「石丸氏に推薦を断られ逆ギレ」「小池陣営にも無視され…」 都知事選を巡り維新が分裂(デイリー新潮 2024年07月06日)
これ以上続けるなら除名もある
東京都知事選での場当たり的な対応から、「ゆ党」と揶揄される日本維新の会が分裂含みの荒れ模様――。
「党本部は都知事選に際して“静観”との通達を出し、東京維新の柳ヶ瀬裕文代表も6月17日に“今回はほかの候補の支援はせず、あくまで静観。勝手に他候補の支援に回ることは許さない”と強い口調で都内の地方議員に申し伝えていました」
とは野党担当記者。
「その後、音喜多駿政調会長も“一部の議員が勝手に石丸伸二氏の支援に回っている。隠れてやっているのだろうが、もうバレている。これ以上続けるなら除名もある”と、脅すように党内の引き締めを図ったのです」
音喜多氏はあくまで強硬で〈東京都知事選挙における『静観』対応について〉との文書も関係者に配布した。維新関係者がささやく。
「党内で“オトヤナ”と呼ばれるあの二人は告示前、石丸さんに“改革志向が共通する”と推薦を打診して断られた。それを根に持ち、“石丸支援だけは絶対に許さない”と手の平を返しただけ。単なる逆ギレですよ」
「メリットがないので無視した」
あっさり袖にされたオトヤナは、小池百合子陣営にも支援の意向を伝えたが、「維新の支援にはメリットがないので無視した」(都民ファーストの会幹部)。それを糊塗するように居丈高な振る舞いを続ける二人に党内の批判が集中している。
先の維新関係者が続ける。
「最初の動きは6月19日。稗島(ひえしま)進世田谷区議が“都知事選で自由な支援活動を認めてほしい”との要望書を町田市議と連名で提出。が、要望は精査もされず、翌日に却下されてしまいました」
お次は9日後の28日。
「稗島氏が会見で“特定候補の支援がダメとは納得いかない”と、離党届を提出したことを明らかにしました。音喜多氏はすぐさま反応し、党のサイトに“(都議会議員の)補欠選挙の初日(告示日)にわざわざ党にダメージをあたえる形で記者会見を開かれたことは大変遺憾”と声明をアップ。この泥仕合で、さらに多くの地方議員がオトヤナに不信感を募らせました」
“オレが悪いと言いたいんか!?”
矛先は大阪の党本部にも向かった。先の国会で、馬場伸幸代表は与党提出の政治資金規正法改正案に衆院では賛成しながら、旧文通費改革が見送られたことに猛反発。「だまされた」と参院での採決で反対に転じた。そんな一貫性に欠ける執行部の姿勢に全国から批判が噴出。6月26日に行われた党のオンライン会合では、怒号まで飛び交ったという。
参加者の一人が振り返る。
「馬場代表や藤田文武幹事長への“自民党にすり寄り過ぎ”との声はもちろん、さる地方議員は、党の政策活動費における世論調査会社への支払いの是非を質した。“世論調査のメリットは?”と尋ねると、藤田さんは“選挙の勝利につながった”と木で鼻をくくったような回答でした」
さらに応酬は続き、
「その議員が先の大阪・大東市長選を引き合いに“でも、藤田さんのお膝元で負けたじゃないか”と詰め寄り、藤田さんが“メリットは選挙結果だけじゃない”とキレ気味に反論する場面も。加えて、当事者のはずの吉村洋文大阪府知事が、馬場さんに“自民にすり寄るのは万博やIRを人質に取られているからでは?”と他人事のように苦言を呈す一幕もあった。馬場さんは“オレが悪いと言いたいんか!?”と激高してましたよ」
ゆ党どころか“融党”の予感。
週刊新潮 2024年7月11日号掲載