「岸田首相に政治改革の覚悟はあるのか」公明もイラつくやる気のなさ あれもこれも「議論する」止まり(東京新聞 2024年4月23日 06時00分)
自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた政治改革を巡り、22日の衆院予算委員会では、野党だけでなく、与党の公明党からも自民の改革姿勢を問う質問が相次いだ。岸田文雄首相は党に指示した範囲の再発防止策に取り組む考えは強調したが、野党や公明党が求める政策活動費の見直しなど、踏み込んだ改革に対する後ろ向きな姿勢は際立っていた。(井上峻輔)
「議員への罰則強化」など強調
「首相が先頭に立って取り組んでいると言えるのか。覚悟があるならすぐ案を提示すべきだ」。公明党の赤羽一嘉氏は衆院予算委で、首相に対しいら立たしげに語気を強めた。
首相は、自民に検討を指示した▽議員本人の罰則強化▽外部監査の強化▽デジタル化による透明性向上を挙げ「この3点は最低限行わなければならない」と強調した。
一方で、政策活動費の使途公開や企業・団体献金の禁止など、3点以外の課題については「議論する」との回答が続いた。
批判受けようやく「党独自案」
立憲民主党の岡田克也幹事長は「本当に透明性が大事と言うなら、政策活動費についても改革するのが当然ではないか」と迫ったが、首相は「党の方針が他の政治勢力や外国勢力に明らかになることに配慮しないといけない」などとこれまでの答弁を繰り返した。「各党での協議を拒否しているものではない」とも述べたが、やる気がないのは明らかだった。
首相が多少踏み込んだのは、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開について「できるだけ早く結論を得る」と述べた程度だ。
政治資金規正法改正案を巡り、自民は当初、党の独自案を作成せず、公明党との協議を通して与党案をまとめる方針だったが、「やる気はあるのか」などの批判を受け、23日にも党の独自案をまとめる方針に転じた。とはいえ、大枠は首相が指示した項目にとどまる見通しだ。
使途明示のないカネが「緩み」に
自民で政治改革の検討に関わる議員の一人は「事件は、政策活動費や企業・団体献金が原因で起きたわけではない」と言い切る。だが、政策活動費のように使途を明らかにしない政治資金の存在が、裏金事件に象徴される政治家の「緩み」を生んだとの指摘は自民内にもある。
日本維新の会の青柳仁士氏は「ほんのちょっとのことだけを案に入れて、『それ以外は議論します』では国民の意識と大きくかけ離れている」と自民の姿勢を批判した。
政策活動費
政党から政治家個人に支給される政治資金。政治資金規正法は政治家個人への寄付を原則禁じる一方、政党からの支出を例外的に認めている。政党側の政治資金収支報告書には支出として記載されるが、政治家側は収入として記載しないため使途が分からず、政治資金透明化を阻む「抜け道」と指摘されている。