これが岸田首相の「適材適所」 不適切な女性関係認めた山田太郎氏だけじゃない…「接点」「自衛隊利用」(東京新聞 2023年10月27日 06時00分)
山田太郎文部科学政務官が女性との不適切な関係を理由に辞任したことで、岸田文雄首相の人事が適切だったのか問われている。首相は閣僚と副大臣、政務官の人事で「適材適所」と繰り返してきた。ただ、初入閣組には所管する政策分野との関わりが薄い議員も多く起用されている。27日の衆院予算委員会から一問一党形式の質疑が始まる。首相の「適材適所」が本物かどうか、論戦を通じて浮かび上がることになる。
26日の参院本会議では、首相が「適材適所」と評したばかりの政務官が早々に辞任したとして、野党議員が首相の任命責任を追及。首相は「重く受け止めている。国民の信頼回復に努める」と答弁した。
◆旧統一教会と接点ある文科相、自衛隊応援発言の防衛相
内閣改造に伴う人事では、「適材適所」に疑問符が付く人選が目立つ。
初入閣の盛山正仁文部科学相は、旧統一教会との接点が明らかになっているにもかかわらず、教団の解散命令請求を所管する立場になった。首相は「被害者に寄り添い、法の厳正な適用に万全を尽くしてもらう」と期待するが、国会議員の活動実績をまとめた「国会議員白書」をネットで公開する政治学者の菅原琢氏(政治過程論)によると、盛山氏のこれまでの主な経歴は衆院厚生労働委員長や党法務部会長で、文科行政に明るいという印象は薄い。
菅原氏は「国会活動は議員の存在理由で、特定の政策分野で実績と経験を積んだ人が大臣になると期待されるが、そうなっていないのが現状だ」と説明する。一方、初入閣した木原稔防衛相は防衛政務官や安全保障担当の首相補佐官などを務めた「防衛族」ではあるが、衆院長崎4区補選(22日投開票)の期間中、自民候補への応援が自衛隊に報いることになると発言し、政治的中立が求められる自衛隊の管理運営者としての資質が問われた。
◆閣僚の大半は1年で交代 「半ば素人では見劣り」
改造内閣では19の閣僚ポストのうち環境相や復興相など半数以上は、昨年8月の改造からわずか1年ほどで新顔に。首相の看板政策を担うこども政策担当相と新しい資本主義担当も約1年で交代した。
菅原氏は「政府高官の人事を議会が承認する米国のように、他国では政策能力などの資質が求められる。毎年のように替わる半ば『素人』の閣僚が国際的に見劣りするのは当然だ」と指摘。「首相が選んだ閣僚らが、その役職にふさわしい政策能力を有している人物か、有権者は厳しく見ていくべきだ」と求める。(柚木まり)