“勝ち馬”探し「麻生」の腹のなか 「増税王子」で急ブレーキ「進次郎」に急伸「高市」のナゼ 迷走「自民総裁選」の舞台裏

「小泉進次郎」「高市早苗」「石破茂」の3名による“頂上決戦”になる見通し 政治・経済

“勝ち馬”探し「麻生」の腹のなか 「増税王子」で急ブレーキ「進次郎」に急伸「高市」のナゼ 迷走「自民総裁選」の舞台裏(デイリー新潮 2024年09月20日)

9月27日に投開票を迎える自民党総裁選は実質、「小泉進次郎」「高市早苗」「石破茂」の3名による“頂上決戦”になる見通しだ。なかでも終盤戦に突入するや、“大本命”進次郎陣営に「焦り」の色が見え始めたかと思えば、“猛追”高市・石破陣営にも「難題」が浮上。総裁選の知られざる舞台裏を覗いた。

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高市氏の勢いは際立っていて、

共同通信が自民支持層を対象に実施した情勢調査(15~16日)で、「新総裁にふさわしい」候補の1位に選ばれた高市氏だが、その背景を全国紙政治部記者がこう話す。

「同調査では高市氏(27.7%)に続き、2位石破氏(23.7%)、3位進次郎氏(19.1%)となっていますが、党員資格がある支持層に限れば、1位進次郎氏(27.9%)、2位高市氏(21.4%)、3位石破氏(19.7%)と順位は入れ替わります。それでも高市氏の勢いは際立っていて、その理由として、各地での講演会や電話作戦、そして政策パンフレット(リーフレット)の配布が効果を上げていると党内では分析されています」

一悶着のあった政策パンフレットについては、すでに党員に向け「30万部強」が郵送済み。選挙管理委員会が「禁止」を決める前に発送されたものだったが、自民執行部は口頭注意処分に加え、高市氏に対する新たな対応を検討中だ。

「高市氏の勢いを止めたい勢力の思惑が透けて見えますが、いまさら追加で処分を科したところで、大勢に影響を与えることはないとの見方が大半。実は高市氏に関して特筆すべきは、県連会長として臨んだ昨年の地元・奈良県知事選で“保守分裂”を招き、維新候補に敗れたゴタゴタから、地元の支援は決して一枚岩ではないものの、ここまで党員票を伸ばしている点。成長重視の経済政策を評価する声が多いとされ、“保守派”と呼ばれる党員以外も高市支持へと流れている構図が見て取れます」(同)

高市の“隠し玉”

読売新聞による党員・党友調査(14~15日)でトップに立つのは石破氏(26%)だが、次点の高市氏(25%)との差はわずか。票数に直すと「10票前後の僅差に過ぎない」(同)という。

「高市・石破の両氏とも国会議員票を今後、どこまで上積みできるかが勝敗を分けるカギになる。現在、2人の議員票はともに30人台で、すでに50人以上からの支持を固めている進次郎氏との差は依然大きい。しかし党員票で他を圧倒する2人の勢いが強まれば、“勝ち馬”に乗ろうとする議員を取り込む余地を残しています」(同)

さらに高市氏には“ウルトラC”もあるという。自民党関係者の話。

「高市は無派閥ながら、推薦人(20人)以外で、すでに10人以上からの支持を集めているが、その背景について“麻生がウラで差配している”との声が消えない。実際、もし決選投票に高市が残れば、『麻生派の票は全部、高市に入る』と党内では囁かれていて、高市の国会議員票には“まだ伸びシロがある”との指摘は少なくない。つまり石破との違いは、勝機が見えてくれば、高市には強力な援軍が現れる可能性があるということだ」

「進次郎フィーバー」の終焉

一方で、議員票でトップに立つ進次郎氏について、

政策として打ち出した『解雇規制緩和』や“年金は80歳からもらってもいい”といった発言により、〈増税王子〉などと揶揄されていることの逆風が思った以上に強いそうです。『庶民よりも大企業を見ている“古い自民党”のまんま』といった批判的な声は消えず、このままだと最大のストロングポイントである『刷新感が色褪せかねない』と陣営関係者は焦りの色を深めている。進次郎氏が最初に掲げた選択的夫婦別姓も国民の関心事からはズレていて、政策面については『軌道修正中』だと聞きます」(前出・政治部記者)

目下、そんな進次郎氏の最大の課題が「伸び悩む党員票」という。

「若い党員はまだしも、一定の年齢以上の党員からは『経験不足』や『勉強不足』との声が上がり、支持が広がらない状況という。党内にも同じような声はくすぶっていて、決選投票が確実視されるなか、仮に残ったとしても2位通過であれば、“進次郎フィーバー”も一気に冷めかねない危うさをはらんでいる」(前出・関係者)

下馬評をくつがえす“番狂わせ”はあるか。総裁選はいよいよラストスパートに入ろうとしている。

デイリー新潮編集部