洋上風力導入が日本で本格発進 雇用の創出・地元企業の活用・漁業との共存共栄を期待 千葉県と秋田県

洋上風力導入が日本で本格発進 科学・技術

【千葉県】銚子沖の風力発電、雇用創出など期待 第1回市民説明会

銚子沖の風力発電、雇用創出など期待 第1回市民説明会(朝日新聞 2022年4月30日 11時00分)

千葉県銚子市は27日夜、同市沖に建設される洋上風力発電の事業について、第1回の市民説明会を開いた。越川信一市長は「オール銚子で、この事業を地域の活性化につなげたい」とあいさつ。市や、事業者「千葉銚子オフショアウィンド」の代表企業三菱商事エナジーソリューションズの担当者が約1時間半、事業について説明し、市民に理解を呼びかけた。

事業は、市の南側1.8~10キロ沖合の海域内に風車31基を建設し、2028年9月から20年間以上操業するというもの。今後、環境や漁業への影響調査などを経て、25年から送電線などの地上工事に、27年から洋上工事に着工する計画だ。

銚子市沖は遠浅で、年間を通じて強風が吹く適地。各風車は、海底に打ち込んだ大口径の杭の上に設ける「着床式」で建設する。海面からの高さは約250メートル。

風車を建設できる海域の広さは市の面積の半分近い約4千ヘクタールで、「31基の発電量は一般家庭約25万世帯分で非常に大きい」という。

市は、この再生可能エネルギーの「地産地消」推進、二酸化炭素排出を実質ゼロにする「ゼロカーボンシティ」の実現などを目標に掲げた。

事業者側は、事業がもたらす地域活性化の具体例として、関連産業や雇用の創出▽建設、操業、保守での地元企業の活用▽「漁業共生センター」設立などによる漁業との共存共栄▽操業・保守の拠点としての名洗港の整備などを挙げた。銚子市漁協、銚子商工会議所と市は、事業のメンテナンスなどの受け皿となる会社「銚子協同事業オフショアウインドサービス」(通称・C―COWS〈シーコース〉)を設立している。

風車の配置については、主要な展望場所からの富士山や、国の名勝・天然記念物の「屛風ケ浦」の景観が風車と重ならず、地上の騒音が規定値以下となるよう配慮するとも説明した。

説明を聞いた住民らからは、銚子以外の漁協にも丁寧な説明を求める声や、収益の見通し、景観などについての質問が出た。

銚子市沖の洋上風力発電事業について開かれた第1回市民説明会=2022年4月27日

【秋田県】洋上風力で3万7000人雇用創出、経済効果は3820億円 県試算

洋上風力で3万7000人雇用創出 秋田県試算 経済効果は3820億円(河北新報 2022年3月9日 6:00)

秋田県は、県沖で進む洋上風力発電事業で、発電施設の建設、運転・メンテナンス、施設撤去で新たに3万7597人の雇用が生まれ、県内経済効果は約3820億円に上るとの試算を公表した。ただ、施設の部品製造は多くが海外に頼っているのが現状で、県はさらなる波及効果の増大を目指し、県内企業によるサプライチェーン(部品の調達・供給網)構築を目指す。

試算は、県が改訂を進める第2期県新エネルギー産業戦略(2016~25年度)に盛り込まれた。

「由利本荘市沖」が最多

昨年12月に事業者が三菱商事(東京)グループを中心とする共同事業体に決まった国の整備促進区域「由利本荘市沖」が雇用創出数、経済効果とも最多。1万5383人の雇用と1560億円の経済効果を見込んだ。

同様に三菱商事グループが事業を落札した「能代市・三種町・男鹿市沖」が8978人、912億円で続いた。

昨年9月に促進区域に指定され、現在事業者を公募中の「八峰町・能代市沖」が6669人、678億円、促進区域への指定を目指す有望区域の「男鹿市・潟上市・秋田市沖」は3922人、400億円と見積もった。

22年の運転開始を目指し、建設中の秋田港と能代港での雇用、経済効果は合わせて2645人、270億円とみている。

「部品製造の参入後押し」

業務別での雇用創出、経済効果は建設工事が1万6127人、1735億円、運転・メンテナンス1万7541人、1730億円、施設撤去3929人、355億円となった。

試算は全て20年間の運転を想定。風車の部品製造に伴う雇用、経済効果は含まれておらず、県エネルギー・資源振興課は「県内企業が部品製造へ参入できるよう技術力の向上、人材育成を支援したい」と話した。

洋上風力で3万7000人雇用創出 秋田県試算