保険証情報、年金情報の誤登録に要注意 マイナンバーカード「あなたの個人情報は大丈夫か?」チェックリスト

マイナンバーカード、あなたの個人情報は大丈夫か?(河野太郎・デジタル相) 政治・経済

保険証情報、年金情報の誤登録に要注意 マイナンバーカード「あなたの個人情報は大丈夫か?」チェックリスト(マネーポスト 女性セブン 2023.06.25 07:00)

マイナンバーカードをめぐる「6つの大トラブル」

いまのところ、マイナンバーカード(マイナカード)利用のメリットよりも、続発するトラブルへの不安感を抱いている人が大多数のようだ。誤登録は他人事ではなく、いつ自分が情報流出の“被害者”になるかわからない──。

「今度は利便性を高めるところで、いろいろデジタル庁としても支援していきたい」。河野太郎デジタル大臣は6月17日、視察に訪れた長野県松本市でそう高らかに宣言した。

だが、マイナカードのトラブルが止まらないことを河野氏はどう考えているのか。わずか1週間前の国会で、本人以外の家族名義の口座が登録されているミスが全国で13万件にのぼった原因について問われ、河野氏はこう答弁した。

「当然責任は大臣たる私にあるので、何らかの形で私に対する処分をやらなければいけないだろうと思う」

その舌の根も乾かないうちに、一足飛びに「利便性のアピール」では、マイナカードへの国民の信頼失墜はまだまだ続くだろう。

マイナカードにはさまざまな分野の個人情報がひもづけられ、それぞれでトラブルが発生している。

他人の年金記録が閲覧できる状態になったケースもあれば、マイナポイントが誤って第三者に付与されていたり、本人名義のものしか認められない公金受取口座が家族名義のものになっていたり、カードの顔写真が男女で取り違えられた例まであり、続々と発覚する失態は底なし沼のようだ。

6月20日には、同姓同名の他人のマイナカードを誤交付された人が、マイナポイントを申請する事例が発覚。ほかにも、マイナンバーと障害者手帳のひもづけを誤ったトラブルも判明した。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説する。

「いま起きているトラブルの原因のほとんどは、市区町村などの作業者の人為的ミスです。マイナンバーを誤って登録したとか、システムからのログアウトを忘れて別人の情報を上書き登録したとか。そうしたミスの背景には、政府がマイナカードの普及を急ぎすぎたことがあります」

マイナンバーカードをめぐる「6つの大トラブル」

「嫌ならやめたらいい」が通用しない

6月2日、2024年秋に現行の健康保険証が廃止され、マイナカードと連携した「マイナ保険証」に一本化する法律が成立した。これに対応するため、関係機関は膨大な作業を余儀なくされている。

5月19日、兵庫県職員とその家族に健康保険証を発行する「地方職員共済組合兵庫県支部」が、ある組合員の家族の氏名や住所、受診医療機関や処方薬、医療費などが情報漏洩していたことを発表した。行政手続きをオンラインで行える「マイナポータル」上で、第三者に閲覧された可能性があるという。

同支部では、約6000人分のマイナンバーのひもづけを、わずか5人の職員が地道に手入力していたというのだから、ミスが起きるのは必然だった。

「デジタル庁や厚労省は“マイナ保険証を使えば、診療記録などをその場で引き出すことができ、データに基づいたよりよい医療を受けられるようになる”と主張しています。もし他人の保険証が登録されていて、それを前提に診断、処方を受けたら、逆に健康を損なう可能性もあるでしょう」(荻原さん・以下同)

医療機関にとっても、マイナ保険証の導入は混乱のもと。特に、高齢の開業医などの中には不安を覚える人も多いようだ。デジタル対応ができず紙ベースで運営している小規模なクリニックでは、「これを機に廃業する」という声も聞こえてくる。

