神宮外苑再開発「都が指針を突然変更」　認可取り消し訴訟、近隣住民が意見陳述

東京・明治神宮外苑地区の再開発事業を巡り、東京都の施行認可の手続きは違法だとして、周辺住民ら59人が認可取り消しなどを求めた訴訟の第1回口頭弁論が29日、東京地裁（岡田幸人裁判長）であった。原告2人が意見陳述し、「都は再開発を強引に進めてきた」と批判。都側は訴えを退けるよう求めた。

意見陳述で、地区に隣接する集合住宅の自治会長の近藤良夫さんは「住民に具体的説明がないまま、都は事業計画に合わせるように地区のまちづくり指針を突然変更した」と主張。再開発で騒音や風害も生じると訴えた。

閉廷後の記者会見で、原告団長で米国人経営コンサルタントのロッシェル・カップさんは「都は市民より事業者の利益を優先している。日本各地で起きている環境破壊を伴う再開発の一つで、注目されるべき問題だ」と強調した。

訴状によると、事業者が都の審議会に提出した環境影響評価（アセスメント）書では、伐採樹木の数に低木約3000本を含めておらず、審査は不十分だったと指摘。住民らの景観利益が侵害されると主張している。

再開発を巡っては、音楽家坂本龍一さんが3月の死去直前に計画見直しを求める手紙を、小池百合子都知事に送り、今月25日には作家村上春樹さんがラジオ番組で反対を表明。原告団によると、再開発反対を呼びかける四つの署名活動で、29日までに計29万筆の賛同が寄せられている。