政治刷新本部 岸田総理の本気度に疑問符。問題の本質は派閥じゃない、政治とカネ。

自民党の「政治刷新本部」会合であいさつする本部長の岸田文雄首相(中央)=16日午後、東京・永田町の同党本部 政治・経済

落選への危機感がないから、岸田総理も自民党も本気で対応しない

「まるで集団万引した人間に万引防止策考えさせるよう」 自民党の政治刷新本部の顔触れに透けるやる気のなさ(東京新聞 2024年1月16日 12時00分) より抜粋

派閥の「ボス」がにらみ

政治刷新本部の初会合は11日に自民党本部で開催。岸田首相は「国民の信頼を回復するため、日本の民主主義を守るため、党自らが変わらなければならない」と訴えた。16日に党所属議員全員が参加する会合を開くほか、17日には法律や会計の専門家など外部の有識者を招いて議論。月内の中間取りまとめに向けて意見集約を図るという。

ただ、派閥の政治資金パーティーが舞台となった裏金事件にもかかわらず、刷新本部の最高顧問には、麻生派を率いる麻生太郎副総裁が就いたほか、茂木派会長の茂木敏充幹事長が本部長代行となった。森山派会長の森山裕総務会長もメンバーに入る。

そもそも計38人のメンバーには、裏金疑惑がある安倍派の議員を含め、若手・中堅議員が多い。党として事実解明をしない上、派閥の「ボス」の面前で客観的かつ抜本的な議論ができるのか疑わしい体制となっている。菅義偉前首相や小泉進次郎元環境相ら無派閥も幹部に名を連ねて「派閥解消」を訴えるが、派閥存続を唱える茂木氏らとの間で意見集約は難航しそうだ。

本気なら第三者の起用が必須

再発防止策にどこまで踏み込むかも不透明。岸田首相は4日の会見で、党による派閥パーティー収支の監査や、資金の流れが分かるように収入の原則振り込み化などの案を挙げた。しかし▽第三者機関による政治資金の監査▽パーティー券購入団体・個人の公開基準を現行の「20万円超」から引き下げ▽政治家の責任も問う「連座制」の導入—といった野党などの主張に比べて甘さが際立つ。

組織不祥事を巡る「第三者委員会報告書」を評価する活動を行っている青山学院大の八田進二名誉教授(会計学)は、刷新本部の体制について「疑惑のある安倍派議員もおり、集団万引した人間に万引防止策を考えさせるようなものだ。身内のお手盛りで、客観性・公正性を担保できる会議体ではない」と指摘し、第三者の起用が必須と説く。

「本気で信頼に値する改革案を出したいなら、自民党の派閥とは関係のない第三者の独立メンバーに委ねないといけない。それができない岸田首相のリーダーシップと危機感のなさが一番の問題ではないか」

選挙で根本から変えるしかない

なぜ本気度を疑わせる体制にしたのか。全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士は「誰が見ても問題のあるメンバーを入れて自民党内で政治決着を図る狙いが見え見えで、国民はしらける。能登半島地震もあり、原因を追及せずに問題が風化するのを待っているかのようだ」といぶかり、こう続ける。

「どうせ政治なんか当てにならないと、投票から遠のけば、一部の支持者だけの政治となり、民主主義の危機だ。今回の事件は、パーティー券のお金が、仮に賄賂に使われても分からないという根の深い問題だ。根本から変えるには、やはり選挙しかない。落選への危機感がないから、自民党も本気で対応しない。変えるぞ、という緊張感の中で、政治資金の問題も透明化に向けて前進するはずだ」

問題の本質は派閥じゃない。政治とカネなんです。

玉川徹氏 自民・政治刷新本部に「問題の本質は派閥じゃない。企業や団体からお金が政治にいく仕組み」(スポニチ 2024年1月12日 10:34) より抜粋

元テレビ朝日社員の玉川徹氏が12日、コメンテーターを務める同局「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜前8・00)に出演。自民党が11日、派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、岸田文雄首相(党総裁)直属機関として新設した「政治刷新本部」の初会合を開き、派閥解消の是非を巡り議論したことについて言及した。

菅氏は会合で「非常に分かりやすいのは派閥の解消だ。スタートラインとして進めていく必要がある」と強調。無派閥の小泉進次郎元環境相も「カネと人事の問題を派閥から切り離すべきだ」と語り、派閥パーティーの禁止や政務三役を派閥が推薦する慣例廃止を提唱した。

玉川氏は

派閥の解消ができるかできないかというところをポイントにしてしまうと、実はごまかしにあっているようなものだと僕は思うんです。本質はそこではないんです」と指摘。「人は3人集まると派閥ができる、そういうものなんです。だからグループはどうしてもできてしまう」と言い、

問題の本質は政治とカネなんです。ここは結局、個人の献金と違って企業・団体献金というのは何のために金を払っているんだって言ったら、お金を払って見返りを求めているからに決まっているので、そうなるといっぱいお金を払ったところの政治をすることになるんです。それでは国民のための政治にはならない。

だから今回の問題の本質は企業や団体からお金が政治にいくような仕組み、これをどのように変えるか。その1点です。そこからブレないようにしておかないと、ごまかされます」

と自身の考えを述べた。