国連総会「ロシア非難決議」を採択 賛成141カ国、反対5カ国のみ 加盟193カ国の投票内訳

ロシアを非難し、ウクライナからの無条件での即時撤退を求める決議案を賛成多数で採択した国連総会の緊急特別会合 国際

「ロシア即時撤退を」国連決議 賛成141カ国、反対5カ国

「ロシア撤退を」国連決議採択 賛成141カ国、反対5カ国(日本経済新聞 2022年3月3日 2:07 2022年3月3日 8:09更新)

国連総会は2日の緊急特別会合で、ロシアによるウクライナ侵攻に「最も強い言葉で遺憾の意を表す」とする決議を米国や日本など141カ国の賛成多数で採択した。ロシアに対し「軍の即時かつ無条件の撤退」を求めたうえで、ウクライナ東部の親ロシア派支配地域の独立承認の撤回も要請した。ロシアやベラルーシを含む5カ国は反対し、中国やインドなど35カ国は棄権した。

賛成票を投じた国数は、14年にロシアによるクリミア半島への侵攻をめぐり、国連総会で「ロシアによる併合は無効」とする決議が採択された際の100カ国から大幅に増えた。25日の安全保障理事会の決議案では棄権したアラブ首長国連邦(UAE)も、総会決議では賛成に回った。UAEは3月の安保理議長国を務めている。

反対はロシアのほか、ベラルーシ、シリア、北朝鮮、エリトリアの計5カ国にとどまり、当時の11カ国から減った。棄権も58カ国から35カ国に減った。侵攻が長期化し、ロシアのミサイル攻撃による民間人の被害拡大や核態勢の強化指示などに非難の声が高まるなか、国際社会の対ロ包囲網が強まっていることを示した。

国連のグテレス事務総長は決議採択後に記者団に対し「国連総会のメッセージは明確だ。ウクライナに対する敵対行為を停止せよ。銃声を静めよ。対話と外交の扉を開け」と訴えた。ウクライナのキスリツァ大使は「国連を信じる理由がウクライナの人々にできた。決議の結果はロシアに対する強いメッセージだ」と強調した。

米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は「日に日にウクライナの状況が深刻となるなかで、機運を維持しなければならない」と強調し、「ロシアは孤立し、独りぼっちだ」と述べた。総会決議に法的拘束力はないが、国際社会としての総意を示す。

決議は「ロシアが核戦力の準備態勢を強化する決定を非難する」とも明記した。緊急特別会合は2月25日の安全保障理事会でロシアが拒否権を発動し、決議案が否決されたことを受け、安保理の要請で28日から招集された。安保理の要請による緊急特別会合の招集は1982年以来。

一方、ロシアのネベンジャ大使は採決前の2度目の演説で「軍事行動の停止にはつながらず、反対に(ウクライナの)過激派の立場を強めることになる」などと主張し、決議案を支持しないよう働きかけた。

決議は「ベラルーシがウクライナへの不法な武力行使に関与していることを慨嘆し、国際的義務を順守するよう要求する」と明記した。ベラルーシのルイバコフ大使は2日の採決直前の演説で「確かに関与はしているが、ベラルーシはロシアとウクライナの直接対話を確実にするために努力を惜しんでいない」と反論した。

中国は安保理決議案の採決時と同様、棄権を選択した。張軍国連大使は採択後の演説で「決議案は現在の危機と歴史の複雑さを反映しておらず、政治的解決の推進や外交努力の強化の緊急性も強調されていない」と棄権の理由を説明した。「関係者が対話と協議を通じてウクライナ問題の包括的な解決策を模索すべきだ」と語った上で「中国は引き続き建設的な役割を果たす用意がある」との考えを明らかにした。

ロシアとの外交・経済関係に配慮する一方で、米欧日などによる制裁強化でロシアの孤立が深まるなか、中国も発言の軌道修正を迫られている。28日の演説では「状況はわれわれが望まないところまで発展している」と危機感をにじませた。「一国の安全保障が他国の安全保障を犠牲に成り立ってはならない」とも強調した。

加盟193カ国の投票の内訳

ロシア軍撤退を求める国連決議。加盟193カ国の投票の内訳は?【ウクライナ侵攻】(HUFFPOST 2022年03月03日 10時32分 JST)より抜粋

反対(5カ国)

ロシア、ベラルーシ、シリア、北朝鮮、エリトリア

棄権(35カ国)

アルジェリア、アンゴラ、アルメニア、バングラデシュ、ボリビア、ブルンジ、中央アフリカ共和国、中国、コンゴ、キューバ、エルサルバドル、赤道ギニア、インド、イラン、イラク、カザフスタン、キルギス、ラオス、マダガスカル、マリ、モンゴル、モザンビーク、ナミビア、ニカラグア、パキスタン、セネガル、南アフリカ、南スーダン、スリランカ、スーダン、タジキスタン、ウガンダ、タンザニア、ベトナム、ジンバブエ

無投票(12カ国)

アゼルバイジャン、ブルキナファソ、カメルーン、エスワティニ、エチオピア、ギニア、ギニアビサウ、モロッコ、トーゴ、トルクメニスタン、ウズベキスタン、ベネズエラ

賛成(141カ国)

アフガニスタン、アルバニア、アンドラ、アンティグア・バーブーダ、アルゼンチン、豪州、オーストリア、バハマ、バルバドス、ベルギー、ベリーズ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ボツワナ、ブルガリア、カンボジア、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、クロアチア、キプロス、チェコ、コンゴ民主共和国、デンマーク、ドミニカ共和国、エクアドル、エストニア、フィジー、フィンランド、フランス、ガンビア、ジョージア、ドイツ、ガーナ、ギリシャ、グレナダ、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ハンガリー、アイスランド、インドネシア、アイルランド、イスラエル、イタリア、ジャマイカ、日本、キリバス、クウェート、ラトビア、リベリア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、マラウイ、マルタ、マーシャル諸島、ミクロネシア、モナコ、モンテネグロ、ミャンマー、オランダ、ニュージーランド、ニジェール、北マケドニア、ノルウェー、パラオ、パナマ、パプアニューギニア、パラグアイ、ペルー、ポーランド、ポルトガル、カタール、韓国、モルドバ、ルーマニア、セントクリストファー・ネビス、サモア、サンマリノ、シンガポール、スロバキア、スロベニア、スペイン、スリナム、スウェーデン、スイス、東ティモール、トンガ、トリニダード・トバゴ、トルコ、ツバル、ウクライナ、英国、米国、ウルグアイ、バーレーン、ベナン、ブータン、ブラジル、ブルネイ、カーボ・ベルデ、チャド、コモロ諸島、コートジボワール、ジブチ、ドミニカ、エジプト、ガボン、ホンジュラス、ヨルダン、ケニア、レバノン、レソト、リビア、マレーシア、モルディブ、モーリタニア、モーリシャス、メキシコ、ナウル、ネパール、ナイジェリア、オマーン、フィリピン、ルワンダ、サンタルチア、セントビンセント・グレナディーン、サントメ・プリンシペ、サウジアラビア、セルビア、セーシェル、シエラレオネ、ソロモン諸島、ソマリア、タイ、チュニジア、アラブ首長国連邦(UAE)、バヌアツ、イエメン、ザンビア