プーチン大統領にとって核使用は「既定路線」…「核魚雷で500mの津波」「黒海で核実験か」欧米メディアも警戒

プーチン大統領にとって核兵器の使用は既定路線 国際

「核魚雷で500mの津波」「黒海で核実験か」欧米メディアも警戒…プーチン大統領にとって核使用は「既定路線」【中村逸郎氏の独自解説】(毎日放送 2022年10月8日(土) 16:52)

“プーチン大統領研究”の第一人者で筑波大学名誉教授の中村逸郎氏は「プーチンが核兵器を使用するのは既定路線」と話します。欧米のメディアも警戒度を上げていて、500mの津波を引き起こすとされる核魚雷の使用や、国境周辺(黒海)で核実験が計画されているといった報道も出始めています。

一方でロシア国内では不穏な動きが。150万着の軍服が消えたり、司令官が次々解任されたりと、軍規の乱れもみられるということです。

そして中村逸郎氏は今後の動きとして「プーチン大統領が次女や農相を後継者に指名」や「チェチェン共和国・カディロフ首長にその座を奪われる」といった独自の予測を話してくれました。目次

『核魚雷』搭載可能な「ロシアの原子力潜水艦」500mの津波起こす

ロシアの核使用について

ーーロシアの核使用について欧米メディアでは、核魚雷搭載可能なロシアの原子力潜水艦が北極海に移動、ロシアがウクライナ国境周辺で核実験を計画している、こういった報道が実際にあるわけでしょうか?

「そうですね。実は怖いのは、核魚雷を搭載した潜水艦が動いてて、実はこれ『ポセイドン』という魚雷なんですが、もしこれを発射した場合どうなるかというと、最大500mの『津波』を起こすんですね。津波だから非常に怖いことが起こります。しかもロシアがウクライナ国境周辺、考えられるのは黒海でやるんじゃないかと。

核実験と出ていますけども、果たして実験なのか実践なのか、そこは非常にわからないといういうことで非常に緊張が高まってるのは事実です。そして、原子力潜水艦が何機もあって、私達が怖いのは、この潜水艦は迎撃できないんですよ。ですから防ぎようがない。

アメリカが非常に怖がっているのは、今ロシアとウクライナとで戦っていますけど、北極海から大西洋に抜けていって、大西洋で発射した時に、アメリカへ最大500mの津波が行くことも警戒されてんですよ。そうすると、アメリカが水没してしまうんじゃないかと、最悪のシナリオを欧米のメディア、特にイタリアで積極的に危険性を流しているんですね」

核兵器使用でNATOが反撃か…モスクワ在住の日本人にも動揺広がる

ーープーチン大統領にとって、核兵器の使用は既定路線だと?

「ウクライナのゼレンスキー大統領がNATOに対して『もう今まさにロシアが核を打とうとしている』と言っていると報じられていました。

一方でモスクワの人たちははどう思ってるいるのかというと、モスクワでジャーナリストをやっている私の学生に聞くと、モスクワにいる日本人たちも、実はロシアが打ったときに『NATOからの反撃があるかもしれない』『その時にモスクワが狙われるかもしれない』ということで、すぐに国外脱出できるよう飛行機のチケットを毎日毎日、予約を繰り返してるという状況です。モスクワにいる日本人の中にも動揺が広がってるというふうに私に訴えていました」

プーチン大統領が進める核使用への地ならし

ーーロシアの核使用は駆け引きなんじゃないかという意見もありますが?