つまり、長年診てもらっていた「かかりつけ医」を失う人も多く出るため、一時的にでも、“低質な医療”を受けなければならない人も出てきそうだ。

タチが悪いのは、「嫌ならやめたらいい」が、マイナ保険証には通用しないことだ。昨年8月、滋賀県の50才の女性が、希望していないのにマイナカードと健康保険証がひもづけられていたことに気がついた。女性は保険証情報の削除を求めたが、国は「削除手順を整備していない」として、その要望に対応しなかった。

自分の個人情報は自分で守らなければならない。「自分のマイナンバーが、正しく個人情報とひもづいているか」は、危険を避ける上で重要なポイントだ。トラブルの内容と、確認法や解決法をまとめたので、役立ててほしい。

あなたのマイナカードは大丈夫か? チェックリスト

■「健康保険証」情報は病院やクリニックの端末でチェック

医療機関や薬局に設置されている専用端末にマイナカードをかざすと、氏名のみだが、簡易に情報を確認することができる。ただ、同姓同名の他人とひもづけられている可能性があるので、「マイナポータル」にログインし、《最新の健康保険証情報の確認》→《あなたの健康保険証情報》でも重ねて確認する。

マイナポータルや医療機関・薬局で他人のものが表示された場合は、マイナンバー総合フリーダイヤルに電話をかけるか、加入している健康保険の保険者に問い合わせる。

■「年金情報」は年金事務所に問い合わせる

マイナンバーが年金情報とひもづけられているかは、日本年金機構が運営する「ねんきんネット」で確認できる。「マイナポータル」にログイン後、《年金記録・見込額を見る(ねんきんネット)》のボタンをクリックすると、すでに年金情報と連携されていれば、「ねんきんネット」のサイトに移動する。その先のページにある「使用者情報」欄に、自分の氏名や基礎年金番号が表示されていれば、正しくひもづけられているということ。操作に不安がある人は、近くの年金事務所に問い合わせるのが確実だ。

■「公金受取口座」はマイナポータルでチェック

健康保険証情報と同様、「マイナポータル」内にある《口座情報の登録・変更》ページで確認が可能。居住する市区町村によっては、公金受取口座の登録状況を確認できる支援端末を設置している場合がある。

政府は「公金受取の手続きがスムーズになる」と強調しているが、今後コロナ給付金のような各種給付金があるかは不透明で、かつ情報漏洩のリスクへの疑念の声もある。健康保険証とは異なり、口座情報はマイナンバーとのひもづけを解除することができるので、不安な人は解除を要検討。

■「マイナポイント」サイトまたはアプリで、3つの受け取り条件もチェック

「マイナポイント」サイトまたはアプリにログインし、《申込み状況を確認》ページで、自分がマイナポイントを受け取るためにひもづけた決済サービスが確認できる。

「マイナポイント」サイトまたはアプリにログインし、《申込み状況を確認》ページを見る

マイナポイントは、条件にあてはまった場合に最大2万円分のポイントが受け取れる。「マイナカードの新規取得」=最大5000円、「健康保険証としての利用申込み」=7500円、「公金受取口座の登録」=7500円となっており、それぞれの条件に申し込んでいるか/達成しているかどうかも確認した方がいいだろう。マイナポイントの申込みや条件の達成状況は、セブン銀行のATMや、ローソンのマルチコピー機でも確認が可能だ。普段利用していない決済サービスが登録されていたり、条件の申込みや達成状況に誤りがあったら、マイナンバー総合フリーダイヤルに問い合わせを。

■実際に住民票を「コンビニ交付」してチェック

コンビニ交付での誤りは、プログラムの問題が原因とされている。すでに、プログラムの修正などの対応は完了しており、不具合のあったプログラムを使った機械を採用している市区町村は、再点検を行っているところだ。

住民票の写しの発行には1通300円程度かかるが、不安がある人は試しに一度、発行してみてもいいだろう。その際、名前はもちろん、住所なども誤りがないか細かく確認する。仮に誤交付や誤りがあった場合には、速やかに市区町村へ連絡を。

※女性セブン2023年7月6日号