望者に申請と承認を求め、〈使用承認条件〉として8つの基準を定めている。うちひとつが、〈特定の政治、思想、宗教等の活動を目的とした使用はしないこと〉だ。
この条件から思いっきり逸脱したのが、何を隠そう岸田首相である。岸田後援会が今月19日に広島市内で開いた政治資金パーティー「岸田文雄後援会新春互礼会」で、サミットのロゴ入り饅頭と、ロゴ入りのボールペンが配られていたのだ。予算委で立憲民主党の田名部匡代参院議員が明かした。
問題の饅頭は6個入りで、3個にサミットのロゴ、残る3個に岸田首相の笑顔があしらわれている。ボールペンも軸にロゴと「岸田文雄後援会」の文字が入った“特別仕様”だ。
新春互礼会の案内状によれば、会費は1人1万円。2021年に開かれた同会の収入は約1078万円だったが、今年はどうだったのか。岸田事務所に収入を尋ねたが、期限までに回答はなかった。
予算委で田名部氏は、政治資金パーティーにおけるロゴ使用は「特定の政治活動を目的とした使用」にあたると強調。「不適切だ」と訴え、使用基準の見直しを訴えた。
外務省は“機運醸成”の一点張り
一応、問題の「サミット饅頭」と「サミットペン」について、外務省はロゴ使用の申請を受け、承認済み。さすがに「無断使用」ではなさそうだが、それなら、なぜ外務省はルールを無視するような使用を許可したのか。大臣官房審議官は予算委で「サミットの機運を高めることが不可欠」として、こう答弁した。
「国会議員の活動についても、その目的がサミットの広報PRを通じた開催機運の醸成に認められるロゴマークの使用申請に関しては、基準に合致するものとして承認している」
つまり、本来、禁止されているのに、申請者が政治活動でのロゴ使用を前提としていても、外務省が「サミット開催の機運醸成に資する」と判断すれば、使えちゃうというワケ。これでは、わざわざ〈特定の政治、思想、宗教等の活動を目的とした使用はしない〉と明記した意味はないに等しい。
ルール無用の機運醸成の裏には、現場の苦悩も透ける。サミット関係者がこう明かす。
「準備する側としては、開催地である広島県、ひいては日本国民に『サミットなんて面倒』と思われないように腐心しています。ロゴ使用の基準を厳密に運用したら、『盛り下げ』につながりかねません」
だからといって、条件を無視してサミットのロゴを政治利用してよい言い訳にはならない。自分の後援会が主催するパーティーに参加した人にだけ「サミット饅頭」を配るというのは、ほとんど安倍元首相の「桜を見る会」と同じ発想である。一国のトップである岸田首相が、率先してルールを守らなくてどうする。