「プーチン大統領が進める核使用への地ならしなんじゃないかということですね。『核使用を求める』チェチェン共和国カディロフ首長を軍のナンバー3に登用するということですね。

カディロフ首長は今回、ロシア軍の軍事侵攻は失敗だったと思うと明言しています。だから僕らには、戦術核を使うべきだということを盛んに言ってるんですね。その人の地位が上がったということで、実はロシア世論の中で核使用は世論作りの方向にこういう人たちの発言が繰り返されて、もちろんカディロフさんだけじゃなく、プーチン大統領の周りを囲っている有力な政治家たちもどんどんそういう発言をしてきてるわけなんですね」

ーーザポリージャ原発を巡る攻防が激化しています。ロシアが一方的に「管理下」に置く、そしてウクライナが奪還を試みれば、ロシア本国への攻撃と同一視し、そして原発への核兵器使用の可能性もあるということです。

「これが本当に今ニュースになっているんです。ウクライナは原発を取られてるわけですが、ウクライナ軍は450名の最強の兵士たちを派遣するようにしたという報道が出ているんですね。

それに対してプーチン大統領はこの原発を国有化したと言ってるんですね。ですから、そこに対するウクライナの奪還はロシアの国家主権かの話ではなく、国有化したとこですから、ロシア国家そのものをウクライナが狙い抗議してきたとロシア側が捉える。それに対して戦術核でもってこの原発を仕返しとして打つかもしれない」

軍服150万着が突如消える…派遣できないためのクーデターか

ロシア軍の現場ではクーデターの予兆?

ーーロシア軍の現場ではクーデターの予兆があるということですがどういうことでしょうか?

「軍服が軍の倉庫から消えたという話が出てきているんですね。私の想像ですが、1、2人の兵士でこの150万着をどこかに隠すということはまず考えられないんですね。そうすると今ロシアの軍の中で反戦の組織・グループが今できつつあるんですね。

さすがにプーチン政権やってることはまずいということで、例えば軍人たちが今回の侵攻でロシアが勝てないというメッセージをどんどん出している状況ですね。プーチン大統領は動員令をかけたんですけども、それに対する志願兵が集まったとしても、軍服を隠すことで、実質は動けないようにして派遣できないようにする動きがあるんじゃないかと」

プーチン大統領の次女を女帝に…チェチェン・カディロフ氏プーチン氏下ろし政権の座に?

プーチン大統領が突如姿を消す?

ーー今後のロシアですが、中村教授によりますと、独自予測『プーチン大統領が突如、姿を消す」とどういうことでしょうか?

「プーチン大統領は自分の体制を後継者に譲るとすれば、まさにプーチンの恩寵王朝を継ぐってことで娘のカテリーナさんを女帝かパトルシェフ農相。この2人で、動かしていくことをプーチン大統領は考えて、姿を消す、これがプーチン政権が今描いている次の後継者の姿なんですけど、果たしてうまくいくかどうか全く予断を許さないという状況なんですね、

二つ目、カディロフ首長にその座を奪われる。実はカディロフさんは今ロシアの中で最も力を持ってる。なぜかというと、やはり彼は2万人の親衛隊を持っていて、いら立ってるんですね。

つまり今回の軍事作戦がうまくいってない、そしてこれだとロシアが駄目になってしまうということで、いらだったカディロフさんがこの息子に自分の親衛隊と一緒に入ってって、プーチン政権も引きずり下ろして自分が政権の座に就く、大統領代行になるんじゃないかというシナリオが今ロシアの中でも言われているんですね。

カディロフさんはイスラム教徒なんですね。ですから、もう10年前から言われてるんですけども、このロシアにイスラム政権が誕生するんじゃないかということが言われてた。私はもう少し具体的にイメージがなかったんですけども、このカディロフさんの動きを見てると”ストーリーが見えてきたなということです」

ーーチェンチェン共和国ってかなり小さいじゃないですか。”そこまで力を持ってるように思えないんですけども?

「イスラム教徒って人口の15%いるんですよ。そして結束力が非常に強い、そしてバックにイランがいる。最近はサウジアラビアってことで非常に外交的にもカディロフさんの力は非常に強くなってきている。

ロシアでプーチン大統領がロシアと言えば言うほど、こういったイスラム教徒たちが反発を強まってきて、その反発の力でもってカディロフさんは政権を奪い取るという流れというのも考えられているわけなんです」

(2022年10月7日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)